<始まりと終わりの季節>

「3月か……。そういえば、僕が康一君やブチャラティと初めて会ったのも、3月の終わりのことだったな。」
「ああ、兄貴がタクシー強盗して稼いだりギャングの下っ端とか幹部とか殺したりしてた頃な。」
「んで組織入って、そっから一週間余りで前ボス殺して組織乗っ取ったんだよな。」
「……あなた達はどうあっても僕を極悪非道にしたいようですね。」
「事実だし。
 あ、でも俺も、神父様に会ってスタンド発現したのがちょうど3月半ば頃だったな。」(3/17)
「だな。オレがボヘミアン・ラプソディ発動して全世界巻き込んで一気に敗北したのが、その翌日だったし。」(3/18)
「………俺、こないだ命日。」(3/19)
「……なんか、3月って色々あった月なんだなぁ……。一巡(3/22)もそうだし。もしかして、父さんも……?」
「いや、父さんの命日は確か1月16日のはずですよ。」(1/16 DIO完全消滅)
「あーそっか。あ、ディエゴ!なぁ、ディエゴは命日いつだっけ?」
「何ィッ!?(どんな質問だよ!!)
 え、ええと……諸説あるが、ルーシー・スティールと対峙したのは確か、レース終了直後……つまり1月18日だったような……。」
「何ィィィッ!?と、父さんと、2日違い、だと……!?」
「くっそォォーーーッ!これが息子と生まれ変わりの越えられない一線なのかァァーーーッ!!」
「……越えたいのか?お前ら……。」



(こんな線は別に越えたくないディエゴ。23巻と24巻の日付のずれはまさかこれが目的だったのか……!?(違))









<赤子>(若干腐向け?表現あり注意)

「ダァダ、バァ♪」(きゃっきゃっ)
「おお〜〜……さすが親父、見事に懐いたな。」
「オレらじゃ全然ダメだったのになぁ〜。やっぱ血統が強いとか、自分だとわかるってことなのかな。」
「どちらかというと、私よりも私のボディ(首のアザ)に強く反応しているようにも見えるが……。
 しかし、奇妙なものだな。私の骨から生まれた……息子でもない、いわば自分の転生した姿を我が腕に抱くことになろうとは。」
「本物の親父の生まれ変わりは、今日レースあるからって出かけちゃったけどな。」
「むぅ、そういえばそうだったか。ややこしい。
 まあ、こやつが私か否かはよくわからんが、相性はよいのかもしれんな。なかなかあやしやすくはある。少なくともマニッシュよりはよほど……あ、こら。
 髪をかじるんじゃあない。ほれ、刺してしまうぞ。」(うじゅるうじゅる)
「ダーーーッ!」(きゃっ♪きゃっ♪)
「ほーれ、よしよし。」
「上機嫌だよ……あのあやし方で……。」
「やっぱ、親父と同じモンで出来てるんだなぁ……。」
「ふむ………子供といえば、ジョジョのボディを使って私が子供を創ったから、ハルノ達はジョジョとこのDIOの間に出来た子だ、とかいう巫山戯た理論があるそうだが……もしその説で考えるのならば、この赤子はこのDIOの骨を用いてわが友プッチが誕生させた、いわば私とプッチとの子ということになるわけか。」
「ウゲェェーーーッ、気色悪ぃこと言うなよーー親父ぃぃ……。」
「………いや、その理屈でいくなら、その緑の赤ん坊は親父とクソ神父じゃなく、親父とスポーツ・マックスとの間に出来た子ってことになるぜ。」
「ッ!?だ、誰だそれは!?」



(ふざけて言ったつもりがマジレスで返されるDIO様)









<女性名>(無駄家族以外出演)

