<将来設計>

「なぁー、リキエル?人間が年食って人生に絶望し始めるのって何歳くらいだと思う?」
「ええええ?い、生き方にもよると思うけど‥‥急になんだよウンガロ、ヤクのゆり返しでも来たか?」
「違ぇし、やってねぇし。
 いやさー、オレ将来人間として生きんのに飽きてきたら親父に血ぃ吸ってもらって吸血鬼になって第二の人生始めようかと思ってんだけど、人間ライフって具体的にどれぐらいで飽きるもんかなと思って。
 ほら、あんまジジイになってからじゃ親父と年の差が出ても嫌じゃん?オレらまだ若いけど、こういう将来の進路とかって早めに決めといた方がいいだろ?」
「ウンガロ‥‥‥はぁ‥‥。
 お前なぁ、将来考えるのは良いけどもうちょっとマシな考え方しろよ。」
「(ムッ)んだよ、オレの未来予想図のなにがいけねーって言うんだよォ?」
「いいもなにも‥‥‥‥‥。

 ‥‥‥血を吸われてなるのは、吸血鬼じゃなくて屍生人だろ。」

「‥‥あ。」
「ちゃんと吸血鬼なりたいなら石仮面だろ。骨針刺すとか怖いけど。
 あと、吸血鬼になったらその時の年齢関係無く20代くらいに若返るんだから、別に幾つでも、最悪老衰直前でも問題ははないと思うぜ。まぁ俺は脳が正常な内になりたいから、50から60ぐらいの内にするつもりだけど。」
「あ、なんだよ、リキエルもその気だったのかよ。なーんだ。
 いや、しかし屍生人はうっかりしてたぜ。サンキューな、リキエル。」
「いいって。こういうのはやり直しが効かないから、お前の言うとおり早めにちゃんと考えとかないとな。後の問題は、どうやって石仮面を入手するかだけど‥‥。」


「お前ら、アホなこと話してんじゃねえよ、全くよォォォ‥‥。」
「あ。ヴェルサス。」
「特にリキエル、お前何弟に適当な事言ってんだ。ウンガロが本気にしたらどうすんだよ。」
「(ムカッ)どういう意味だよ、ヴェルサス。俺の何が適当だって?言いたいことがあるならはっきり言ってみろよ‥‥。」
「ハッ、いいのか?なら、言ってやるよ。いいか‥‥‥‥‥‥。

 血を吸われりゃそりゃ屍生人になるが、血を『与えられ』りゃ吸血鬼になるだろうが。ヌケサクとかヴァニラみたく。」

「‥‥‥‥あっ、あああああッ!」
「おやじが自分で説明してたろうが。忘れたのか?(<違いの分かる男>参照)ま、眷属とかになっちまう可能性もあるから、石仮面がベターなことに変わりはねぇけどな。
 ついでに、その石仮面だけど‥‥‥探すも何も、近所の居酒屋にその製作者がいるじゃねーか。」
「うわああッ!そういえば!
 なんてこった‥‥ごめん、ヴェルサス。考えが足りないのは俺の方だった。」
「ったく、詰めが甘いんだよ。
 あ、あと、さっきの年齢についてだが、50とか悠長なこと言ってねぇで早めになっとけ。」
「え、なんで?リキエルの言った通り、おやじの最初の実験台みたくジジイでも若返るんじゃ‥‥。」
「馬ッ鹿、その浮浪者のジジイ、自分のパワーに身体が追いつかなくてズタボロになってたろうが。他にも、ツェペリの父親とかナチスの実験台(=サンタナの朝ごはん)とか、ジジイで石仮面かぶった奴らはみんな知能もねぇただの化け物になってたろ。
 自我も肉体もしっかりしたまま吸血鬼になりたいなら、それこそ波紋戦士並にアンチエイジングしとくか、さもなきゃ若いうちにデビューしとくのが一番いいんだよ。俺は少なくとも、35までには実行するつもりだぜ。」
「早ッ!?あと10年もねーじゃねえか!?スゲェェーー覚悟決まってるゥゥーーッ!」
「ヴェルサスのことだから直前でビビって延期するってのも考えられるけど、でもそれだけ考えてるってすごいな。流石ヴェルサス、気合入ってるな。」
「グフッ、当然だろ?なんせ人生一度きりだからな、計画は慎重にいかねーとってリキエルテメェ前半部分はどういう意味だコラ。」
「あててて、ごめんごめん。」
「しっかし、オレら全員将来吸血鬼志望かよー。普段似てねぇ割に、本当こういう時だけは気味悪ぃくらい一致すんのな。」
「なー。俺一人くらいは親父の側にずっと残ってやらないとって思ってたのに、これじゃ当分はお前らの顔見ていそうだなー。」
「おいリキエル、やっぱりお前そういう魂胆かよ。ったく、油断も隙もねぇ。」


