<運転>


リキエルの場合:

「……あ、ヤバ、今のとこ右だった。
 ええと、Uターンしないと……え?ここって、Uターン禁止?じゃ、どうすれば………お、落ち着いて、次の角で曲がれば……ってああ、対向車が途切れねえ、うあ、ああああ、ま、まぶたがッ!くそっ、どうすりゃいいんだ!前が、前が見えな……!」
「リキエル前前前ーーーッ!!ダンプが、ダンプがぁぁーーーッ!!」



ヴェルサスの場合:

「ったく……リキエル、テメェいい加減にしろよな。下手したらさっきので俺ら全員死んでたぜ?」
「ごめん……。」
「つーか、ヴェルサスも免許持ってたんだなー、知らなかったぜ。絶対教習所とか通うほど忍耐強くないと思ってたのに。」
「あぁ?免許なんざあるわけねーだろ。こんなもんフィーリングだよ、だいたい。」
「……………え。」
「一時期はちゃんと教習所行ってたんだけどよォォー、大抵タイヤが道端の溝にはまったり、パンクでハンドルをとられて壁に激突したりで、結局とれなかったんだよなー。通行止めの看板が倒れてて、工事中の穴に突っ込んだりしたこともあったし。」
「…………ヴェルサス、運転替わってください。」
「はぁ?何言ってんだよ兄貴、未成年に替われるわけ………ってうおおおおおッ!?向かいの車の運転手寝てやがるッ!!やべぇ、間に合わねえッ!!」
「うわあああーーー!!」

ガッシャアアアアアンッ!!



ジョルノの場合:

「………あ、危なかった……つーか、兄貴のGEがなかったら冗談抜きでアッチの世界行くとこだったぜ……。」
「まったくもう、世話のかかる弟たちですねぇ。
 とりあえずヴェルサスもリキエルも、金輪際運転は控えてくださいね。特にヴェルサス、あなたディアボロに次いで全国不幸ランキング堂々の第二位なんですから、少しは自分でも気をつけてください。そりゃあ事故だって引き寄せるわけですよ。」
「なんだと……俺の知らないところでそんなランキングが……。」
「とにかく、今日はもう急いで帰りますよ。幸い車もそこまでの損傷ではなかったし、僕が運転しているところ警察に見つかると色々と厄介ですから。」
「ああ、うん………。」

ブロロロロ……

「………あ、あの、兄貴?」
「はい、なんですか?」
「ええっと、たしかここ40キロ制限だったと思うんだけど……今、何キロ出してる?なんか、妙に速い気が……。」
「制限?なんですか、それ?」
「………………え、兄貴?あの、速度制限って……。」
「そんなもの、イタリアにはありませんよ。」
「え゛。」
「ちょっ兄貴!よく見たら80キロ超えてるじゃねーかオイ!止まれ止まれ!」
「心配要りませんよ。僕、ヴェルサス達と違って運は良いんです。そうそう事故なんか起こしませんよ。」
「いや運とかそれ以前の問題で……!」
「昔、ヴェネツィアで暗殺チームとカーチェイスを繰り広げた時もこのくらい出していましたが、せいぜい車ごと運河に飛び込んだくらいでしたしね。」
「十分事故だよ!!ってうわわわもうその辺の車抜きまくってるし!兄貴、頼むからスピード緩めてくれーー!」
「急ぐって言ったでしょう?ああでも、大分混んできましたね。そこの脇道入りましょうか。」(ギュイン)
「ちょっまっこの速度で小道とか絶対マズいってうぎゃあああああーーー!!」






………奇跡的に帰宅後。


「親父ぃぃぃぃっ!オレ絶対運転免許取るわ!!」(半泣き)
「WRYYYッ!?ど、どうしたウンガロ突然。」



(ちなみにDIO様は、『上院議員に運転させればよいではないか派』です)









<運勢>(無駄家族以外も出演)

「畜生……!占い師だって言ってたんだ……あの時俺は、絶頂を維持できるほどの運勢を持っていたはずなんだ……!それなのに、それなのにあのレクイエムさえなけりゃ、俺だって……!」
「おーい、またディアボロが愚痴りだしたぞ。」
「いつものことだろ?ほっとけ。」
「この間の全国不幸ランキングで一位とったの、まだ引きずってるんじゃないか?」