「毎度毎度、男ばっかりで顔つきあわせて飲みってのもな……。お前ら、連れてくる相手でもいねーのか。」
「バツイチ男が何か言ってるな。」
「こんな危険な面子に呼べるような女がいるか…………というか、呼んだらむしろ我々が危険だろう。(汗)」(←2度の恐怖体験あり(<運勢><身体的弱点・2>))
「ああ……そういえば……。」(思い出し震え)
「ひどい、事件だったね……。」(げっそり)
「……それはともかく、家に娘だの妻だの妹だのいる奴はまだよかろう。
 私なぞ、館に戻っても子供も配下も皆男だ。最近は女を喰う機会も減ったし、潤いのかけらもない……いや別に息子に不満がある訳ではないのだが。しかし……やはり娘も作るべきだったか。」
「娘なんか潤いの数に入らないだろう。むしろ、見たくもない着替えシーンに遭遇してWANABEEラッシュを喰らう危険が増すぐらいだ。」
「飲み面子は全員いい年したゴツい男、おまけに店内見回しても、店員はふんどしマッチョばかりだしな。……はぁ。
 …………………………せめて、カーズ辺りが女ならなぁ。」
「ムゥ?」(見返り究極生物)
「ほぅ……柱の女か。悪くはないな。」
「おい吉良、妙な事言いだすなよ。DIOも乗るな。」
「いいじゃないか、考えるくらい。ギリシア彫刻のような美しさという触れ込みだし、もし女性ならさぞ美しい手をしているだろう……。」
「カーズは一応女性名でもありだしな。ウェーブのかかった長い黒髪の、常時半裸の美女か……。
 ふむ、それならディアボロも割といけるぞ。初期のぱっつん姫カットで、網服の……………おっと、女ならば名前は『ディアボラ』か。」
「おい、俺を巻き込むな!大体そう言うDIOこそ、顔だけなら十分女で通るだろ!」
「当然だ。このDIOの美貌が性別程度の枠におさまるものか。(ふふん)
 私ならそう、名前は『ディアナ』だな。発音次第でダイアナにもなるが……ン〜ムム、女神に王妃とは、なかなかこのDIOに似合いの名ではないか?
 他は‥‥‥そうだな、プッチは名字で十分可愛いとして。」
「え。」
「吉良は、なんだろうな。………いいか、『よし子』で。」
「一気に安直に……つうか、見境なくなってきたな。いい加減やめとけ、DIO。」
「なんだ、承子はノリが悪いなァ。」
「やめろっての!」
「ジョウコ………むぅ、自分で言ってなんだが、少々言いづらいな。」
「承太郎がジョウコだと、恐らく仗助も同じ読みになるしな。仗子(笑)」
「うむ。これがジョジョ相手ならば、『ジョディ』辺りが相応しいのだが。」
「ならばジョセフはジョセフィーヌか?」
「吉良カーズてめぇらまでのるn(ブフォッ)っだから……うちの一族を勝手に女にすんな……!(震笑)」
「想像したな?承太郎……いや承子よ。ならば更にしかけるまでよ!
 花京院ならば典子、ポルナレフはジャンだから……ジャンヌだろうか。フランス人だし。」
「あの亀男が聖女って(笑)ならば、憎きジョルノ・ジョバァーナは、『ジョルジャ』とかか……。」
「いや、ハルノはハルノのままで十分女性名として通じるだろう。
 あとは私の息子ならば、次男のドナテロが女性名で『ドナテラ』に…………。」

 ボゴォッ!!!

「ぐほぉッ!?」(ガタァァーーーーーンッ!!)
「どッ、どうしたディアボロッ!!?今まで割とノッてたのに、突然DIOの腹をブチ抜くなんてッ!?」
「………………一緒にするんじゃあない。」
「はぁ?」



(ディアボロ氏の触れてはならない聖域(=青春の一ページ)に触れた模様)









<体温>

「えーと、こっちが親父宛の小包と兄貴宛の書類で、オレのは……あ、はい、これディエゴの分の郵便な。」
「ん?ああ。」(ひょい)

ひやっ。

「うおおッ、びっくりした。ディエゴ冷てぇぇーー、いつの間に人間やめた?」
「やめてねぇよ!!!」
「え、だって春なのにすげぇ手ぇ冷たいし…………あ、そっか、ごめんごめん。
 トカゲ(=爬虫類)だからだよな。」
冷え症なんだよッ!
 お前らはいい加減あの父親を基準にして考えるのをやめろ!!!あとトカゲじゃないッ!」




(ブランドー家の常識=一般人の異常)









