その7.次回作についてA



「『ライバル検事の交代』と同じように、シリーズで毎作ほぼ義務付けられているものが、実はもう一つある。」
「まだあるんですか‥‥。(げっそり)
  それ、成歩堂さんの時のルールなわけですし、4からはリセットされたりとかしないんですかね?せっかくの『新章突入』なんですし。」
「それも多少は考えられるけど、既に色々引き継がれているからね。タイホくんの登場とか、ハシゴとキャタツ論争とか。」
「はぁ‥‥。それで、何なんですか?さっきの、ヒロインの条件とか、師匠の法則みたいなものですか?」
「まあ、そんなところだね。
  僕の時には随分苦しめられた、その法則とは‥‥‥‥‥‥『お家騒動』。」
「お、おいえそうどう‥‥?」
「そうだ。ちなみに、その『ひらがなで台詞を繰り返す』も、ある意味鉄則なわけだけど。
  お家騒動とは、ある一族や流派、親戚内で起こる内部抗争のことだよ。」
「‥‥‥‥‥‥。」
「『跡を継ぐのは誰か』『他の人間に継がせるにはどうすればいいか』『あいつさえいなければ自分にもチャンスが』‥‥‥‥なんて、閉鎖された空間の中での絶対的な権力を欲して、誰かが誰かを憎んだり、殺したりすることだ。
  『1』の頃には、まだそういう流れは確立していなかった。けれど、『2』『3』では、倉院流霊媒道家元の娘である真宵ちゃんの命を狙って、いくつも悲しい事件が起こった。
  そして、今回‥‥‥みぬきにも、同じ事が降りかかろうとしている。」
「‥‥‥‥‥或真敷、ですか。」
「‥‥‥‥‥‥。」(顔を伏せる)
「‥‥‥そうだ。
  結局みぬきに直接被害が及ぶことはなかったけど、バランさんにザックさん、そして天斎による或真敷の『闇』は、今回はっきりとその姿を表した。そして、みぬきが興行権を手にしたことによって‥‥‥真宵ちゃんの時と同じ状況が、完成してしまった。」
「‥‥‥‥‥!」
「悲劇は、繰り返させれる。おそらくは、『5』の核心の部分で、みぬきにも再び闇が襲いかかろうとするだろう。
  だけど、僕はもうこれ以上‥‥‥みぬきに、家族を失う辛さを味あわせたくないんだよ。」
「‥‥パパ‥‥‥‥!」
「成歩堂さん‥‥。」
「だから、オドロキくん。君にも、協力してほしい。
  僕と、そして君で、これからみぬきを守っていかなくちゃいけない。どうか、力を貸してくれるかい?」
「‥‥‥‥‥はい!もちろんです!!
  オレ、頑張ります!必ず、みぬきちゃんのことを守ってみせます!!」
「オドロキさん‥‥‥‥!」




「‥‥‥感動的な場面にまた水を差すようで悪いんだけどさ。なるほどくん。」
「ん?なんだい、真宵ちゃん。」

「言い方は悪いんだけど、みぬきちゃんのおうちの人‥‥‥‥或真敷の一族って、ほとんど 全 滅 しちゃってるんだよね。」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥え゛。」
「‥‥そういえば‥‥パパとおじいちゃんは死んじゃったし、バランさんは自首しちゃったし‥‥。」
「チャランとポラン、なんていう『他の弟子説』もきっぱりと否定されちゃったそうですし‥‥。」
「そうなると、あと残っているのは‥‥‥みぬきちゃんのお母さんくらいかしら。」
「あ、それ、多分ムリです。みぬきのお母さん、もう事故で亡くなったって聞きましたから。」
(‥‥実際には生きているうえ、オドロキくんという兄が一人追加されるんだけどね。)
「ね?あたしの時みたいに、親族がいっぱいいるわけじゃないんだよ。なにしろ、マジシャンの一座なんだから。
  で、そのうちのほとんどの人がこれ以上動けそうにない状態だし、唯一生き残ってるバランさんって人は、キミ子おばさまみたく獄中からなにかをたくらむような人には見えないし。」
「‥‥‥‥つまり、お家騒動が起ころうにも、犯人になりうる人がいない‥‥‥‥ってことですか?」
「うん。ぶっちゃけ。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
「‥‥‥‥だ、そうですけど。成歩堂さん。」




「‥‥‥‥‥‥‥‥やったね、みぬき!事件解決だよ!」
「わぁい!パパ、オドロキさん、ありがとう!みぬき、助かりましたよ!」
「いやいやいや!!
  いくらなんでも早すぎですよ!事件の予兆から終焉まで一足飛びじゃないですか!その上肝心の事件そのものがスッポ抜けてますし!」
「何言ってるんだい、オドロキくん。事件が起こらないならそれに越したことはないじゃないか。人生、平穏が一番だよ。」
「それはそうかもしれませんけど‥‥‥でも、事件が起こらなかったら物語が始まりませんよ!」
「うーん、それもそうかもしれないねぇ。
  でもまぁ、それで困るのは僕じゃなくて主人公のオドロキくんだし。僕としては、みぬきが無事ならそれで充分だしね。」
「そんな無責任な!!」
「オドロキさん!こういう時こそ、ついさっき教わった『ハッソウのギャクテン』ですよ!!事件が起こらないなら、自ら起こせばいいんです!」
「え、犯人役?」
「そういうわけで、次回作の『逆転裁判5』の第一話は、『刺し貫かれた興行権チケット!或真敷の未来を狙う二本のトンガリ』です!お楽しみに!」
「オレが凶器役かよ!!」









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 投げっぱなしジャーマンEND。
 はたして実際の逆転裁判5はどうなってしまうのか。是非その目でお確かめ下さい。



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