<真夏の怪談大会>
「……廊下の真ん中にぽっかりと浮かんだそれは、光の一切射し込まないひとかたまりの闇だった……そして、そこで俺が見たものはッ………………長い髪を振り乱した、人間の生首だった……ッ!!」
「あの、ヴェルサス。まさかそれ、クリームの中に入ったヴァニラさんだったてオチじゃないでしょうね?」
「…………………………。」(硬直)
「あ、図星?」
「……お……オチをばらしてんじゃねえよォォォォ兄貴ィィーーッ!」(半泣き)
「ええー!?だって読めたんだから仕方がないじゃないですかー!」
「あーあ、やっぱりなー。」
「ま、ヴェルサスがやたら自信満々に語り出した時点で、絶対こうなるとは思ったけどさー。」
「アイス、貴様も何をしていたのだ、そんな時間に。」
「はっ、館内の見回りを少々。」
「……スタンドから出てやれ。」
「ていうか『実体験の怪談のみ』って縛りがよくないんだよなー。聞いた話とかでもいいなら、俺だってUMAとか宇宙人とか切り裂きポチョムキンとか色々用意できたのに、実体験じゃせいぜいこの間のカタツムリ騒動くらいしか思いつかないよ。」
「しかも全員体験してますしね。でもしかたがないですよ、創作話だとどうしてもどこかで聞いたような話ばかりになっちゃいますから。けど実体験でも、なぜか僕の話した『ローマ市を覆う危機、恐怖の人喰いカビ』の話に誰も怖がってくれないんですよねー。」
「うん、まぁ……最後のラッシュのところは怖かったけどね。別の意味で。」
「んじゃー次オレの番な。オレのはすごいぜぇー?何せ実演だから。」
「実演?」
「タイトルは、『怪奇!棺の中に輪切り人間』……。」
「ウンガロ!それ人間違う、それヌケサク!」
「ううむ……ぐだぐだだな。仕方がない、流れを変えるためにもここは私がとっておきの話をしてやろう。」
「え、父さんの……?」
「なんか、すごそうだな。100年生きてきた吸血鬼の語る実体験ホラー……。」
「いいか?目を閉じて、よーく想像してみるのだぞ………。
………………この間スーパーに行ったら、カーズがいつものふんどしスタイルで買い物に来ていた。」
「「「「!!?」」」」
(まさしく身の毛もよだつ恐怖体験。しかし私としては、DIO様がスーパーに行っていたという事実の方が恐ろしい)
<認識 ver4兄弟>
「いいですか、同時に、そして右隣に対してですよ。で、恨みっこなし。わかってますね?」
「くどいっての、兄貴。」
「……なぁ、大丈夫かなぁ……これ。父さんがこの間友達とやって、危うく交友にヒビが入るところだったって言ってたし……。」
「確かにそういう危険もありますけど、でもこれはかなり効果的なやり方だと思いますよ、僕は。
付き合いが長くなると、どうしてもいまさら言いづらいってことも出てきますしね。時には悪口でも、互いの本音をぶつける機会があってもいいと思います。」
「つーか、こんな機会でもなきゃ言い出せねぇこともあるしな。俺としても、どうしても一度くらいはっきり言ってやりたいと思ってたことがあったんだよ……。」
「じゃ、準備はいいですね?……じゃ、せーのっ……!」
「そのコロネはなんだ」「その頬の『U』はなんだ」「その頭の黒い筋はなんだ」「その額に張り付いてるヤツはなんだ」
「「「「…………………………。」」」」
「……………ええっと……。」
「これ、悪口っていうか………。」
「………まぁ、確かに今まで言い出せなかったことなんだろうけどさ………。」
「……全員が全員、互いへの罵倒が一切ないだなんて………ウチの子は皆いい子だなぁ……。」(ほろり)
(DIO様、論点多分そこじゃないです)
<認識・回答編>
「だから、これは髪型ですよ。スタンドが発現して髪が金色になった時、同時にやたらと髪が長くなったんで、切るのもなんとなく勿体ないと思って巻いたり編んだりしてまとめたんです。寝起きはもう、絡まって大変なんですよ。」
「いや、だから、わざわざ髪型にその三連巻きを選んだ理由っては……。」
「ヴェルサス、あなたは髪型を変えるときにいちいちどんな髪型が自分にとって有益かとか、どういう根拠があってどこで結ぶとか考えているんですか?違うでしょう?僕にとってその時重要だったのは、前髪をいかに視界の邪魔にならないようにまとめるかであって、形だとか方法は二の次だったんですよ。」