「おーい。貴様ら、ちょっといいか。」
「店の亭主が客のこと『貴様ら』呼ばわりって……まあいいが。で、どうした?カーズ。」
「いや、カウンター席がちょうどいっぱいでな。すまんが、一人相席頼んでも構わんか?」
「どうも……フゥ〜〜……。」
「…ほほう、なかなか美しい………もちろん構わんとも。さ、レディ、こちらへ。」
「(ひそひそ)おいこらカーズ、何考えていやがる。こっちのテーブルにいるの吸血鬼と殺人鬼なんだぞ?そんな席に女案内してどうするんだ。」
「いや、それが向こうたっての希望でな……。」
「おや?吉良、急にテーブルの下に潜ったりして、どうかしたのかい?」
「しーーっ……いいからプッチ、私はいないことにしてくれ。ちょっとその女、顔合わせづらい相手なんだ。」
「え?……まさか、昔散々自分の都合で利用した挙句にポイ捨てした女とか?」
「ええっと………まぁ、似たようなものかな……?」
「うわ、最低だね。」


「まぁ、座るがいい。名を聞いても?(ふむ……これは久々にボトルでない血が飲めるかも……。)」
「はい、辻彩と……………あら。あなた、変わったほくろがあるのね。左耳に3つ……フゥ〜〜、すごく独特の運勢だわ……。」
「ほう?ワンチェンと似たようなことを言うのだな。」
「あら、失礼……私、この近くでエステをやってるんですの。だから、顔相には詳しいんです…………フゥ〜〜、一種の職業病ってやつかしら?
 あなたは、とにかく人を惹きつけるオーラのようなものを持っているわね。カリスマとも言える……強い影響力を持っているわ〜〜。だから、あなたと関わった人は皆、あなたに対して無関心ではいられない……。ただ、その抱く感情っていうのがすべて好意とは限らなくって、あなたを慕う人と同じくらい……あなたに反発し、敵対する人も多いみたい。特に、あなた自身が高く評価する相手ほどその傾向が強そうね〜〜。」
「ぐ。」(超身に覚えアリ)
「加えて、その眉の形………あなたとってもプライドが高いでしょう?そのプライドのせいで、今まで恋愛とかもあんまり上手くいかなかったんじゃないかしら〜〜?しかも、自分の心になかなか気づけなくて、相手を傷つけるようなことばかりしちゃったり、やっと思いを自覚した時には既にその相手にこっぴどく嫌われてしまっていたり、あるいは他の人ともう結婚していたりして、結局今じゃ顔を合わせるのも苦手になっちゃっているような、そんな経験があったりとか……。」
「がふぅっ!!」(吐血)
「ぎゃーーー!大丈夫かDIOッ!?」
「まさか、まさかお前ッ、そうだったのか!?実はうちのひいひいばあさんのことをッ!?」
「おい、これ紳士に知られたらDIO殺されるんじゃないか!?」
「あら、ごめんなさい……もしかして、言っちゃマズいことだったかしら?なにしろ職業病なもので……………。
 あら、そちらの学帽とコートの方。」
「え゛。」
「あなたは、とっても愛情深い方ね。大切な人を守るためなら、どこまでも自分の力を引き出すことができるような…………ただ、その強い思いやりを、なかなか口に出さないところがあるんじゃないかしら〜〜?わざわざ言わなくとも、相手にも伝わっているものだと思いこんで……身内にはそれでもちゃんと伝わることもあるかもしれないけど、元々血の繋がりのない恋人や奥さんが相手だと、冷たい人だと誤解されたり、離れていったりすることも………。」
「ごふッ!!」(吐血2)
「やめてーー!承太郎とDIOの(精神的)ライフはもうゼロよー!」
「あらごめんなさい、なにしろ職業病で………あら、そう言えばそちらの神父服の方……。」
「いやーー!すみません見逃してくださいーー!私は妹と親友にだけ愛を注ぐただの神父ですーー!恋愛経験とか特にないです言い当てるならディアボロにしてーー!!」
「おいやめろよ!俺だって図星言われて心の痛みで死亡なんて嫌だよ!」
「うふふ………。」



