その5.刑事の役割について



「もう!なるほどくんったら!!
「はっはっは、ごめんごめん。つい言いそびれちゃってさ。」
「んもう、そんないい加減だから主役降ろされちゃうんだよ!
  ちゃんとやらないと、そのうち師匠としての出番だってなくなっちゃうんだからね!」
「あっはっは、そうだねぇ。
  しかしそうなると、真宵ちゃんは一体何をやってヒロインを降ろされたんだろうねぇ。」
「‥‥‥ううう‥‥‥気にしてることを‥‥。どーせあたしは出番ナシですよーだ。
  あ、でもさ、でもさ。今回、イトノコさんもほとんど出てこなかったよね。」
「ああ、確かにね。今回は最終話の、それも7年前の僕の裁判でのみの出演だったね。」
「ねー。今までは頼まれもしないのにほとんど毎回出てきて、裁判ではいつも最初の証言やってくれてたのにね。
  これまででイトノコさんが出て来なかったのなんて、1−1話と3−1話だけだったのにね。その時の最初の証言は、それぞれヤッパリさんとなるほどくんがやってさ。」
「そうそう。それ以外の時の裁判では毎回、本当いいウォーミングアップになってくれたっけ。」(イイ笑顔)
(鬼だ、やっぱり‥‥。)
「もうね!あたしより多いんだよ!イトノコさんの出番。ズルいよね、ヒロインより目立つなんて。」
「あれ、そうなんですか?」
「うん。あたし、さっきのふたつの話と、あと3−4話にも出てないから。
  うーん、やっぱりズルいなぁ、イトノコさん。大して重要な役割ってカンジでもないし。」
「こらこら。」



「‥‥でも、イトノコさんは偉いですよ。
  毎回ちゃんと、締めるところは締めてましたから。」



「あ!アカネさんだ!」
「やあ、茜ちゃん。来てくれたんだね。」
「どうも、成歩堂さん‥‥。」
「ど、どうしたんですか?アカネさん。なんか、えらく落ち込んでるみたいですけど。」
「‥‥‥‥落ち込みたくもなるわよ。今回のあたし、散々だったんだから。」
「ええええっ!
  だって、だって、あかねちゃんは今回カガクな刑事としてサッソウと再登場してたじゃない!‥‥‥あたしと違って。」(しゅん)
「全然サッソウとなんてしてませんよ。むしろ、ずっとサクサクしてただけですもん。
  ほら、イトノコさんって、毎作一度くらいはビシッと決めるとこキメてみせるじゃないですか。
  『1』の時は、殺人容疑をかけられた御剣検事をひたすら信頼してみせたり、『2』なら最終話で、命がけで証拠品を届け(ようとし)てくれたり。『3』の時は、3−3話でヤクザに囲まれた成歩堂さんたちをカッコよく守ってみせて、証拠品もしっかり届けて、ホント大活躍でしたよ。
  『蘇る』でのお姉ちゃんの裁判の時だって、クビになりそうになりながらずっと捜査に協力してくれましたしね。あたし、感謝してもし足りません。」
「ああ‥‥そうだったね。カラ回りすることも多かったけど、彼のお陰で何度も助かったっけ。」
「2−3話とかでも、さりげなく手伝ってくれたこともあったよね。」
「‥‥‥なのに‥‥‥あたし、今回一応イトノコさんと同じポジションのはずなのに、一度もビシッと決めてない‥‥‥。
  3話目じゃ、ジャラジャラ検事に大恥かかされるし、最終話の4話目でも後半なんにもしてないし、エンディングですらかりんとうキャラのまま‥‥。」(ずーーん‥‥)
「ありゃりゃ。」
「まぁまぁ、そう落ち込まないで。
  とりあえず、かりんとうを投げるアクションはなかなかキマってたと思うよ。」
「ああ、確かに!イトノコさんなら、食べ物を武器に使うなんてアクション、絶対できなかったもんね。」
「ある意味、刑事キャラに新しい風を巻き起こしたと言っても過言じゃないんじゃないかな。」
(‥‥‥‥刑事くんに対してはダメ出しどころかフォローとは、僕らの時とは随分態度が違うんだな。‥‥‥‥微妙に投げやりなフォローな気もするけど。)
「半端なナグサメはいりません‥‥。
  だって!あたし、『4』の全編通じて全然役に立ってないんですよ!?常にかりんとうサクサクやってただけで、警備中に殺人事件起こされるわ、検事からは必要な情報も話してもらえないわ!
  あたし‥‥‥刑事として、イトノコさんみたいにやっていける自信なくなってきて‥‥。」(うつむき)
「あかねちゃん‥‥。」



「そ、そんなことないですよ!
  オレ、アカネさんのおかげですごく助かりましたよ!」
「え?」
「そうですよ!アカネさんのカガク捜査のお陰で、足跡やら、指紋やら、血液の反応が証拠になったんですよ!それって、全部アカネさんがいてくれたからじゃないですか!!」
「それに、まことさんの裁判の時、アカネさんが証言台に登って封筒の毒物反応を証拠として提示してくれたでしょう?
  あの時サッソウと現れたアカネさん、ビシッとキマってましたよ!!」
「‥‥‥‥あんたたち‥‥‥!」
「元気だして下さい。アカネさんは、かりんとうだけの人なんかじゃないですよ。」
「そうですよ!みぬきたちが保証します。アカネさんはすごい人ですよ!
  イトノコさんなんかメじゃないです!」
「‥‥‥‥‥‥ありがとう、二人とも。嬉しいわ。
  そうよね。カガクの申し子刑事として、イトノコさんなんかに負けちゃいられないわ!!」
「その意気ですよ!
  ‥‥‥‥ところで、実は少し聞きたいことがあるんですが。」
「ん?なぁに?」


「さっきから話が進んじゃって、聞きそびれたんですが‥‥‥‥その、イトノコさんってどなたですか?」
「あ、みぬきも知りたいでーす!」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あんた達‥‥‥‥。」





続く

          


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 知らないくせに調子いい二人。
 なるほどくんと真宵ちゃんが割と故意に黒いこと言うのに対して、オドロキくんとみぬきちゃんは一切の悪気なく無邪気にココロをエグッってきそうだ。



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