<目撃>

「時に、ディエゴよ……?そういえば先日、花を持って街を歩いていたそうだなァ?ンン?
 二週間ほど前……そう、ちょうど3月の14日あたりに……なぁ?」(ニヤニヤ)
「………何の話かな。」(むすっ)
「とぼけなくともよいぞ。部下が、たまたま姿を見かけたらしいのだ。夕方、まだ日のあるうちに、白百合の花束を持って道を歩くお前をなァ。
 てっきり私だと勘違いして、大層焦ったそうだが。」
「………(くそッ、厄介な奴に……)。」
「それで?一体、どこの誰に会いに行ったのかな?
 お前の目に留まる程の女となれば、さぞや清楚で、誇り高い……そう、さながら神に仕えるシスターのように清らかな乙女なのだろうなぁ……?」
「ッ!!…………待て、お前の部下が教会までつけてきた訳はないよな。一体誰の情報だ?」
「なぁに、先日遊びに来たわが友が教えてくれたのだ。ちょうど、彼も聖職者でね。
 それにしても……フフフ、シスターが相手とはなぁ。」(ニヤニヤニヤ)
「おい、勘違いするなよ。あれはホット・パンツが教会で配っていたクッキーの余りを義理だと言って押し付けてきただけで……俺だけじゃなくジョニィもジャイロももらっているんだからな。正直面倒だったが借りを作ったままは嫌だから……おいッ!!聞いているのかッ!?」
「照れなくともいいじゃあないか……ふ〜ん、ホット・パンツ、というのか。フフフ、ババ専だ何だと今までからかって悪いことをしたなァ。
 しかしそうか、シスターか。うむうむ、私も万が一あのペンドルトンが相手だったらどうしようかと心配していたのだ。ババ専もいかんがロリコンもよくないからな。第一あの手の姓の女とこれ以上親族になるのはできれば避けたかったし……。
 だが、これでようやく我が家にも多少の可能性が見えてきた訳だな。まあ血縁的に孫ではないのが残念だが、まあ甥とでも思えば……。」
「オイッ!!どこまで話を進めるつもりだッ!!!くそッ、いい加減にしろって言ってるのが………!
 …………………………片栗粉。(ボソッ)」
「ッ!!」(ビクゥッ)
「カレー粉。(ボソリ)」
「ッやめろ!!……おい、本当によせ……!」(ガクブル)



一年前のトラウマ刺激中)









<金策>

「ちょっといいか?兄貴……。大したことじゃないんだ……このカードに、好きな番号6ケタ書いてくれ。」
「拒否します。
 外れるとわかっているギャンブルをする人間の思考が理解できませんね。そんなに貴方、残り少ない所持金をドブに捨てたいんですか?」
「てめぇェェーーーーッ!!この俺が頭を下げて頼んでるっつーのにその言い草はなんだよッ!!
 兄貴の取り柄なんざ、顔と金髪とあとは運がいいことぐらいだろーがッ!!少しぐらいは困っている弟を助けよーって気はねぇのかッ!!」
「……その頼み方で助ける人間は、例えジョースター家にもいないと思いますが。
 大体、あの父さんからの月の小遣いを使い果たすって……あなたどうせうさんくさい幸運のネックレスとか壺でも高額で買わされたんでしょう。博打に出るのは先にそれをクーリングオフしてからにしなさい。」
「うっ……うるせーなぁぁ、効果が出る前に返しちまったらシャクじゃねーか……。」
「全く……多額の金を持たせるべきではない人間っていますよね。
 一応、父さんや僕に借金の申し出をしなかっただけまだマシな部分があると思いたいのですが。」
「親父へは、まぁプライドだが、兄貴はどーせ自分とこのギャングの組織に全額投資なんだろーが。ンな汚い金怖くて使えるかよ。
 前にも、道で分厚い財布拾ったと思ったら即座に来た黒服の男共にリンチにあったことあるし。」
「あなた、その年までよく無事に生き延びましたね。」
「うるせー。で、宝くじなら兄貴の異常な幸運以外は不正はねぇし、割とアリかと思ったんだよ。」
「どうでもいいですが、僕もギャンブル運はある方じゃありませんよ。
 母が死んで生活に困った時、バイトしながら気休め程度に買ってみたことがありますが、数千円程度しか当たらなかったですし。」
「ゲ、マジかよ。兄貴なら高額当選余裕かと思ったのに。
 それでも一応黒字なあたり兄貴だが……そーいや、親父も昔はチェスで稼いだりとかはしてたらしいが、くじとかルーレットとかそういう運だけのギャンブルに手は出してなかったらしいしな……。
 クソッ、流石にチェスは無理だが、せめて俺ももーちょっと割の良いギャンブルにするか……?」