 やいの、やいの。


「(‥‥‥‥盛り上がっているようだし、もういいか、ツッコむのは。)」



(ディエゴ は ツッコミ を 放棄 した !!)









<激おこ>

「そういやさ、ウンガロ。あの『激おこぷんぷん丸』っての、流行語大賞取るかと思ったのに結局取れなかったな。」
「あー、まぁ流行ったっつっても、ネットとかでしか使われてねぇしなー。言うのも大概女ばっかだし。」
「知名度はあったろ。でも確かに、あれかなり女々しい言い方だろ?
 な、だからさ、もっと男らしい表現っていうか、男が使ってもおかしくないような言い回しとかってないかと思ってさ。」
「暇してんなー、リキエル。んー、そうだな‥‥‥男じゃねぇけど、徐倫がこないだ言ってた『激怒オラオラ丸』なんかかなり男らしい表現だと思ったけど。」
「‥‥‥男らしさ通り越して恐怖だな。
 でもそれだとジョースターっぽいし、ブランドー家流にアレンジするなら‥‥‥‥激うり?」
「激うりハイハイ丸?」
「赤ん坊かよ。せめて激ハイ‥‥‥いや激無駄うりうり丸‥‥‥‥うーん、男らしさはないな。」
「んー、無理に激とか丸とかつけるからおかしくなるんじゃね?
 要は、怒りの感情を男らしく表現できればいいんだから、ここはストレートに『テメーは俺を怒らせた』でいいじゃん。」
「だからまたジョースターだって。父さん流なら‥‥‥『今!なんのためらいもなく、貴様を惨殺処刑してくれよう!』とか。」
「なら、傷口を手で抑えながら相手を睨みつけて『こ‥‥ろ‥‥‥して‥‥‥やる‥‥‥!』とかもアリだよな。」
「うわー、確かにすげー伝わるなー殺意が。」



「あの二人、和やかな顔でえらく物騒っぽい会話してるが‥‥‥何かあったか?兄貴、なんか知ってるか?」
「僕に聞かないでくださいよ‥‥‥。」



(年少組のだらだら雑談)









<静電気>

バヂィッ!!

「痛ェェッ!!ビリッときたァァーーーッ!」
「おや、コンセントですか?鉄製品にはお気をつけて。」
「バステト神じゃねーよ。つか、その言い回しテレンスやケニーGにも言われたが、流行ってんのか?」
「恐らく、父さんの部下内では。
 ご当地で色々言い方があるんでしょうね。僕がこの間仗助から聞いたのは『レッチリの仕業か?』だったんですけど。」
「あー、なるほどな。そういや徐倫もこの間電気椅子だか電気マッサージだか言ってたな。やっぱ時代によって流行り廃りがあるんじゃねーか?」
「‥‥意外にヴェルサス達って徐倫達とよく話してますよね。
 一番一般的というか、多くの人に通じる言い方ってなんでしょうか?」
「シンプルに『新手のスタンド使いか!?』でいいだろ。」
「かなりイイですけど、1・2部相手には通じないでしょうね。」
「あー、そうか。ジョナサン伯父貴とか、なんて言ってんだろうなー。」


 同時刻、ジョースター家にて。


バヂッ!