「……………………。」
「…………仕方がないでしょう、真ん中分けとか額を出す髪型、やってみたら死ぬほど似合わなかったんですから。」
「まぁ、いいけどよ。で、ウンガロは?」
「あ、コレ?普通にシール。色違いもあるぜ。」
「マジで?刺青かと思ってたぜ。」
「顔に刺青とか、ンな痛そうな真似できねぇよ。んで、ヴェルサスの黒線は……。」
「あぁ?生まれつきだよ、ガキの頃からある。なんであるとか考えたこともねぇよ。
つーかこんなもん、謎でもなんでもねぇだろ。その辺の奴の天パとかくせ毛とかと同じようなもんだろ?多分。」
「そ、そうかなぁ……生まれつき髪が二色の奴ってのは普通滅多にいない気がするけど………。」
「どの道本人にも分からないのなら、説明は不可能ですよ。
それじゃ、あとはリキエルだけですね。その額にくっついてる丸いの、一体何なんですか?」
「………………。」
「用途どころか、名称さえわからねぇもんなぁ、その丸いの。謎としか言いようがないよなー。」
「流石にソレは生まれつきってことはねぇだろ。なぁ、リキエルよォォー。ま、ここまできたら隠してても仕方ねぇし、潔く白状………。」
ストーン。
「ってあああーーー!まっ、まぶたがァァーーッ!!?」
「ああっ足音が!ちょっリキエル!逃げるのは卑怯ですよ!」
「ちくしょう!追いてぇのに前が見えないッ!!待ちやがれリキエルゥゥーーッ!!」
(リキエル、黙秘権施行および逃走)
<子供>
「……二人でいいところを三人も投げ込んだり、敵とはいえ11歳の少年をためらいもなくボコったり…………なんていうか、大人げないって言っちゃえばそれまでだけど、ヴェルサスってもしかして結構子供嫌い?」
「………………子供だからって、何でも許されるって方がおかしいと思わねぇか?」
「あ、やっぱり。」
「ヴェルサスー、質問を質問で返すとテストで0点なんですよー。」
「だいたい、生まれてから多少日が浅いからって、守られて当然とか、大事にして当たり前とか、そういう認識自体が間違ってると思うんだよな。
だってあいつらが弱いのはあいつらの責任だろ?小さいとか未熟とかいうのは、俺らより遅くに生まれてきたあいつらが全部悪いんじゃねぇか。なぁ?それを『子供なんだから優しくしろ』なんてのは絶対不条理だと思うワケよ、俺は。」
「……あの、ヴェルサス?」
「じゃあお前ら、エンポリオが11歳のガキじゃなくて41歳のオッサンだったら何も言わねぇのかよ。飛行機に投げ込んだのが全員二十歳超えたやつらだったら文句はねぇのかよ?
そうやって子供だけ特別扱いしてること自体が俺から見りゃ偽善的っつーか、そのことをさも『良識』みたく扱ってる社会に対してもなんかイラつくっつーか、何よりそんなこと知りもしないで当然みてぇな顔で守られる対象になってやがるガキそのものが一番ムカつくんだよああもう子供とか全部滅びりゃいいのによォォォォ。」
「おーい、ヴェルサス?え、何のスイッチ入っちまったんだよ。オイ、帰ってこいって!」
「いっそよぉ、ガキってのはみんな母親の腹ン中で20年くらいがっつり育ってから生まれてくるようにすりゃいいじゃねぇか。人間以外の動物はみんなそうやって、一人で生きていけるようになってから出てくるんだぜ?それを、勝手に未熟のまんまで生まれてきたような分際で『弱いから守ってくれ』だぁ?ハッ!冗談じゃねえ、甘ったれてんじゃねえよガキのくせに!お前らが弱いのはお前らのせいだろーがよォォォォ。ガキだからっていつも守ってもらえると思ったら大間違いなんだよ、全くよォォォーーッ!」
「あ、と、父さん!ちょうどよかった、どうしよう……ヴェルサスが、なんか止まらない。」
「………ドナテロ、私もそう思う。子供とはすなわち、小さな大人だ。年齢ごときで特別視する必要は、全くない。」
「親父!だよなぁ、やっぱ親父もそう思……!」
「だが、もし私が12歳のころのお前と会ったとしても、私はお前を助けただろう。
それはお前が幼い子供だったからではなく、お前が私の息子だからだ。」
「……え…………。」
「そう言いたかったのだろう?……だから、自分が救われなかったからといって、お前が子供を攻撃する必要はないんだ。
な?ドナテロ。」
「…………う……ああ…………!