「なんだ、ドナテロ。ギャンブルの話か?ダービー兄弟に勝負でも申し込まれたか?」(ヌッ)
「うおおおおおッ親父ィッ!?ななな、なんでもねーよ!!
 ……なんでもねーけど、その……ちょっとした好奇心で聞くんだが、絶対に儲かるギャンブルとかってあると思うか?いや、別に本当なんでもないんだけどよ。」
「(はぁ……やれやれですね。)」
「絶対に儲かる……?ああ、それなら一つ確実なものがあるな。」
「マジかッ!!?」
「ちょっと父さん!あまり適当な事は……!」


「何、簡単な事だ。
 ちょっと競馬場まで行って、ディエゴの出るレースを選び、シルバーバレットの券を買えばよい。」


「ブフォッ!?」(←飲んでたコーヒー噴いた)
「まあ、優勝候補ならば配当は安いだろうがな。それでも、決して損をすることはないだろう?」(チラッ)
「……なるほどー、確かにそれなら確実だな。さすが親父だぜ。」(チラッ)
「見事ですね、父さん。確かにディエゴならば勝つ可能性が高い、いや、負けるはずがない。完璧な理論ですね。」(チラリ)
「だろう?」
「(こ、こいつら………!)」



(プレッシャーを与えているのか信頼しているのかからかっているのか)









<応援>

「………なぁ、Dio。」
「………なんだい、ジョースター君。」
「…………あれ、なんだい。」



「頑張れーーーディエゴォォーーッ!!」
「俺ぁ今月の小遣い残り分全部お前につぎ込んだんだからなーーーッ!!必ず勝てよォォーーーッ!」
「よせよ、プレッシャーかけたら余計やりづらくなるだろ!!ヴェルサスお前にも瞼の上がらない恐怖味あわせてやろうか!?」
「そういうリキエルも、応援幕まで作って……。あ、ディエゴーー。父さんから伝言ですが、『勝てば今晩シチュー』だそうですよー。頑張ってーーー。」



「随分派手な応援だねぇ。あれ、前に話してた君の弟?」
「………………………あいつら…………。」(がくり)
「耳まで赤いよ、君。
 そういえば、話に聞いてた君の兄っぽい人は来てないの?」
「もうやめろほんと……!」



(日中レースの為、DIO様は留守番です)