(……お、恐ろしい…………あの女故意だよ絶対………。)
「吉良、お前もいい加減テーブルの下から出てこい。皿の回収に邪魔なのだ。」
「お前もマイペースだなカーズ。あの阿鼻叫喚が見えないのか?」



(辻彩先生最強説浮上)









<帰省>

『……お盆に入り、巷は帰省シーズンで各交通機関は非常に混雑している模様です。特に高速道路等のルートはUターンも含め長くラッシュが続くと予想され……』


「ふむ、帰省か……。…………………………なぁ、息子達よ。」
「ん。」「何、親父?」「どうかしました?」
「………お前達も……やはり、その、帰省というか、そういった予定があったりとかは………。」


「「「「え、なんで?」」」」


「………………ッ…!!(ふるふる)」(←今、とても嬉しい)
「「「「?」」」」(←変なこと聞くなぁと本気で思っている)



(息子達、帰る気カケラもナッシング。)









<お盆>

「どうも……お久しぶりです。
 あまり来れなくてすいません。一応、花は持ってきました。どうぞ。

 そういえば、最後にここに来たのも一年くらい前でしたね。あの時は、父さんと会った衝撃でほとんど何も言えませんでしたが。
 今僕は、その父さんと一緒に暮らしています。弟もできました。今、とても幸せです。……あなたにとっては悔しいかもしれませんけど。
 あなたは、ずっと父さんに会いたがっていましたものね。けど、もしかしたら会わなくてよかったかもしれませんよ。プッチ神父から聞いたところ、今の父さんと過去の父さんって大分激しいギャップがあるそうですから。

 ……正直、僕はまだあなたを許せてはいません。どうしても、全てをなかった事にしてあなたを想う事はできないんです。
 あなたは僕を愛してはいなかった。少なくとも、僕は愛されたとは思えなかった。だから、ぼくはあなたを愛せない。
 けど、感謝はしています。あなたがいてくれたから、僕は生まれた。あなたが父さんと出会ったから、僕は父さんと会えて、今こうして暮らせている。本当に、ありがとうございます。

 ああ、もうこんな時間か…。
 慌ただしくてすいません、あまり遅くなると心配されるので。本当、過保護だと思うんですけどね、僕も。
 それじゃあ。


 また来ます。……さよなら、母さん。」



(墓前でほんの少し素直になる長男)









<お盆・2>

カチ、コチ、カチ、コチ、カチ、コチ………カチッ。
ボーン、ボーン、ボーン…………

「………テレンス、今何時だ。」
「ちょうど、深夜の零時になったところでございます。」
「そうか……………。
 ふ……ふふ、ふふふふふふふふ………!
 WRYYYYYYYYYッ!!勝った、私は勝ったぞッ!!」
「ディ、DIO様……?」

「思えば、辛い4日間だった……。承太郎から日本の風習を聞いてから、13日から今日16日に至るまで、屋敷内での一切の火の使用を厳禁!!更に、ペットショップやヴァニラアイスにも屋敷周辺に最高レベルの警戒態勢を敷くよう指示し、それこそ水も漏れぬ警備を徹底させた!!
 それというのも、名前を呼ぶのも汚らわしいあの阿呆がうっかりこの期間に現世に舞い戻ってきたりしないようにするためッ!!
 生前から図々しかったあやつのことだから、こちらにそのつもりがなくとも火を焚けばそれを迎え火などと勘違いして降りてくるやもしれぬ。もし、万が一そんなことになって、そしてうちの可愛い息子たちとあの男を会わせるようなことになれば………!ああ、最悪の想像ばかりが頭をめぐり、この4日間一度も心休まる時はなかった。
 だが……私は勝った!!見事この4日間、奴の現世への侵攻を防いだのだッ!!ふははははは!思い知ったか、クズめ!!貴様なんぞに供養などという慈悲が向けられるとでも思っていたか!貴様は永久に地獄の底にでも沈んでいるがいい!!ふはははははははははは!!!!!」