「WRYYYYッ!!おのれ、ジョジョォッ!」
「いや、僕じゃないし‥‥ていうか、静電気は波紋じゃないからね。
 もー、ツェペリさんもスピードワゴンもそうやって僕のせいにするんだから‥‥。」



(波紋戦士は大体言われる側)









<静かなる戦い>

「お、ジョルノ!悪いなー、急に呼び出したりして。」
「構いませんよ、仗助。それで、僕に聞きたいこととは?」
「いや、ちょっと参考までっつーか‥‥‥お前さ、ガキの頃に、サンタ捕まえようとかしたことあるか?」
「はぁ?」
「こう、プレゼント強奪しようと計画して、音の出る罠設置したりとか、朝まで起きて正体見ようとするとか、そーゆーやつ。経験ないか?」
「‥‥‥すみません、生憎サンタを信じられるような幼少期を送らなかったもので‥‥。
 我が家にサンタが来るようになったのって、本当ここ数年なんですよ。」
「あー、やっぱそっかー。悪ぃ、俺も父親いなかったからさ。じいちゃんが代わりにやってはいたけど、モロバレだったし。
 億泰ん家はあったはあったが、すげー小さい頃だけだったからもうほとんど覚えてねーって言うし、康一もサンタは来てたが捕獲までは考えなかったとさ。徐倫なんか、聞いた瞬間殴られかけた。」
「まぁ、彼女も親子の交流ができるようになったのはつい最近ですから‥‥。
 力になれなくてすみません、しかし一体なんの相談だったんですか?サンタのバイトでも?」
「いやー、実は知り合いの小学生にサンタの撃退法聞かれちまってさぁー。
 そいつもサンタとかもう信じてねぇし、そいつの父親も別にやりたかねぇのに、お袋さんがすっげー乗り気なもんだからやらないわけにいかないんだと。で、そのついでにちょいと日頃の鬱憤でも晴らそうかって思ったらしくて。‥‥‥正直、あいつが自分で考えた作戦の方がよっぽどエグくなりそうだけど。
 ぶっちゃけた話、その父親ってのが吉良なんだよ。で、折角だし俺らも、このチャンスに思いっきり一泡吹かせてやりてーと思ってよぉ?。」
「吉良‥‥‥ええと、父さんの飲み会仲間の‥‥‥ということは、ラスボスですよね。
 なんだ、それなら早く言ってくださいよ。そういうことなら、僕にも協力できますよ。」
「お!マジか?」
「ええ、要は相手に家屋に侵入させないまま撃退、及び殲滅すればいいんでしょう?
 まずは、侵入される危険のある出入口に罠を設置。音の出るものと言いましたが、できるだけ静かなものにしたほうがいいでしょう。標的に逃げられる危険も増しますし、なにより深夜では近所迷惑になる。
 となると爆発系よりも、水や、氷‥‥‥なら、ペットショップとンドゥールさんですね。僕の紹介といえば二人とも快く協力してくれますから。どちらも獲物を逃がさない仕事人ですから、音もなく敵を撃ち抜いてくれること請け合いですよ。
 それと、万が一家屋内に侵入された場合に備えて、ケニーGに家の中を迷宮にさせておくのもよいでしょうね。幻覚を目くらましにして、潜んだヴァニラさんが背後からガオンと‥‥‥ああ、お母さんは一般人でしたっけ。では寝静まった頃に発動させて‥‥。」
「ちょっちょっちょっちょっちょい待て、頼むから待て。
 ‥‥なんか俺、説明の仕方間違えたか?俺が言ってんのはあくまで一般家庭での親子の交流、ちょっと過激verくらいの方法であって、ギャング流の敵殲滅術でも帝王宅式セコムでもないんだよ。」
「えー?」
「えーじゃねぇし。」
「だって、相手はラスボス、つまりは吐き気を催す邪悪なんでしょう?なら何を遠慮する必要があるんですか。」
「確かにあいつは殺人鬼だし俺らも色々あったけど今は不可侵条約的なアレなんだよ!それとも何か?お前ん家はそんなやり方でサンタの親父さん撃退すんのか?」
「なに言ってるんですか!父さん相手だなんて、三重の意味で不可能ですよ。
 第一に、うちの父はこの程度では倒せません。第二に今の策の主力は全て父さんの部下ですので、そもそも罠が成り立ちません。第三に、僕らがこんな計画を立てたことを知った時点で、父さんは泣きます。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」