う………うわああああーーーーーーッ!!親父ィィーーッ!!」(ひしぃっ)
「よしよし……いい子だ、ドナテロ。」
「あ、ああ!今のってそういう話だったんですか!」
「全然わからなかった……すごいな、父さん。」
(自分が子供の頃誰にも守ってもらえなかったから、だからヴェルサスは子供が嫌いかもしれないと思った)
<はじめての>
「(コホン)あー……その、リキエル。ちょっといいか。」
「うん?何、父さん?」
「その、実は午後からエンヤが来るそうなんだが、うっかり茶菓子を切らしていてな。
ヌケサクやアイスは買い物には向かんし、テレンスは夏の祭典だかの準備で休みをとっている。……で、ちょっと買い物を頼まれてほしいのだが。」
「ああ、わかった。で、何買ったらいい?」
「そうだな、近所に和菓子屋があったろう。そこでおはぎを、家族分とエンヤので、6つ買ってきてくれ。」
「うん。」
「父さん、僕これから組織のアジト行きますから、ついでに僕行ってきましょうか?」
「あ、兄貴。」
「い、いや、その、気持ちはありがたいが、実はその、この間プッチが十字架を忘れていったから、ついでにそれも届けてもらおうと思っていてな。プッチのいる教会は確か、ハルノのギャング組織とは反対方向だろう?だから、まぁ、ハルノは気にしなくていいから。」
「はぁ……。まぁ、ならいいですけど。」
「それに、リキエルならプッチとも仲がいいしな。な?リキエル、頼めるか?」
「あ、うん……。」
「そうか、よかった。じゃあ、これカゴと財布な。金は中に入ってるから。じゃ、いってらっしゃい。」
「なんだったんだろう……父さん、わかりやすく怪しい態度だったけど………。」
テクテクテク。
「…………。(妙だな……なんか、後ろから視線を感じる………。)」
テクテクテク。
テクテクテク。
「………………。(足音……間違いない、これは付けられているッ!)」(バッ!!)
「!!」
「一体何者ッ……って、あれ?お前は……ええと、父さんの部下の………確か、スティールボールラン、だっけ?」
「……いえ、スティーリー・ダン、です。」
「ああ、そう。で、こんなところで一体なにやってるんだ?しかもビデオカメラなんか持って………………………………ハッ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「……ま……まさか、そんなッ!父さんはまさか、そのつもり でッ!?」
(「俺、もう23歳なのに!別に「はじめて」でもないのに!」byリキエル)
<夏祭り・1>
「…………ああ、確かに私は言った。
祭りの会場ではぐれると二度と再会できないなどという話があったりするが、我々には血縁の感覚があるからそのあたりの心配はいらないな、と……。
…………だが、それはあくまで『万が一離れてしまっても大事には至らない』という意味であって、『あとで探せるから全員バラバラに行動してもかまわない』というつもりで言ったのではないのだ、息子たちよ……!」
「いやー……一瞬の出来事でございましたね。さながら、クモの子を散らすのを見るかのようでした。」
「私も呆気にとられて、時を止める暇さえなかった……。くそう、家族そろってイカ焼きでも食べながら縁日を見て歩くという私の計画が………。」
「それで、いかがなさいますかDIO様?お一人ずつ探しに行かれますか?」
「いや……こうなっては仕方がない。花火の前になってからにしよう。一応集合場所は伝えてあるし、皆それぞれ行きたい所や買いたいものがあったのだろう。
それに、なんとなく向かった場所は見当がつく。ハルノはほぼ確実にチョコバナナだし、ドナテロは焼きそばやお好み焼きなどの粉もの。リキエルは飴細工やたこ焼きなどの技巧系に見入っているだろうし、ウンガロはくじ引きや射的などのゲームあたりにいるはずだ。」
「お見事でございます、DIO様。」
「ふっ、伊達に丸一年も父親をしていないからな。(えへん)一応こういうこともあるかと思って、すでに小遣いは渡してある。」
「なるほど。それでしたら、もしかしたら所持金を使い切った時点で皆様自発的にお戻りになられるかもしれませんしね。」
