<教育>
「息子達よ。私は今まで、お前達を守ることを第一に考えてきた。
腕っ節や頭脳など二の次でいい。正義だの常識だの、そんなことに縛られずともよい。ただ、元気で……日々を楽しく過ごしてくれさえすればそれでいいと、そう思ってこれまで接してきた。
だが、他所の家庭………息子に死の覚悟を与えるために油の柱を登らせる母親や、彼氏を教育しようとして別荘に監禁する女子高生の話などを聞くうちに、思うようになったのだ。
私の教育方針は、間違っていたのかもしれないと。」
「間違ってないよ!!全然間違ってないよ親父ィ!!!」(必死)
「考え直して!考え直すのを考え直して!!」
「いや、私もな?酒の代わりに薬買ってきただけで殴られたり、マナーがなってないからと言って夕食抜きにするような体罰上等の教育にはどうにも抵抗があってな。ゆえに配下に対してさえほとんど怒鳴ったりしたことはない。ホルホースの時も少々諭すだけだったし。」
「……そ、そうかなぁ…?あれは『諭す』っつーか『脅す』の域だったような……。」
「だが、こんな物騒な世の中で生きていくためには、やはり多少は自衛を学んでおいた方が後々のためかもしれない、と思ってな。
特に、ハルノを除く三人はスタンドが発現して日が浅いということもある。何かある前に、ここは私自らがスタンドの操り方、己の身の守り方について教え伝えてやるべきなのではないのか、と、色々考えそういう結論にいたったわけなのだ。」
「……大変ご立派な考えだと思いますが、父さん。一つ質問があります。
先ほど父さんの部屋で、最近購入したと思われる『パパカッコいいと言われる親子交流の秘訣〜アウトドア編〜』という本が発見されたのですが、今回のことと何か関係は。」
「えーそういうわけで明日より特訓を行うので全員心しておくように!以上ッ!!」
「待て親父ゴラァァァァァァァッ!!逃げんなこのマニュアル吸血鬼ィィィィィッ!!!」
(帝王様、影響されやすすぎ)
<特訓>
「さて、昨日言ったとおり今日は戦闘についてのレッスンを行う。」
「…結局やるのか…やっぱり……。」(がっくり)
「とはいっても、こういうのは理論だけどうこう言ってもそうわかるものではない。己の体で体験し、感じることによって、言葉でなく心で理解できるものなのだ。
そういうわけで、今日は模擬試合として、ここにいるペットショップと戦ってもらう。」
「クェー。」
「って我が家の二大兵器だろそれ!!殺す気かッ、俺らをッ!!!」
「案ずるな、ドナテロ。試合といってもあくまで模擬だ。ペットショップにも手加減をするようよく言い聞かせてある。
それにいかに特訓とはいえ、父としてお前達を傷つけるつもりなど毛頭ない。生命の保証はおろか、怪我一つさえさせはしない。なぁ、ペットショップ?」
「………クェ。」
「何?『善処します』ってお前、それじゃ駄目だろう。」
「クェ。クェクケ、クェー。」
「ふむ……まあ確かに、殺傷能力の高いスタンドだからな……やはり流石に、無傷は難しいか。一応ハルノもいるわけだから、万一の時も安心ではあるし………。」
「あ、いけない。俺そろそろ病院でもらった精神安定剤を飲む時間だった。父さんごめん今日俺パスね。」
「あーっそういえばオレもそろそろ部屋の壁のシミとおしゃべりする時間じゃねえかー。残念だけど特訓は兄貴達だけってことで。」
「僕もこの時間帯はギャングの仕事の都合で、日課のディアボロ殺しをしなくては。じゃ、そういうことですのでこれで……。」
「ちょっ待てテメーらッ!!俺だけ置いて逃げんじゃねぇ!!行くならせめて俺も連れてけ!!!」
「だから落ち着け。大丈夫だというのに。
手加減するとはいえ、やはりペットショップはかなりの使い手だからな。ハンデとして、ここにいくつかの道具を用意した。
これらを武器として正しく使用すれば、たとえスタンドを使わずともペットショップを倒すことは可能だ。」
「……それを先に言えっての、ったく。第一3部格ゲーでもチートやってた奴を、武器も無しで倒せるわけねーだろうがよォォォ。」
「で、何が入ってんだ?このでっかい箱。」
「やっぱりペットショップを倒せるくらいの武器なんだから、バズーカとか、手榴弾とか、核ミサイルとか、ボストンテリアとか………。」
パカ。
箱内容:ロープ×1
木の棒×1
木箱×1
バナナ×1
入れ物の金属製箱(大)
「猿の知能テストかァァァァァッ!!!モンキーか!?モンキー扱いかッ!?」
「それでは第一戦、開始!」
「勝てるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
(帝王様、無茶振り)
<特訓・その後>
〜前回の答え〜
1.金属製の箱を盾にして、ツララ攻撃第一波を防ぐ
2.箱に伝わる冷気を利用して、バナナを釘が打てるレベルまで凍らせる
3.硬く凍りつきブーメラン状になったバナナを投げ、ペットショップに当てる
4.頭部に一撃を喰らい落下してきたペットショップをロープで縛り、木箱をかぶせて閉じ込める
「以上が模範解答例だが………まさか、道具を使用しないどころか、全員ペットショップに一撃も与えることなく敗北してしまうとは……!」
「無理だろ!!どう考えても!!
