寝言で君が呼ぶ名前、それは僕ではなく
3・ドロロ
「夏美さん・・・・・」
「ん?」
別に自分の名を呼ばれた訳ではないが、振り返る。後ろにいた小雪が静かに寝息を立てていた。
「夏美さぁん・・・・」
「おやおや。」
無邪気な寝顔。それを見て、微笑ましく思うと同時に少々複雑な気持ちが浮かんでくる。自分の名は呼んでもらえないのだろうか。
まあ、仕方のないことだろう。夏美は小雪の初めての友達だ。自分とて眠っていれば小雪の夢より友達(と思いたい)であるケロロ達の夢を見る可能性が高い。それでも、何故だか少し悔しくなってしまう。
小雪はまだ眠ったままだ。
読みかけの書物を閉じ、立ち上がった。今日は暖かいが、念の為何か掛けておいた方がいいだろう。
「んう・・・・」
「何の夢を見ているのでござろうなぁ・・・・」
呟く。と、その声に応じたかのように、小雪が何事か言った。
「ん・・・・あ、なつみさん・・・・ダメですぅ・・・・」
「え?」
本当に何の夢を?
「なつ、夏美さん・・・危険です・・・はなれて・・・・」
なにやら危険な状況にいる夢らしい。・・・・・・別の意味のキケンでなくてよかった。
自分の心を知ってか知らずか、小雪は寝返り、また呟く。
「んー・・・違います、夏美さん・・・猪は側面から攻撃して・・・・。」
「猪狩りでござるか!?」
「そんなことを俺に言われても・・・あっこらケロロ、逃げるな!」
「小雪殿と夏美殿ならギロロとドロロの問題であります!」
「そんなこと言わないで聞いてよケロロ君!友達でしょ!」
「うおぅっ!ドロロが初めて『秘儀・トモダチカード』を使った!?」
「違うだろ!?えーと、いいかドロロ、別に小雪の見ていたのは単なる夢だ。夢は個人の自由であり、よって小雪が夢の中で猪を狩ろうが熊を狩ろうが女子レスリング三本マッチをやろーが、俺たちには関係ない。そうだろ?」
「それはそうでござるが・・・・年頃の娘が猪の夢、それも女子2人でとは・・・。・・・・・・第一、拙者だって猪は単独で狩るというのに・・・」
「「って狩ったことあるんかぃっ!!」」
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