<対面2>

「……………うっわ。」
「……人の顔を見るなりそれとは、随分な挨拶だなぁ。ジョニィ・ジョースターとやら。」
「ああ、悪いね。想像以上に似てたもんだから。しかも似てるのは顔だけで、体格は全然違うし。かなり驚いたよ。」
「私も驚いたぞ。あのジョジョの一巡後の姿とやらを一度見てやりたいと思ってはいたが……まさか、ここまで貧弱なボディになっていようとは。」
「放っといてくれよ。こっちはしばらく前まで車いす生活だったんだからな。」
「私とディエゴは一応顔は似ているというのに、貴様はジョジョと全く似ていないし……奇妙なものだな、一巡後の世界と言うのは。
 少なくともジョジョのような紳士であれば、レース後に突然館まで押し掛けてくるということはしなかっただろうしな。」
「隣ならともかく、前だの後だのの話は僕はよく知らないけどさ。僕の方も、一度あんたには会ってみたいと思っていたんだ。
 前々から話に聞いて、気になってはいたんだよ。Dioの……って同名なんだっけ。とにかく、ディエゴのそっくりさんで、同じ名前で同じスタンド持ちの上、4人の子持ちの親馬鹿帝王。
 普段なら僕だってディエゴの家まで行くなんて絶対したくないけど、今日は例の弟さん(仮)達の応援でレース後もすっかり憔悴しきっていたからさ。これはチャンスだと思って。」
「だが、結局レースではディエゴに敗北したらしいではないか。その直後によく家まで付いてくる気になれるな。」
「うッ……流石に、あのド派手な応援の中で勝てるかよ……。あんなアウェイ感、大陸レースでも感じたことなかったぞ。
 しっかし、その顔で4人の子持ちかぁー。すげー若作り。」
「若づくりではない。ただの不老不死だ。」
「へぇー。(聞き流し)
 ………でもさぁ。親馬鹿っていったって、やっぱ贔屓とかしたりすることもあるんじゃあないかぁ?優秀な奴ばっか可愛がったり、他のをないがしろにしたりさぁー。
 ま、息子4人も相手にいつでも平等に接するなんて出来るわけ……。」
「そんなことは、しない。」
「……!」
「私は、どんな形でも、あの子たちを傷つけない。絶対にだ。」
「……………ふぅん。
 ……なんか、奇妙な気分だな。顔は本当ディエゴそっくりなのに、あいつよりずっとあんたの言葉は信頼できる……。大統領のときみたいだ。いや、あの時以上かな?
 うん。あんた、悪くないな。ディエゴよりはよっぽど……。少なくとも、子供のことに関しては、あんたのことを『いい人』だって感じる。」
「そうか……。私も、君のことは嫌いではない。少なくとも、私の知るジョナサン・ジョースターよりはよほど好感が持てる。」
「……うん。
 本当、よかったよ。もしもディエゴと全く同じタイプのドス黒い奴だったなら、問答無用でタスクAct4を眉間にブチ込んでそのまま永久の回転地獄にたたき落としてやろうかって思ってたからさ。」
「……………なぁ、貴様本っ当に一巡後のジョジョなんだろうな?なんというか、紳士の片鱗すら感じられんのだが。」



(新旧ジョースターvsブランドー、こちらは多少和やかな様子)









<呼び方6>


『君のそっくりさんだけどさ。
 顔以外、全然君と似てないんだな。』

 帰り間際にジョニィ・ジョースターの言った言葉が、耳に残っている。
 当たり前だろう、と返すつもりだったのに、俺は何も言えなかった。


「……む、ディエゴか。ジョニィ君はもう帰ったのか?」
「ああ。一応玄関までは見送った。押し掛けとはいえ、俺の客だからな。」
「そうか。なかなか興味深い男ではあったな。ジョースターの姓を持っていながら、ああいう目をしている者は珍しい。今までになかったパターンだ。
 容姿といい、やはり一巡後では血統というのも大分異なってくるものなのかもしれんな。」
「……………………。」


『兄っての、表向きだけの間柄だって言ってたけど、悪くないと思うぜ。ピッタリの表現だ。
 僕と兄さんもさ、全然違っていた。兄さんは何でも出来て、僕は何もできなかった。でも同じものを好きになったし、似てるとこだってちゃんとあった。今は、そう思える。』

 そう言ったジョニィは、やけに静かな、穏やかな顔をしていた。
 その顔と、言葉を思い返すうちに、俺の胸の中ですとんと何かが落ちた気がした。


「思い返してみれば、私は貴様以外の一巡後の世界の住人をほとんど知らんのだな。貴様はハルノ達のように友人や部下の話をする訳でもないし……せいぜい例のシスター程度か。
 ふむ、改めて考えてみると気になってきたな……。やはり今日、私も応援に行けばよかったか。」


 当たり前、そう、当たり前のことだ。
 俺とこいつは、別の存在なんだ。

 一巡とか、転生とか、そんなことは関係ない。
 『Dio』おれと、『DIO』こいつは、違う人間。同一のはずがない。当然のことだ。
 顔は似ているし、多少の繋がりはあるかもしれないが、それだけのこと。
 似た顔を毎日突き合わせて、話をして、たまに喧嘩をして……なんだ、本当にまるで兄弟じゃあないか。