ンな無茶な方法で勝てんのは吸血鬼かジョースター一族ぐらいなもんだよ!!」
「何を言う、ペットショップは普段の半分以下の速度で飛ばせていた。あの程度なら人間レベルのパワー、精密動作性でも十分にバナナを命中させられたはずだぞ。」
「…………棒は?父さん。」
「つーか兄貴、なんで勝てねぇんだよ。オレらと違ってスタンド使い慣れてるはずだろ?主人公補正もあるハズだし。」
「スタンドの相性が悪いんですよ……。ギアッチョ戦ほどじゃありませんが、周囲の気温を下げられると生み出せる動植物が極端に減りますし。
というか、僕の時だけツララ攻撃から全体冷却攻撃に切り替えるなんて、頭良すぎでしょうペットショップ。」
「なぁ、棒は?木の棒はどう使えば正解だったんだ?なぁ父さん?」
「甘いぞ、ハルノ。そんなことでは万一レースの最中に黄金長方形のない氷の世界に誘い込まれて敵に挟まれでもしたら、為す術もなく殺されてしまうではないか。」
「何の話ですか。てか何ですか黄金長方形って。」
「全く……仕方がない。では、明日はヴァニラ・アイスとの模擬試合を行うから、全員そのつもりで………。」
「やっぱウチの二大兵器じゃねぇかッ!!いい加減にしやがれ俺はもうやんねーぞッ!!」
「なあったら!!棒はッ!!いつどこで使えばよかったんだよ!!!ウンガロがやったみたくバットみたいに振り回してツララ打ち返そうとした以外に一体どんな使い道があったんだよッ!!!
教えろよ父さん気になるじゃないかよォォーーーッ!!!」
(帝王様、投げっぱなし)
<討議>
「……ではこれより、吸血鬼の回復力・再生能力の考察討論を始めます。
今回の議題は、『散髪、あるいは爪を切った場合はどうなるのか』です。
議長は僕、ジョルノ・ジョバァーナ。
それでは各自の主張をどうぞ。まずはウンガロから。」
「おう。
推論そのいち、『切っても切っても生えてくる』。オレ的にこれが一番ありうると思う。
どれだけ髪切ってもまたすぐもとの長さまで伸びる、ってのがどっかの吸血鬼映画にもあったし。」
「なるほど。次、リキエル。」
「推論その2、『切断したものがまたくっつく』。足がとれたときしかり、首から下のすげ替えしかり、父さんのは再生能力と言うよりもむしろ復元能力。髪の毛一本にいたるまでぴたりと元に戻る、と予想。」
「ああ、ストレイツォの例なんかもありますしね。では最後、ヴェルサス。」
「推論その三、『実は伸縮自在』。肉の芽のこともあるし、肉体改造の一つや二つ親父ぐらいの吸血鬼なら全然無理じゃねえだろ。
自分の意志で長くも短くもできて、だから髪切るところも爪切るところも見たことがねぇ訳だ。」
「よろしい、これで推論はすべて出揃いましたね。
では次に、事実確認のために用いる検証手段について、なにか意見は。」
「「「実践一択。」」」
「ベネ。」
ガ シャ ア ン !
「うわあああッ!!ディ、ディオ!?
君ね、突然窓を破って飛び込んでくるのはやめてくれって、一体何度言ったら……。」
「そんなことはいい、かくまってくれジョジョ…!