「……深夜にずいぶんハイテンションだなー……親父。」
「ふははは……おお、ドナテロ。どうした?酒瓶なぞ抱えて。」
「あー………ちょっと、寝酒をな。」
「ああ、最近寝苦しいものな。ほどほどにするのだぞ。」
「おう、親父も早く寝ろよな。」
「うむ、私はもうしばらくこの勝利の余韻に浸ってからにする!」
「なんか知らねぇけどんじゃおやすみー……………、と。」



(バタン)「おーい……持って来たぜー。(小声)」
「あ、ヴェルサス。お帰りなさい。」
「そっちにも笑い声聞こえてたかも知れねえけど、やっぱ半端なく喜んでるぜ、親父。」
「でしょうねー……ほら、あなたも、そろそろ帰った方がいいんじゃないですか?もう16日も終わったことですし。」
『あぁ?何言ってんだ、なんでわざわざここまで待ったと思ってるんだよ?ああやって死ぬほどはしゃいでるアイツの目の前にこのタイミングで出てきてやるためじゃねえか。』
「うわ、タチ悪ぃなー。そこまでするかぁ?普通。」
『ひでぇだと?アイツは病気の俺に毒盛ったんだぞ?あっちの方がよっぽどやりやがったじゃねえか!』
「そりゃ、あんたが父さんのこと散々殴ったりしたからだろ。」
「ほら、これ酒瓶。わざわざ持ってきてやったんだから、もう今年はこれ持って帰れよな。」
『ったく、可愛くねぇ孫どもだな。仕方ねぇ、帰ってやるか。んじゃ、また来年な。』
「はいはい。また来年。」


「はぁーー……やっと帰ったか、あのアル中オヤジ。」
「父さんの小さい頃の話とか聞けるかと思って4日間匿ったってのに、結局ほとんど話してもらえなかったしなー。」
「酒で脳溶けててもう覚えてなかったんじゃね?つーかオレ 、おボンってのがこんな大変な行事だなんて知らなかったぜ。」
「トリッシュの所も随分と大変だったそうですよ。なんか床下からおばあちゃんが現れたとかで。さながら貞子のごとく。」
「あーあ、にしても、あの様子じゃ多分また来るんだろーな。ったく、来年はどうやって親父誤魔化すかねぇ。」



(その後、対策の方に気を取られて母親迎えるのをすっかり忘れていたことに気づきヘコみにヘコみまくるDIO様の姿が目撃されたという)









<パンツ>(下(?)ネタ注意)

「……なぁ、お前たち………その、私のパンツ見なかったか?」
「はああ?何、いきなり。」
「見当たらんのだ……。間違って、テレンスがそちらの引き出しに入れたのではないかと思って。」
「ああ、そういうことでしたか。けど、父さんの下着ってたしか………その、黒の、ビキニですよね。ちょっと僕らのと間違える可能性は低いのでは……。」
「いや、そちらはちゃんとある。ないのは、最近試しに買ってみたトランクス。」
「ああ、じゃあ俺のとこじゃないな。俺、ボクサー派だから。」
「…………………リキエル………そうだったのか……。あ、オレはフツーにトランクスだけど、兄貴は?」
…………………………………………ブリーフです。
「………そんな恥ずかしそうに言わないでくれよ、こっちまで恥ずかしいじゃん。」
「うるさいですね。で、ヴェルサスは?」
「あぁ?ウンガロと同じ。あ、ただ俺普段から柄とかあんま気にしねぇし、親父のが紛れててもわかんねーぜ?」
「一応、こっちでも捜しといてやるよ。んで親父、それどんな柄?色は?」
「………………………その………。」
「?」


「…………黄色の地に、紫のハート柄………。」


「………………………何故それを買ってしまったんですか、父さん。」
「衝動というか……つい………。」
「……なんかそれ、俺どっかで見た気がするな。ちょっと待てよ……。(ごそ)
 ああ、これか。わりぃ、履いてた。」
「ちょっヴェルサスおま………!!」
「な、なんだよその目は!言ったろ、柄とか別に見てねえんだよ!」
「いや、見てない以前の問題でしょう……。」(汗)



(無頓着にもほどがあるヴェルサス)