「ああ。一人二万ずつ渡したのだがな。」
「……………祭りの屋台で二万って、使い切る方がむしろ難しいのですが。」
「そうなのか?今時の物価はどうにもよくわからん。円表示だし。」
「(屋台の種類にはやたらと詳しかったくせに……!)」
「ともあれ、こうなったら私もさっさと行くとするか。テレンス、貴様もこの後は好きに行動していいぞ。花火が始まる10分前になったら、ヌケサクとアイスに場所取りさせている広場へ向かえ。」
「はぁ……ところで、DIO様はどちらへ?」
「カーズのやつが、出張で店を出しているんだと。常連としては一度くらい顔を出してやらんとな。たぶん承太郎やディアボロなんかも来るだろうから、そこで時間もつぶせる。」
「……………なんというか、別行動にしてある意味正解だったような気がいたしますね……。」
(家族全員、本っ当に目当てのものがバラバラ)
<夏祭り・2>(無駄家族以外も出演)
「おお、やはり来ていたか、承太郎。おや、プッチも。早いな。」
「てめぇが遅すぎるんだろ。やれやれ、だがよかったぜ。神父と二人ってのはどうにも話題が噛み合わなくてな。」
「やぁ、DIO。あれ、息子たちは?」
「………………花火まで別行動中だ。」
「…?ふぅん。」
「ふっ………やれやれだぜ。DIO、浴衣の着方が間違ってるぜ。」
「何?」
「左前になってるじゃねえか。そりゃ死人用だ。ま、一回俺に殺されてるテメェにはふさわしいといえなくもないがな。
なんにせよ、普段帝王だなんだといってる割にはずいぶんと典型的なミスをする奴だな。」
「………承太郎、貴様こそ何を言ってるんだ?今回、死者は全員この着方で祭りに参加するというルールではないか。」
「……あん?」
「まさか、知らないのか?この祭りでは、作中で死んだ奴は全員着物は左前と義務付けられているのだ。うちの息子も、ドナテロだけは私と同じく左前だった。多分吉良も左前で来るのだろう。あいつの場合家族になんて言い訳するのかはわからんが。」
「……ま、待てオイ、義務ってなんだ、誰が決めたんだ、ンなこと。」
「さぁ。(荒木)神とかじゃないか?」
「………………………。」
「ちなみに、判定の目安は加速の直前までね。それ以降だと生きている者の方が少なくなってしまうから。だから承太郎もギリギリで生存側となるわけだ。ウェザーやFFはアウト。私は一巡後まで生き残ったから当然右前♪」
「問題はディアボロの判定なんだよなー……。まぁ、奴のことだからこんな時だけイタリア人ぶって着物を着てこないというのも十分考えられるのだが。」
「………………シュールな………。」
(浴衣はお前らのための死亡判断基準じゃないんだぞ)
<夏祭り・3>(無駄家族以外も出演)
「ほっ……と。やったぁ〜ッ!これで五本連続見事命中ッ!!いやー、輪投げって面白いわねー♪そういう訳でヴェルサス、あんたの負けよ。」
「テメェェ徐倫ーーーッふざけんなーーーッ!!その的から指までまっすぐ伸びた糸は一体何だーーーーッ!!」
「あら、知らないの?……バレなきゃイカサマじゃあないのよ。」
「バレたじゃねぇかッ、今ッ!」
「ゲームが終わってから気づいたって遅いのよ。悔しかったらアンタもバレないイカサマで勝負するか、さもなかったら実力で取り返してみなさいよ、この精密動作性C。」
「ち、ちくしょォォォーーッ!!テメェのストーンフリーだってCのくせにッ!!うわああーーーーん兄貴ィィーーッ!!」
「全くもう……揃いも揃って情けないですよ、3人がかりでたった一人、しかも女性に負けるだなんて。特にリキエル、あなた覚悟はどうしました。」
「えっと……集中しようと思えば思うほど、さんざん投げつけられた石の痛みを思い出してまぶたが……。」
「………仕方がありませんね。弟たちの不始末は兄の不始末。ここはこの5部主人公にしてブランドー家長男のジョルノ・ジョバァーナが、正々堂々決着をつけてやろうじゃありませんか!」
「そのセリフ、後で後悔しても知らないわよ……。あたしも空条家の名に賭けて、そしてジョースターの末裔として、ここで負けるわけにはいかないッ!!