なんだかわからんが息子たちが、ハサミや爪切りを握りしめて『切らせてくれ』と詰め寄ってくるのだ……!」
(人体実験、ダメ絶対!でもDIO様は「人体」じゃないから無問題☆)
<願望>
「………6月………ジューン・ブライド、か……。」
ピクッ……
「(……おい、聞いたか?今の。親父結婚願望なんかあったのか?吸血鬼のくせに。)」(ひそひそ)
「(いや、どうだろう…?前にエンヤ婆ちゃんが見合い話持ってきた時もきっぱりはっきり断ってなかったっけか?)」(ボソボソ)
「(でもこの季節だからなぁ…。飲み仲間にも何人か妻帯者いるし(注:内一人はバツイチ)、なんか寂しくなっちゃったのかも……えーでも今更母親とか俺絶対無理だぜ!?義母なんて間違いなくストレスでまぶたが上がらなくなる自信がある。)」(こそこそ)
「(無意味な自信持たないでくださいよ。それに、最悪また更に異母兄弟が増える可能性だってありますよ。
まあ父さんに限ってそんなことはないとは思いますけど……万一、僕らに向かって『母親が欲しいか』なんて言い出したら……。)」(むにゃむにゃ)
「なぁ、お前たち?ちょっと聞きたいんだが……。」
「(うわいきなり来たーーー-ーー!?)や、えと、父さん……。」
「い、言っとくけど母親ならいらねーからなッ!?」
「母親?いや、そうではなく……。
……その、お前たち誰かこう……付き合っているというか、仲がいいというか、なんかそういう感じの女性はいるのかな、と思って……。」
「ちくしょう俺らの話だったかーーーーーッ!!」(ズーン)
(未だに孫を諦めきれないDIO様)
<流星群>
「………あ、流れた!」
「え!どこどこ!?あっクソ見逃した!」
「あ、ほら、今あっちにも流れた!」
「うお、すっげ……つーか流れすぎじゃね!?願い放題じゃねーか、逆にご利益ねーな!」
「ほら、父さん!見ろって!兄貴も早く早く!!」
「待ってくださいよ、もう……流星群ぐらいでそんなにはしゃいで……ふふ。
……うわぁ……!これは凄いですね……!予報じゃ今日は雨だって言っていたから星なんて見えないと思ってましたけど、こんなに沢山星が見えるなんて、本当に……
待ってください。雨、降ってるじゃないですか。」
「あれ。」
「そういやそうだな。」
「………父さん、何かしましたか?」
「おお、気付いたかハルノ。(ふふん)
いやな、せっかくの七夕だというのに星が見えないというのも面白くないと思ってな。ちょうどプッチの知り合いに流れ星の得意な奴がいると聞いて、少しばかり頼んできたのだ。」
「流れ星の得意な奴ってなんだよ……?」
「……なんかあの流れ星共、さっきから同じ場所にしか落ちてなくね?」
「あっちって……確か徐倫達の住んでるアパート『メゾン・ド・水族館』のある方角だったような……。」(汗)
(某西木看守、大張り切り。)
<批評>
「…だからよォォー、笑顔で甘言吐いて、事情知らないヤツ騙して味方につけて、それで結局裏切られてちゃ世話ねえよなぁ?
最後も、そいつに邪魔されたのが原因でやられてるし、ダッセェ。」
「ぐ。」
「だよなー。っつーか学習しなさすぎ。
前回もさ、倒したと思って油断したせいで一撃食らったんだよな?毎度毎度相手舐めすぎだろ。勝ち誇ってる暇あったらもっと頭使えよ。」
「うぐぅっ。」
「いやいや、一応前回の反省して警戒はしてるんだよ。たださ、警戒してても結局それで狙うのが首とか頭っていうのが問題なんだって。
胴体狙えよ胴体。身体の方どんだけ執着してるんだよ。
あと、大事なトドメの時に限って圧死なんていう不確実な手段とるあたり、本当に倒す気あんのか?って思うな。」
「ぬぐぁぁっ…!」
「まあまあ、言ったところで無駄ですよ。
そもそも敵役なんですから、多少は間抜けにしておいたほうが主人公が対比して映えるんですよ。そう考えれば、この調子乗りやすいふざけた性格も多少はマシに思えるというもの…。」
「うああああああッ!!」
「……父さん、さっきから何騒いでるんですか?」
「だ…大丈夫だ……なんでもない…。」(ゼィゼィ)
「親父も一緒に見ようよー、ア〇〇ンマン。(←注:『アイアンマン』にあらず)結構面白いぜ?」
「………え、遠慮しておく……。」
(意外と共通点が多い?)