<眠れぬ夜・2>

「ま た ホ ラ ー ビ デ オ か よ !!」
「ウンガロー……お前なぁ。怖がりのくせに、そういうの借りてくるなよな。」
「えー、だってぇ〜〜……前にやった怪談大会も結局グダグダだったし、今夜も熱帯夜だし……。」
「とにかく、ウンガロはしばらく、というか半永久的にホラービデオは禁止です。ほら、返してらっしゃい。」
「ちぇーーっ。………………これ、吸血鬼モノなんだけどな…。(ボソッ)」

ピクッ…。

「……………………親父、今確か留守だったよな。」
「えっと、デッキデッキ。」(ガタゴト)


で、鑑賞中。


『……ずっと待っていたのですよ……貴女のように美しく、若き乙女がやって来るのを……!』

「「「「………………。」」」」(全員脳内変換中)

『逃げなくともよいのですよ、レディ……怖いことなど何もない。それに、ここは私の城。どこへ隠れたところで………。』

「……無駄、とかな。」(ぽつり)
「ぶふっ!」
「ちょ、ヴェルサス、よせっての……!」

『ば、化け物………!』
『化け物、と……?なんと嘆かわしいことだ。レディ、貴女は怪物と芸術の区別もつかないのか?』

「うわ、キザだ。こいつアホなくらいキザだ……。」
「……なぁ、コレもし親父が言ったら……。」
「ぶくくくっ!!や、やめろったらヴェルサス!ホント今必死で想像しないようにしてるのに……!」

『さぁ、レディ、恐がらずに……!私と一つになりましょう。そうすれば貴女も、私と共に永遠を生きられるようになるのです……!』

「ッ!!」
「い、今のって……!」(ぷるぷる)
「……てことは、ヒロインはジョナサンおじさん?」
ぶふーーーーーッ!!ちょっおまリキエっ、ぶぶ、うははははは!!」
「あーもう駄目!限界!考えれば考えるほどドツボに……つか吸血鬼コスの親父とか合いすぎだろ!!」
「と、父さんて、実はレトロな吸血鬼だったんで………ぶくくくく。」
「あっははははは、ヤバいこれマジヤバい!!腹筋吊るってこれは!自分の想像力を呪う!」



「何ィッ!?このDIOがほんの少々留守にした間に、息子たちが全員腹痛で寝込んでいるだと!?テレンス貴様、一体何を食わせたっ!!」
「いえそれが、皆様食べ物に当たったわけではなく…………その、筋肉痛でして。」
「はぁ?腹筋がか?」



(ちなみに息子ーズが見てる映画は捏造ですよ)









<ひと夏の>

「なぁ、気がついた。」
「突然だな。で、何がだよヴェルサス。」
「この状況だよ!!おかしいだろ!?俺ら20代だぜ?若さと希望あふれる世代だぜ!?なのにそんな二度とない貴重な青春時代のひと夏を、こんなうだうだと一切女っ気のない男ばっかの家族とすごしてばっかで浪費しちまっていいと思ってるのかよ!?」
「あー、そういう……。でも、ひと夏って、もう八月も終わりじゃねーか。」
「いーや、俺は諦めない。まだ俺の夏は終わっちゃいねえ!
 つーことでリキエル、ウンガロ!俺はちょっと今からでもナンパに繰り出してくるぜ!目指せひと夏のアバンチュール!待ってろ俺の未来の幸せーー!!」(だっ!)
「おー、……なんかもうオチが読めたけど一応頑張ってこいよー。」


………一時間後。


「………見事全滅で、泣きながら帰ってくるに10ドル。」
「んじゃ、声かけた女にマフィアの男がついてて美人局にあう、に15ドルな。」
「うわ、リキエルドSだなー。……お、兄貴!なぁ、兄貴はどうなると思う?」
「は?何の話ですか?」

プルルルルルルル………プルルルルルル………

「おっと、電話……(ガチャ)はい、もしもし。
 ………ええ、うちはブランドー…………え?はい、はい………ええ!?
 ちょっ、リキエル!ウンガロ!なんか今さっきヴェルサスが、骨折全身打撲その他もろもろで病院に担ぎ込まれたって!!!」
「えええーーー!?」
「それはいくらなんでも想定外ーーーー!!」



(ヴェルサスに何が起こったか!?以下次号)









