ラスボスとごはん その1





「・・・・・・よし、こんなものか。
 しのぶー、そろそろ夕飯にしようか。」
「あら、やだ作ってくれたの?ごめんなさい、ちゃんと用意しようと思ってたのに・・・・・・わあ、美味しそう!」
「早人を部屋から呼んでおいてくれないか。僕はその間に皿を出しておくから。」
「ええ。ホントありがとうね、休日でもないのに。」


 パタパタパタ・・・・・・


「・・・・・・・・さてと。キラークイーン。」


 ガチャ。カチャカチャ。コトリ、コトリ。


「あなた、早人連れて・・・・・・あら、もう出し終わったの。本当に手際がいいわよね、あなた。」
「さ、席について。君もワインでいいかい?」
「ええ。でも、いいの?お給料日前だってのに、チキンのソテーなんて・・・・・・美味しそうだけど・・・・・・。」
「なぁに、そう高くもないから大丈夫だよ。それに、君たしか鶏肉料理好きだったろ?今日は、味付けをいつもと少し変えてみたんだ。」
「あなたって本当に器用なのね。最近までは全然しなかったのに・・・・・・どうしたの?一体。」
「別に。・・・・・・・・・・君の喜ぶ顔が見たかったから、って言ったら・・・・どうする?」
「・・・・え・・・・・・・・・・?」

「いっただっきまぁっす!!」

 ガチャン!ガチャガチャ、ベシャッ!

「あっ、こら早人!またソースこぼして!ほら、フォークもちゃんと持ちなさい!
 全くもう、せっかくパパが作ってくれたんだから、もっと行儀よく食べなさいよね!」
「・・・・・・・・・・・・まぁ、いいじゃないか。早人もまだ10歳なんだし、マナーなんてこれから身についていくさ。(このガキ、邪魔ばかりして・・・・・・)」
「フン。(ママは僕が守る・・・・・・・・!)」
「(全く。・・・・・・それにしても、ああ・・・・・・やはりいいよなぁ・・・・!やっぱり、肉料理にしてよかった。あの、ナイフに力を入れる人差し指の感じ・・・・たまらないな・・・・・・!魚をほぐす時なんかの、箸を支える中指もそそるものがあるんだけどな。
 ああ、コレはやっぱり今までの『彼女』たちではなかなか得るのは難しい光景だよなぁ・・・・・・フフフ・・・・・・)」
「そうそう、猫ちゃんにもごはんあげないと・・・・・・あっ!いけない、切らしてたのにキャットフード買ってくるの忘れちゃった!!」
「ああ、それなら僕が今日帰りに買っておいたよ。もうそろそろ無くなる頃合かと思って。(本当は猫草用だったんだけど・・・・・・)」
「まぁ!ありがとう。
 ・・・・・・あら?猫ちゃんのご飯も、もう出しておいてくれたの?餌皿が一杯だわ。」
「え・・・・・・・・・・。」
「でも、変ねぇ・・・・。あなたはさっきまで料理していたわけだし、私がついさっき見た時はまだ空だったのに、いつの間に用意してくれてたの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」













「そこに座りなさい。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・。』
「・・・・・・お前が、少しばかり猫っぽい顔をしているから、猫草や他の猫と仲がいい事は知っている。
 が、だからといって命令もしていないのに勝手なことをしないように。怪しまれるだろうが。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・。』(しゅん)





End






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 何も言わないでも靴紐切ってくれたり財布拾ってくれたり、キラークイーンは世話焼きさんだと信じてる。





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