<敗北>
「い、いたたた・・・・・・くそ、油断した・・・・・・あいつめ・・・・・・!!」
「兄貴!どうしたんだ、その傷?!」
「ひでぇな・・・・兄貴がこんなにやられるなんて、一体・・・・?」
「ハルノ!大丈夫か!?一体どこのどいつにやられたんだ、言え!すぐに私が八つ裂きにしてきてやる!」
「いいえ・・・・・・父さんじゃ、駄目です・・・・・。ウンガロ、君にしか頼めない・・・・。」
「え、ウンガロ?何故?」
「兄貴・・・・?まさか、そんな・・・・!」
「ええ・・・・ウンガロ。見ての通り、僕はとうとうあいつに敗れてしまった。けれど、このまま諦めるなんてことは出来ない、絶対に。僕は、あいつを止めなければならない・・・・・・。
だから、ウンガロ。今度は、あなたがあの男を止めて下さい。僕の代わりに・・・・・・誰かが、あいつの行く道を阻まなければならない。あいつが再び世に現れるのを阻止しなければならない。どうか、お願いします、ウンガロ・・・・・・!」
「・・・・・・・・わかったぜ、兄貴。兄貴の意志はオレが受け継ぐ・・・・・・。兄貴をこんな目に合わせた奴は、必ずオレがこの手でぶち殺してやるッ!!」
「な、なぁ、おい?ハルノ、ウンガロ、一体誰の話を・・・・・・。」
「いたたた・・・・・・くそ、まさかあんなに大量にピストルズを用意してくるとは・・・・・。」
「うおおー!!来るなら来やがれまだら半裸男ー!地下100階で待ってるぜぇぇーッ!!」
(ついにボスは大迷宮を攻略した模様)
<違いのわかる男>
「……おや、死に損ないの粘着魔女が、まだ生きていたか?全く、ディオ様も何故こんな餌にもならない老いた婆を側に置いているのか…。」
「フン、死に損ないはそっちじゃろう、この干からびたゾンビ爺が。東洋人ごときがDIO様の名を軽々しく口にするでないわ、穢らわしい。」
「20世紀からようやくディオ様に仕え始めた程度の奴に、どうこう言われる筋合いもないね。私は、ディオ様がまだ人間だったころから縁があったね。
しかもその後、ディオ様が車椅子にいた時も生首だった時も献身的に側につきお世話したほどの、それはもう100年以上の長ぁ〜い付き合い……。」(フフン)
「ぐっ…!長いというても、そのうち海底の100年間は無効じゃろうが!
第一、DIO様への忠誠心は年月などで計れるものではないッ!DIO様のためなら例え『死んでもいい』という、強い覚悟が重要なのじゃ!!その点ワシは死ぬ間際までDIO様の秘密を守り……!」
「あ、ワンチェンのじーさん久々に来てる。」
「エンヤさんと来る日が重なると、毎回大変ですねぇ。」
「WRYYYYY……口やかましいのが増えてしまった…。」
「…あれ、なぁ親父?ワンチェンって確か、屍生人、とかいう奴なんだよな?それって、ヌケサクとかの吸血鬼となんか違うのか?どっちも吸血鬼からできる訳だしよぉ〜。」
「何を言う、ウンガロ。全然違うぞ。
まず、製造方法が違う。配下の吸血鬼は私が血を『与える』ことによって能力を得るが、屍生人は私がそいつの血を『吸う』ことによって出来るのだ。その為回復能力についても差があり、屍生人では波紋などによる傷は時間が経っても治らない。
また、屍生人は生前の状態・意思にかかわらず、製造主、すなわち私に対して忠誠を持つようになる。
そして何よりも、屍生人と血を与えた吸血鬼の決定的な違いは、臭いだな。」
「におい?」
「腐るのだ、屍生人はッ!!夏場は特にッ!!
ウィンドナイツの時は冬だったからまだマシだったが、それでも大量のゾンビ共の発する腐臭に囲まれるあの苦痛といったら………ああ、思い出しただけで鼻がもげそうだ。基本的に吸血鬼は人間よりも五感が働くから余計に……。
あ、そうだワンチェン!!ちゃんと今日は、用意してやった防腐剤を忘れず持って帰るんだぞ!?ブラフォードとタルカス達の分も忘れずにな!!