(説明の仕方ではなく、相談する相手を間違えたことを悟る仗助。吉良さん逃げてー。)









<白い息>

「うう〜〜〜ッ寒ィーーッ!
 あークソ、早く帰ろうぜーディエゴ‥‥‥‥‥‥‥‥‥あ。」
「?どうした、ウンガロ。」
「‥‥息が白くねぇ‥‥‥あれ、ディエゴやっぱ最近人間やめた?」
やめてないッ!!
 だからそんな、髪型替えるような軽いノリで人間卒業してたまるか!!」
「半分近くやめてるくせに‥‥‥恐竜化で。
 え、じゃあなんで吐く息が白くねえんだよ?」
「白いだろ、ほら。(はーーーっ‥‥)
 単に、元々の体温が低いんだ。あいつのように体温がないわけじゃない。」
「体温が低い‥‥‥ああ、やっぱ変温動物だから。」
「かじるぞ。」
「ごめんごめん。
 ‥‥‥あーあ、でもやっぱいいよなぁ〜、ディエゴは。そんなとこまで親父に似てて。」
「‥‥‥‥‥‥‥。」
「オレもなんか、ひとつくらいあってもよかったのにさぁ。親父と似てるとこ。」


 あんな奴と共通する部分を欲しがるというのは、どうにも共感できないが。
 それでも、こいつが溜息と共に吐き出す息は、確かに俺やあいつとは比べ物にならないほどに白くて。

「‥‥‥物の考え方や価値観は、案外似ていると思うがな。お前ら二人。」
「気休めはいーって。」


 力なく笑うこいつに「そんなことない」と即答してやれる程、俺とこいつはまだ付き合いが長いわけでもない。

 それでも、多少は気晴らしになればと、俺は意識して大きく息を吐き出した。



(似てるのが嫌な人、似てないのを気にする人。ないものねだりもあるけれど。)









<一発芸>

「聞いてくださいよヴェルサス。定職についてない貴方には縁のない話かもしれませんが、今は忘年会シーズンなんですよ。」
「とりあえずテメェが相談する気がないことだけは分かった、表に出ろ。」
「待って下さいってば。
 で、組織の方で忘年会があるんですが、そこで何か芸を披露する必要があるんです。」
「芸だぁ?ボスのテメェにゃ関係ないだろ。」
「立場ではボスですが、同時に新入りでもありますから。なにより無礼講の場ですからね。
 で、そこで‥‥‥‥‥その、実は‥‥ミスタから、父さんの物真似を‥‥‥。」
「やれって言われたのか!?
 おいおい上司に無茶ぶりパワハラとはいい度胸じゃねーか、構うこたねぇ即座に粛清してやれよ。」
「いえ、そうではなく‥‥‥僕が去年の忘年会で父さんの物真似を披露したんですが、今年は絶対にするなとミスタから釘を刺されてしまって。」
「何故したし。」
「アニメも始まった頃で、旬なネタだと思ったんですよ‥‥。あ、でも勘違いしないでくださいね。ボスとしての威厳を失うような行為、例えば最高にハイとかWRYYYポーズとかそういうのをやったわけではないですから。」
「ほー。じゃ、どんな?」
「父さんがかつてポルナレフさんの再勧誘に使った長台詞とか、恐怖を克服する云々のくだりとかを、ポーズ込みで。あ、あと、上院議員さんを父さんからレンタルして『歩道が広い』の辺りを少々。要はカリスマ系ですね。
 一部の部下からは大変好評で、是非また見たいと言ってもらえたんですが、何故か護衛チーム内では不評で‥‥。特にミスタからは『あれ以上やったら組織が崩壊する』とまで言われてしまったもので。」
「部下マジGJ。」
「そういう訳でどうしましょう、今年の忘年会隠し芸。その前の年にやった人体切断マジックは、中にディアボロを入れてたせいで苦情殺到になりましたし。」
「そこでなんで花咲かすとかそういう平和なマジックにしなかったんだ。」
「芸はスタンド使用禁止ってルールなんですよ。
 毎年、暗殺チームは全員で歌とダンス、スクアーロとティッツァーノは夫婦漫才、チョコラータはセッコ回しと演目が決まっているので、それと重ならないジャンルで、かつインパクトのあるもの、出来れば大がかりな準備のいらないものがいいんですよね。そういう意味で、昨年の父さんの物真似は本当にピッタリだったんですが‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥あー‥‥‥‥‥ディエゴの物真似でもすれば?」



