その3.ヒロインの宿命について



「‥‥‥‥身内の悲劇、ってさ。」
「え?」
「必ず、女の子に起こる気がするんだよね‥‥。
  かるま検事も、お父さんのことやみつるぎ検事のことがあったし、今回の‥‥みぬきちゃんについても‥‥。」
「‥‥‥‥‥。」
「お父さんが、どこかへ行っちゃって、お母さんがいなくなっちゃって、それで‥‥ずっと信頼していた大事な人が‥‥‥‥‥罪を、犯す‥‥‥。」
「‥‥‥真宵ちゃん‥‥。」
「‥‥‥ごめんね。でも、どうしても重ねちゃうんだよ。‥‥‥‥‥はみちゃんに。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。(汗)君じゃないのか。」
「あたしはほら、はみちゃんがいてくれたからね!お姉ちゃんも、何度も来てくれたし。」
「‥‥‥そうかい。(相変わらず強いな‥‥)」


「とにかくね、不幸な目に合いすぎなんだよ、ヒロインってのは。」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。正直僕としちゃ、作中いつみぬきが被告人にされるんじゃないかとヒヤヒヤしたよ。」
「えええええっ!!み、みぬき、危ないところだったの!?」
「まあねー。
  なにしろ、あたしがヒロインだったときなんて、毎回一作につき1回は必ず被告人にされていたからね。他にも、大変な目にも毎回遭ってたし。」
「え‥‥大変な目、ですか?被告人にされること以外で?」
「うん。誘拐されたりとか、冬の雪山で洞窟に閉じ込められたりとか。」
「じょ、冗談抜きで大変じゃないですか!!」
「よく無事だったね‥‥。」(汗)
「ま、ほら、運は強いからね!あたし。なるほどくんと違って。」
(運がいい人は普通まずそんな目に遭わないと思うけど‥‥。)
「『蘇る』の時も、茜ちゃん本人が被告人になることはなかったけど、お姉さんが被告人にされた上、証言台でかなり大変な目には合っていたしね。ある意味、あれはヒロインの法則みたいなものだったんじゃないかな。
  だから、みぬきちゃんがそんなことにならなくって本当によかったよ。」
「そ、そうですね。みぬきちゃんの災難っていったら、せいぜいパンツ泥棒と、帽子くんによる狂言人質事件ぐらいだったから。」
「‥‥うーん‥‥。
  みぬき、誘拐とかは流石に経験したくないですけど、でも、被告人くらいならなってもいいですよ?」
「え。」
「な、何言ってるんだよ!みぬきちゃん!」
「だって、みぬきが被告人になったら、オドロキさんがベンゴしてくれますから!!」
「!!」
「オドロキさんなら、きっとみぬきが無罪だって証明してくれますから‥‥‥だから、『大丈夫』です!!」(ニコッ)
「み‥‥みぬきちゃん‥‥!!」(感涙)

「ううん。‥‥‥感動的な場面に水を差したくないんだけどさ。
  実は、そうでもないんだよ?みぬきちゃん。」
「え?」
「結構怖いものなんだよ、被告人として参加する裁判って。
  何もできない被告席で、どんどん弁護側が追い詰められていって、法廷がずんずん『有罪一色』になっていっちゃうの。毎回、寿命が音を立てて縮んでいく気分だったよ。
  検事さんにはニラまれるし、検事さんが知り合いだったりすると、取り調べの時にすごく悲しそうな顔されちゃうし。」
「‥‥‥うう、やだなぁ‥‥。」
「まぁ、最後にはちゃんと大逆転してくれるから、信じていていいんだけどね。
  でも、なかなか見ていて危なっかしいし、逮捕されないに越したことはないよ。」
「‥‥ごめんね、真宵ちゃん。
  まあ、オドロキくんもまだまだ新人だしね。僕の裁判の時も、かなり斬新な理論を振り回してたし。」
「ううう‥‥‥。」
「あー、また被告人になったんだっけ、なるほどくん。」
「まあね。人生四度目の被告席だよ。(学級裁判含む)」
「おおー、すっかりベテランだね。あたしだってまだ3回だってのに。」
「いや、十分多いですよ。」
「まあ、なるほどくんはトラブル体質だからねー。今回だって確か‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥?ど、どうしたんですか?綾里さん、また急にダマリこんで。」
「‥‥‥‥あ、あたし‥‥‥今、すごいこと思いついちゃった、かも。
  あの、なるほどくん。今回、車にはねられたよね?」
「‥‥?まあね。ネンザで済んだけど。」
「で、で、7年前には、大変な目にもあったよね?」
「まああの事件はシャレにならないくらい大変だった‥‥け、ど‥‥‥‥‥‥‥。
  ま、まさか‥‥‥‥‥。」(久々に冷や汗)
「ちょ、ちょっと待って下さい!被告人経験と、大変な目って‥‥‥‥!」
「さっきの、ヒロインの法則の話‥‥‥‥!」



「そう‥‥‥逆転裁判4の真のヒロインは‥‥実は、なるほどくんだったんだよ!!!」




「え‥‥‥。」
「え‥‥‥‥!」

「ええええええええええっ!!!!」





続く

          


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 実に7年ぶりの大絶叫。



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