いくら私でも、脳が腐り落ちたらどうしてやることもできんからな!わかったかッ!?」
「はは、はいはいそれはもう……。」
「全く……これ以上腐敗が進むようなら、気化冷凍法で全員秋まで冷凍保存してやる、と伝えておけよ。」
「……なるほどなー。つまり、屍生人はもう死んでるけど、吸血鬼はまだちゃんと生命活動してる、ってことだな。」
「そうですね。オケラだってヌケサクだって生きてるんですよ。」
「そっかー。」
「はは…泣いてもいいっすか?」
(あ、途中からエンヤ婆が空気)
<もう一人の>
バタンッ!!
「ただいまーー!なー兄貴聞いて!今、親父が馬乗ってた!」
「はぁ?
ウンガロ、急にどうしたんです。父さんがなんですって?」
「だからー、今見たんだって!そこの通りで、デッカイ馬に乗ってる親父をよォォ〜!声かけようとしたら、ちょうど他の奴に呼ばれてどっか行っちまったんだけどな。
いやー、親父って時止めたり催眠術かけたり肉の芽出したりスコーン焼いたり色々できるとは思ってたけど、まさか馬まで乗れるとはなー。あ、でも親父19世紀イギリス生まれでしかも貴族ン家で育ったんだっけ。なら乗馬くらい普通に習うもんなのかな…。」
「おい、待てよウンガロ。……だって、父さんなら今、家にいるぜ?」
「へ?……ンな訳ねぇよ、だって今見たんだぜ。」
「そもそも今、昼じゃねぇか。親父が外に出てられるわけねぇだろ。」
「……えー?んじゃ、まさか別人?え、でも、帽子に『Dio』って書いてあったし、隣にいた変な半裸のインディアンみたいな奴にもディオって呼ばれてたし、絶っ対親父だって!」
「……まさか、ドッペルゲンガーって奴か?本人が会ってしまうと、3日以内に死んでしまうという………やっ、ヤバいッ!!父さん確か今日、日が暮れたら飲みに行くとか言ってたぞッ!?」
「アホかリキエル。ロッズじゃあるまいし、そんな都市伝説いるわけねぇだろ。
それより、スタンド攻撃の可能性のほうが高いだろうが。誰かが親父に成りすましてるとかよォォーーッ。」
「しかし、変装のスタンドを持つ人って父さんの部下が大半じゃありませんでしたっけ。イエローテンパランスしかり、クヌム神しかり……。まぁ、とにかく父さんに報告したほうがよさそうですね。急ぎましょう。」
バタバタバタバタバタ……バダンッ!
「む……?どうしたお前たち、ずいぶん慌てて。何だ、また喧嘩でもしたのか?」
「とととととと父さんッ!!大変なんだッ!今父さんのドッペルゲンガーが出てて、本物の父さんと会うと父さんが死ぬんだよッ!だから今日は飲み会は控えて、一日外に出ないで!!」
「ド……なんだって?死ぬとは、しばらく前のローリング・ストーンズみたいなものか?」
「リキエル、落ち着いてください。まだドッペルゲンガーと確定したわけじゃないでしょう。
とにかく、ウンガロが父さんの姿によく似た人物を見かけたんですよ。念のため、配下のスタンド使いに確認の連絡をとってもらえますか?」
「もっと他の、敵スタンド使いってこともありうるだろ、兄貴。それ以前の単なるウンガロの見間違いとかよぉ〜。」
「だから間違いじゃねぇっつってんだろ!?ホントに馬に乗った、帽子かぶって半裸のインディアン連れた親父を外で見たんだよッ!!なぁ信じてくれよ親父ィィッ!!!」
「……そうか……もう、着いたのだな……。
到着はもう数ヶ月先になると聞いていたのだが……。」
「え?」
「…父さん、どういう事ですか?」
「……お前達にも、もう少ししたら話すつもりだったのだが……既に来てしまったのならば、仕方がない。
ウンガロ、すまないがそいつを探して家まで連れてきてくれないか?まだ日中だから私では迎えに行けんのだ。」
「あ、お、おう……。」
「おいッ親父ッ!!勝手に話進めてんじゃねぇよッ!!一体誰なんだよ、その親父に似た奴ってのはッ!!」
「………なんと言えばいいだろうか……親戚、のようなものと言うべきか……。
……これから、この家で一緒に住む者だ。」
「「「「………………え?」」」」
(まさか……新たなる隠し子!?)
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150話にして無駄家族シリーズ、完!!
次回からは新メンバーを加えた「無駄家族+1」が始まるよ!