でも既にあたし輪投げ屋のおっちゃんに白い目で見られてるから、勝負方法はこれじゃなくて別のでお願いね!」
「いいでしょう。それでは、あちらの金魚すくいへ移動しましょうか。」
がやがやがやがや。
「これが、今もらった僕のポイ(=金魚をすくうための紙が張られた道具)です。細工がないかどうか、どうぞ手に取って確認してください。」
「OK。じゃ、あたしのもどうぞ。」
「行けーーッ徐倫ーーッ!こんな腰抜け野郎どもの兄貴なんざ叩き潰しちまいなーッ!」
「はんッ、兄貴を馬鹿にすると痛い目みるぜ?何しろ俺ら兄弟の中じゃ文句なしで最凶の腹黒の称号を誇ってるんだからな!」
「頑張れ兄貴ーー!出番もなく敗れていったオレらの仇を討ってくれぇぇーー!」
「すいませんがそこのリーゼントの人、ちょっと開始の合図してくれますか?」
「え、俺?ああ、別にいいけど。
んじゃ………レディ・ファイトッ!」(バッ)
ぱしゃんッ!
ッバシャバシャバシャバシャバシャッ!!
「っな……!?こ、これはッ!あたしがポイを水につけた瞬間、金魚がものすごい勢いであたしの周りから離れていくッ!?あんた、一体何をッ!?」
「さぁね……僕は何も。波を立てすぎたんじゃないですか?金魚は振動を嫌いますからね……ふふふ………。」
「…あ……あれは!徐倫のポイにだけ、紙回りの針金の部分に鱗のような模様がッ!!まさかッ、兄貴はッ!!」
「ああ……ありゃあ鱗の模様なんかじゃなく、本物の鱗だ……。さっき互いのポイを交換して細工の有無を確認しあった時、兄貴は逆に徐倫のポイに生命を与えて海蛇にしやがったんだ!これでは、天敵の匂いを感じ取って金魚は近寄ってこねぇっ!!」
「…………気のせいかな。さっき勝負申し込む時、兄貴が『正々堂々』って言ってたのオレ聞いたと思ったんだけど。」
「空耳だろ?兄貴に限って。」
「くっ……まずいわ!ストーンフリーで網を作って文字通り金魚を一網打尽にする予定だったのに、その金魚が寄ってこなくては意味がないッ!なんとしてでも、早くこのイカサマを暴かなくてはッ!!」
「無駄なんですよ、無駄……仮にイカサマを見抜いたところで、あんたはもうイカサマを心の中で容認している。自身でもイカサマをするつもりだったというならなおさらだ。イカサマはもはやあんたの中でルール違反ではないッ!!」
「ううっ……ならば、一旦アンタを再起不能にしてから金魚をすくえば……!」
「兄貴逃げてーーッ!!」
「おいコラ!それもう金魚すくい関係ねぇから!」
「どちらにしても遅いッ!勝った!金魚はすくわせてもらうッ……!!」
べり。
「「あ。」」
シー……ン。
「…………ちょっと。紙、破れたわよ。」
「……はい、見えてます。」
「「…………………………………………………。」」
「……そーいや兄貴も、やっぱスタンドの精密動作性Cランクじゃねーか……ッ!」
「計算外だったなー………あー、兄貴フリーズしてるよ。」
「………………………………で、どうするの?」
「……………………………。(すっく)
さーて、と。そろそろ、父さんとの待ち合わせ場所に行くとしましょうか。」(だっ)
「こらーーーーッ!!爽やかな笑顔でごまかして逃げようったってそうはいかないわよこのコロネーーッ!!」
「逃げてませんッ!これはファンタジーとかでよくある『邪魔が入ったな……勝負はこの次にとっておいてやろう』ってやつですッ!!」(ダッシュ)