(投げやりヴェルサス。ジョルノがどんどん常識を投げ捨てたボケ担当ファザコンに‥‥。)









<門松>

「ゴールド・エクスペリエンスッ!
 無駄ァッ!無駄ァッ!」(ゴスッ!ゴスッ!)

メリ‥‥メキキ‥‥!
にょきにょきにょきにょき‥‥

「‥‥‥よし、高さはこんなものですかね。」
「おい、なんか形違くねぇか?
 こう、もっと斜めに尖ってた気がするぜ。」
「植物自体は竹で合っていたはずですが‥‥。まぁ、加工するとダメージ反射がありますし、多少の誤差は目を瞑るということで。」
「適当だなぁ、全くよォォォ。」
「しかし、これではあまりに簡素ですね‥‥。」
「あー、写真で見た時は確かこう、縄とか赤い何かで色々飾り付けてた気がするな。」

「おーい、悪ぃ遅くなった―。
 とりあえずクリスマスん時使ったモール見つけたから、これで代用しようぜ。」
「お、ウンガロ。おっしゃよくやった。」
「んー、でもまだ何か足りないなー。なんかこう、丸いものとかもついてなかったかぁ?彩り要因的な、実みたいなの‥‥。」
「正月で、飾りの実なら多分みかんだろ。カガミモチにも乗っかってるし。」
「ベネ。それですリキエル。
 みかんではありませんが、ちょうどここに先日年末の挨拶に来たオインゴさんが忘れていったオレンジがあるので、これを代わりにくくりつけて‥‥‥。」


「御子息方ーーッ!ただ今ヴァニラが買い物に行っていますので!!ご好意は大変ありがたいですがどうかご容赦をーーーッ!」



(うろ覚え門松(ダメージ反射竹にクリスマスモール&爆弾オレンジ装備)、完成寸前に阻止)









<失くした記憶>

ガチャッ。

「‥‥‥まだ起きているのか、ハルノ。」
「あ、父さん。
 すみません、この書類だけ終わってから‥‥。」
「ギャングの仕事だろう。忙しいのはわかるが、明日にしろ。
 眠りの不足は、命を削る。組織よりも、まずは己の身を何より優先させろ。そんな紙切れごときに、お前の命を懸ける必要などない。」
「‥‥‥大袈裟ですよ。」
「大袈裟なものか。お前はどうにも根を詰めすぎるところがある。
 万一無理がたたって過労で倒れでもしてみろ、しばらく館から一歩も出さんからな。」
「‥‥‥わかりましたよ。今日は、もう寝ます。」




 バシャァッ!!