 全く。

 妙な気を使っていた自分が、阿呆らしくなってきた。



「しかし、流石に日傘や日焼け止め程度では不安が残るな。かと言って、雨天の日は競馬も中止であろう。どうしたものか……。
 ……うん?どうしたディエゴ、急に黙って。なんだ、レースの疲労でも出たか?」
「………ああ、今日のレースはことさら競技以外で疲れたからな。それと言うのも、お前の息子共が集団で競馬場まで押し掛けてきた挙句ぎゃあぎゃあと騒ぐからだ!
 おいDIOッ!もう金輪際あんな真似をしないよう、キッチリあの四人に釘を刺しておけよ!お前は父親としてはかなり不適合の部類に入るが、それでも一応は親なんだからな!たまには子供への教育ぐらいしっかりやっておけ!
 あと、お前が競馬場に来るのも一切禁止だ!万が一来てみろ、日光で焼け死ぬ前に俺がその喉切り裂いて首の傷をぱっくり開いてやるからなッ!!わかったか!?俺はもう寝るからな!」
「貴様ッ、誰が父親不適合だ誰が!そもそも今日の貴様の勝利だって我が息子たちの応援があってこその………………むう?
 ………ディエゴ?お前今、私のことを『DIO』と呼………。」
「あーーーーーーうるさいうるさいッ!!お前もとっとと寝ろッ!この日中活動型のエセ吸血鬼がッ!!」
「あ、おいディエゴ!待たんか!まだ話は終わっていないぞ!?」



(無意識に引いていた一つの『線』を、やっと越えたようで)









<記念撮影>

「ほら、全員テレンスのほうを見ろ。」
「「「「はーい。」」」」
「はい、それじゃー撮りますよー。あ、ウンガロ様、もうちょっと内側に寄って下さい。
 ディエゴ様、申し訳ありませんが少し後ろへ……できれば、DIO様と並んでいただけますか?」
「なんで俺まで……大体、こんな時期になんで急に写真なんか。」
「いや、以前から一度家族での集合写真は撮ろうと考えていたのだ。ディエゴもここにきて大分落ち着いたし、もうそろそろよいだろうということになってな。」
「父さんの生まれた時代では、写真とは節目や記念の時に家族で撮るものだったようですからね。」
「以前、ドナテロ達が到着したときにも撮ろうとしたのだがな。何故かテレンスから中止を求められたのだ。それ以来機会がなく、これほど遅くなってしまった。」
「大変申し訳ございません。あの時はそれが最良の選択だと思ったもので……。」
「何の話だ。全く……。
 まあよい。ほらドナテロ、ちゃんと背筋を伸ばして。リキエル、そんなに緊張しなくてよい。ほら、汗を拭け。」
「ご、ごめん、父さん……あの、手を握っててもらえるかな?」
「何?……いいのか?……ならば……。」(ぎゅ)
「あ、ありがとう……。」
「うむ……。ほら、皆顎を引いて、視線はカメラの方を見て……。」
「あ、いえ……ご子息様方は、カメラを見なくとも結構です。そのまま、DIO様の方をお向きになっていてください。」
「なぬ?テレンス、どういうつもりだ?目線が向かねば撮れないではないか。」
「よいのですよ。このままで、向かないから、よいんですよ……。DIO様はそのまま、微笑まれてください。ディエゴ様、出来れば口を開かないまま少々口角を上げて……はい、OKです。
 では、いきますよー。……ああ、ご子息様方も、素晴らしい……本当に、よい笑顔です。本当に………。」



「……。」ニコッ
「……。」フッ
「……ッ。」(照れり)
「〜〜♪」にまーー



「……………………………。」
「……………だから、どうしたというのだ、テレンス。何故うずくまる。シャッターも押さずに。まさかまた中止か?」
「あ、いえ……申し訳ございません。大丈夫です、皆様に問題はございません。ちょっとその、視界が、いえレンズがぼやけて、何も見えなくなって…………!(ぐすっ)
 お待たせいたしました。それでは、撮りますよ。皆さま、そのまま……!」




 バシャッッ!!





(『これまで』の積み重ねを、『これから』へ残したい過去にする)










    


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 300ネタ、完走ッ!!!