「待てっつってんのよ!右か左か好きな方選ばせてやるわッ!!結局やるのはオラオラだけどね!」
(ジョルノvs徐倫、勝敗がつくのはいつの日か。以下次号!(嘘))
<夏祭り・4>
「ほら、行くぞ、徐倫。」
「えー?だって親父……。」
「普段なら好きにやれ、と言うところだが、今日は祭りだ。お前だって、こんな日に乱闘騒ぎ起こすような無粋な真似はしたくないだろ?」
「そりゃ、そうだけど……。」
「……それに、言いづらいんだが、今日の会計DIO持ちだったんだ。今あいつの息子をボコるのは、多少気マズい。」
「んもう、しょうがないわねー。」
「それじゃ、行くとするか。」
「はー……危ないところだったな、兄貴。」
「……ですね……ありがとうございました、父さん。」
「なに、無事でよかった。」
「ヤバかったよなー。親父が承太郎連れてこなかったら、マジで兄貴もオラオララッシュの餌食になるとこだった。知ってるか?あれって喰らうと顔面が変形するんだぜ?」
「ウンガロ、テメェも喰らったことねぇだろうが。知ったかすんな。」
「僕としたことが……まさか敗北フラグの代表である『勝利宣言』をしてしまうだなんて、油断した……。」
「まあまあ、そんなこともあるって。あ、ほら!始まったぜ!」
ひるるるるるる…………パーーーン!
「おおおー!!すっげぇぇーー!」
「ウンガロ、こういうときは『たまや』『かぎや』って叫ぶといいんですよ。」
「へぇ?なんで?」
「日本の風習だそうです。」
「……『たまや』ってのは、花火の玉作ってる店だよな?多分。んじゃ、『かぎや』ってのは?」
「………普通に鍵屋さんなんじゃないですか?」
「鍵屋がなんで花火にかかわってんだよ。」
「………………あの、花火を打ち上げる大砲についてる、安全装置用の鍵を作ってるとか。」
「ああ、なるほど。」
「(絶対違う……)……お、次上がるぞ!」
ひるひるひるひるひる……………パパーーーン!パパパーン!
「たーまやーーっ!」
「おおーーッ!!16連発!」
「なんか遠くで、マジシャンズなんとかーとか、クロスファイアーかんとかーって聞こえるけど、あれもなんかの掛け声かな?」
「……いや、あれは恐らく運営委員のエジプシャンの声だろう。」
「?ふーん。」
「かぁーーぎやぁーーっ!」
(………『祭り』や『花火』が夜やるもので、本当に良かった。)
(そう思ったのは父か、それとも息子か)
<スペル>
注:まずは、<略称>をお読みください。
「なぁ、兄貴。」
「なんですか?ヴェルサス。」
「あの時つい言いそびれちまったから、今言うんだけどさ。」
「はぁ。」
「……………………『アンダー・ワールド』のイニシャルは、U・Wだ。」
「………………………………………………。」
「………………………………………………。」
「……………………………………………………あれ?」
DO・TE・I・NO・U・GAAAAAAAAAAAッ!!
「ああああーー!!ド低能の匂いを嗅ぎつけて最終フォーク魔人フーゴが攻めてきたーーーッ!!」
「兄貴ィィィィィィッ!!てめギャングの仕事ばっかかまけてねぇでちゃんと英語とかも勉強しやがれこの現役中学生ーーーーッ!!」
(さて、私もちょっくら頭にフォークぶっ刺されてきますか)
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現在、管理人が夏休みに入ったため愛が暴走中。
無駄家族だけで10ページ目突入とか、昔なら考えられなかったなぁ。