「う熱ッ‥‥!」
「リキエル!手か!?見せてみろ!!」
「ごめ、ディエゴ、コーヒーこぼした‥‥‥。」
「馬鹿!言ってる場合か!すぐに冷やせ!!」

キュッ、ジャァァァァァ‥‥

「‥‥‥よし。いいか、赤みが引くまで流水から手を離すなよ。今、氷をとってくる。」
「平気だって、こんくらい‥‥。」
「火傷を甘く見るな。酷いものなら感染症を引き起こすことだってあるんだからな。
 いいから、しばらくそこでじっとしていろ。もし勝手に離れたら腕ごとペットショップに氷漬けにさせるぞ。」
「はいはい。‥‥‥ありがと。」




 心配してくれることが、嬉しくないわけじゃない。
 それでも、感じずにはいられない。
 二人の言葉の、その向こう側にいる存在のことを。


「‥‥兄貴もか?」
「リキエル‥‥貴方もですか。」




 あの二人がかつて、僕らの知らない暖かいものをその身に受け、そして失ったのだということを。



(無自覚ながら、根底に根付くトラウマ)









<被写体>

「ふむ‥‥部下からの反応を見る限り、今年の年賀状はなかなか好評のようだな。」

バササッ‥‥ちょん。

「む、ペットショップか。丁度よかった。
 後でお前の後輩に、今年の年賀状はお前のお陰で良い出来であった、と伝えておいてくれ。」
「‥‥クェ。」(バササッ‥‥‥)



バササササッ‥‥てん。

「クェー。(おーい、シルバーバレットー。)」
「ヒヒン?(あ、先輩。何か御用ですか?)」
「クケー、クェギギ。(喜べ、DIO様からお前にお褒めの言葉があった。年末作ったあの年賀状が良い出来だったとさ。)」
「ブルルッ、ブルルル‥‥。(え、本当ですか?
 ありがとうございます。写真自体はディエゴ様の取材とかで経験あるんですが、単騎で写るのは慣れてなくて‥‥緊張してたんですが、それを聞いて安心しました。
 けど、なんか照れるなぁ‥‥///)」
「‥‥‥クェッ!ニギギイイ、グガッ!(‥‥ケッ!いい気になるなよ、新入りが!お前は単に、今年が午年だからって選ばれただけなんだからな!
 俺だって、あと3年もしたら酉年で出番なんだからな!調子に乗るなよコノヤロ!)」(ツンツンツン!ツンツン!)
「ヒヒンッ!(痛ッ!ちょっ、先輩わかりましたから!たてがみ突つかないで下さいよ!)」



(先輩後輩のじゃれあい、ただし人外)









<背格好>

「やあ、DIO。遊びに来‥‥‥おや。」
「‥‥‥WRY?なんだこの表示は……ええい、わかるように言わんか、機械の分際でこのDIOに逆らうとは‥‥‥。」(ブツブツ)
「(おやおや‥‥‥携帯に悪戦苦闘している。本当にDIOは機械に弱いなぁ。どれ、少し手助けしようか。
 なぁ、DI‥‥。」

「ん?おおドナテロ!(くるっ)ちょうどよかった、ちとこの操作について聞き‥‥‥‥‥‥あっ。」

「‥‥‥‥‥‥‥‥。」(←声かけようとした姿勢のまま静止)
「‥‥な、なんだプッチ、君だったのか。驚いたな、いつの間に来ていたんだ?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「いや、すまない。恥ずかしいところを見せてしまったな。その、後ろに立った時の感じというか、背格好が似ていたものだから、ついな。
 そうだよな。ドナテロであればこの距離で血統の感覚がこれほど薄い訳がないものな。うむ、このDIOとしたことが。」(←照れのあまりやや早口)
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「それで、プッチ。もしよければ、この携帯で写真をメールに『てんぷ』する方法をだな‥‥‥‥プッチ?おい、どうしたプッチ?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ッ!!」(遅れてやってくる絶望)



(身長・体重・血圧・足の大きさ・腕の太さまで同じが故の悲劇)










    


--------------------------------------------------------------------------------------------------
 ネタを思いつく速度と書き起こす速度と更新する速度が釣り合わない‥‥orz