<ひと夏の・その後>

「ヴェルサスーー!無事か―ッ!?」
「う……ううう………。」(←全身ズタボロ)
「一体どうやったらナンパ行っただけでこんな大怪我負えるんだよ!いくら全国不幸ランキング2位っつってもあり得なさすぎだろ!?」
「やっぱ、あれか?美人局に遭ってマフィアにボコられちゃったのか!?だとしたら賭けは俺の勝ちなんだけど。」
「ちげぇ………つか賭けてんじゃねえリキエル……!」
「まぁ、そうですよね。ただのチンピラならヴェルサスだって、一応スタンド使えば負けないはずですから。けど、それじゃあ一体誰に……。」
「う………こ、声かけた、女が………。」
「女……?まさか、女性にやられたんですか?」
「あ、わかった!声かけてみたら実は髪下ろした徐倫で、オラオラ食らって返り討ちにあった!な?だろ?」
「違う………。」
「じゃあ………まさかとは思うけど、エルメェスだったとか?」
「ウンガロ、いくらなんでもヴェルサスだってそこまで女性に関してなりふり構わなくなっていたわけじゃないでしょう。そもそも普通は間違えませんよ。ここはおそらく、順当にトリッシュだったんでしょう。すいませんね、ヴェルサス、彼女には僕からもよく言っておきますから。でもトリッシュも悪気があったんじゃないんですよ、きっと。」
「それも違う………つか別に、誰も女にやられたなんて言ってない……。」
「え、違うんですか?」
「ドナテロ………もしや、あれなのか?声をかけてみたら実はそいつがエリナで、突然やってきた紳士に泣くまで殴られたとか……。」
「親父……ジョナサンおじさん俺らの顔知ってるだろ……俺らだってエリナさんの顔ぐらいわかるし………。」
「む……それもそうか……。」
「で、結局誰にどうされてこうなったんだよ。」
「………………声かけた、女が………。」
「うんうん。」
「…………神父の、妹で………。」
「え。」
「どこからともなく現れた神父と、ウェザー・リポートに、抵抗する間もなくボコボコに……………。」
「………うわぁ………。」
「………なんでまたそんな、よりにもよってジョジョ界一のシスコンと名高い、しかもヴェルサスと一番相性の悪いはずのプッチ神父の妹を選んじゃったんですか………。」



(見事なまでの不運クオリティ)









<8月31日>

『8月 22日 (晴れ)

 今日、ついに肉の芽に花がつきました。
 花が開いたのはまだ一つだけですが、つぼみは2つほどついています。芽と根しかなかった育て始めのころに比べたら丈もずいぶん大きくなりました。
 ヴェルサスは『やっぱり肥料の鶏肉を地鳥に替えたのがよかったんだ』と言っていましたが、僕はダンさんのラバーズがやったように肉をこねて柔らかくしてやったのが良かったんだと思っています。
 花は、手の平ほどの大きさで、花弁は五枚、色はきれいなローズピンク、いわゆる「肉色」です。時折脈打つようにぴくぴく動くのが可愛いです。
 残りのつぼみがいつ頃咲くのか、また、秋になったらどんな実がつくのか、今から楽しみでなりません。』



「あ、やだ、父さん。まだ書き終わってないのに見ないでくださいよ。」
「…………………なぁ、ハルノ。これは一体………………。」
「ええと……恥ずかしながら、学校の課題です。観察日誌なんですけど、うっかりつけ忘れていて………今まとめて書いてる最中なんです。」
「あっ、親父ぃぃ〜〜ッ!なぁ、聞いてくれよ!兄貴ったら、絵日記の絵のとこ全部オレに押し付けんだぜ!?なんか言ってやってくれよ!」
「えー、だってウンガロ絵が上手いじゃないですかー。どうせウンガロ達は宿題とかないんですし、手伝ってくれたっていいじゃないですかー。」
「それでも兄かよ、自分の宿題なんだから自分でやれよなー。」

「………うん、あの、ハルノ?」
「はい?」
「……………………………これは私の憶測でしかないが、おそらく例えこれを提出したとしても、教師は単位をくれないと思うぞ…………?」
「え?」
「いや、なんだその『予想もしてなかった』って顔……。」



(まだ育ててたのかソレ)










    


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