その4.師匠の立ち位置について



「さて!ヒロインについての衝撃的な真相がわかったところで、次の話題に移ろっか。」
異議あり!です!
  みぬきはまだ、認めませんからね!みぬきじゃなくてみぬきのパパがヒロインだなんて、そんなの絶対許せませんよ!
  なんか、あれ、『おおばんくるわせ』、みたいな感じ。みぬきはどうかと思いますよ!」
「‥‥‥いやー、毎度毎度真宵ちゃんの発言には驚かされるよ。本当、随分久しぶりに絶叫しちまった。はははは‥‥。」(笑顔with冷や汗)
「そう?結構イイ線いってたと思うんだけどな。」
「いやいやいや!無精ヒゲのヒロインなんてどこにもニーズがないですって!!
  ていうか、万が一成歩堂さんがヒロインだとしたらオレ、成歩堂さんとロマンスしなきゃならなくなるんですよ。そんなのごめんですよ。」
「う。‥‥‥それはまた、斬新な切り口だね、オデコくん」(口元抑える←想像したらしい)
「‥‥‥今のオドロキくんの証言だけど、それはつまりみぬきがヒロインならロマンスする気があるってことかい。もしそうだとしたらちょっと話があるんだけど。
  父として、娘に何か手を出すつもりなら黙っちゃおかないよ?さ、まずは尋問から始めようか。」
「うわわわわわ、い、いやあのオレそんなつもりじゃ!!
  あ、ほら!次の話題って確か師匠についてでしたよね!?オレの場合は牙琉先生だったわけだけど、前作までの人ってどんな方だったんですか!?」
「おおー、なかなか強引な話題転換だねー。じゃ、次に移ろうか。」



「あのね。お師匠さまっていうのは、実はさっさと退場しなくちゃいけないもんなんだよ。」
「え、そうなんですか?」
「うん。でないと、主人公が早く独り立ちできないからね。
  ジッサイ、お姉ちゃんも第一作の二話目でいきなり死んじゃったし。」
「ああ、あれはあんまりだったよなぁ。僕もプレイヤーも置いてけぼりで、唐突に逝っちまうんだから。
  だけど千尋さんの場合、きっちり三作目のラストまで登場してくれたよね。」
「ま、ま、そこはね。いきなり死んじゃったきり登場しなくなったら、お姉ちゃんの人となりもわからずじまいだったし。」
「‥‥うううう‥‥‥‥。」
「まあ、牙琉の場合は真犯人だった挙句に発狂しちゃったみたいだからなぁ。さすがにもう再登場はできないだろうね。」
「ふっふっふ、甘いよ、なるほどくん。死刑が執行された後で、あたしやはみちゃんが霊媒すればいいだけのことじゃない。」
「‥‥‥‥‥頼むからやめてくれ。美柳ちなみの再来になる。」
「‥‥やっぱり、牙琉先生が先生として出てくるのはもう不可能なんでしょうね‥‥。」(しゅん)
「兄貴もまぁ、悪役として突き抜けてたからね‥‥。
  じゃ、やっぱり今後はこの男がオデコくんの師匠ポジションになっていくのかな。ああ、でも、師匠がいたままだとオデコくんが成長できないそうだし‥‥‥‥いっそのこと、次回作でさっくり被害者になって退場してみるってのはどうだい?」
「『どうだい』って‥‥。さらっと言ってくれるね。
  そういう君こそ、次作あたりでそろそろ被告人やってみたらどうかな?早めに入れば、もしかしたら刑務所の中ででお兄さんと再会できるかもしれないよ?」

(うわ、成歩堂さんと牙琉検事が険悪な雰囲気に‥‥!)(ひそひそ)
(やっぱり、7年前の因縁が深いみたいですねー‥‥。)(ぽそぽそ)

「こらこら、そこケンカしないの。若い子が怯えてるでしょ。
  ま、多分大丈夫だよ。なるほどくんが師匠のままでも。」
「そ、そうですか?」
「うん。だってなるほどくんって基本やる気ないし、むしろいてくれた方がおどろきくんの成長のためになるかもよ。色々トラブル呼び込んだり、勝手に事件に巻き込まれたりして。」
「‥‥いやな役立ち方だな。」
「ま、アレだよ。滅多なことじゃ手伝ってくれないってところは、お姉ちゃんの時と同じだから。」
「違うのは、千尋さんは霊だから『手伝えない』んだけど、僕の場合は面倒だから『手伝わない』ってところかな。」
「威張らないで下さい‥‥。」(がっくり)
「あっはっはっはっは。
  ‥‥‥それにしても、大丈夫かな。僕が師匠ポジションってのも。
  何しろ僕、人に物を教えるなんてしたことないし、法律のほうも教えられるほど覚えていないしなぁ‥‥‥。」
「こら!なに弱気なこと言ってるの!
  基本は、『受け継ぐこと』だよ!なるほどくんがお姉ちゃんから教わってきたことを、今度はなるほどくんが次の子たちに伝えていくんだよ!」
「‥‥‥‥‥受け継ぐ、か。
  そうだね。千尋さんから渡された大切なものを、今度は僕が次へ繋いでいく。それが、一番大事なことなんだろう。」
「そうだよ、パパ!今回の最終話のタイトルだって、『逆転を継ぐ者』だったんだからね!」
「あはは、そうだね、みぬき。
  さて、千尋さんから教わったことといえば‥‥。」
「当然!『発想を<逆転>させる』と、『ピンチの時ほどふてぶてしく笑う』だよね!
  この二つなんかは代表的だし、もうとっくに‥‥‥‥。」


「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」


「‥‥‥‥?どうしたの、おどろきくん。」
「‥‥‥‥あの‥‥‥どっちも今、初めて聞いたんですけど‥‥‥オレ‥‥‥‥。」
「え。」
「‥‥‥‥‥‥あの、成歩堂さん‥‥?」
「‥‥‥‥‥‥‥。」(明後日の方向を見る)
「‥‥‥‥‥‥‥なるほどくん。」(ジト目)
「‥‥‥‥‥。」(遠い目)



「お姉ちゃんに言いつけるからね!!」
「あっはっはっはっはっは。」





続く

          


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 まさか一言も言わないとはなぁ‥‥‥予想外だった。



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