目隠ししても分かるのだから
目を閉じても、白い布で目隠しをしても。
それでも、アイツが側にいることが感じられる。
アイツが今どこにいるか、どんな風に立っているのか、どんな表情をしているのかすら分かるような気がする。目に見えないのに、まぶたにその姿が浮かんでくるようだ。
眼を閉じたまま、アイツがいるはずの方向に向かって手を振った。
アイツが笑った気がする。いや、『気がする』だけではなく、実際に笑ったのだろう。
だって、アイツのことはなんだって分かるんだから。
空気が。
音が。
そして、電波が。
アイツのことを伝えてくれる。
ポテポテ。
「クルル。」
ポテポテ。
「んー、ケロロかな。」
ポテポテ。
「ギロロ・・・・あーっと違う、タママだなこれは。」
ポテポテ。
「あーこれは分かりやすい、ドロロ。」
ポテ・・・。
「またクルル。」
「あのー・・・・サブロー先輩?」
「ん?」
夏美ちゃんの声に、俺はいったん目隠しを外した。眼を開けると、一列に並んで足音を立てていたクルルたち5匹と困惑した表情の夏美ちゃんが見えた。
「その・・・・一体どうやって足音だけでボケガエルたちの区別がつくんですか?」
「ん?聞き分けてるから。」
「同じ音だと思うんですけど・・・・。」
「いやー、ドロロのは結構音ひそめてるし、タママやギロロの足音は遠慮がないんだよ?」
「・・・・・じゃ、クルルのだけなんか気付くのが早いのは何故・・・・?」
そりゃ、もちろん。
「電波。」
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ピコピコとかピヨピヨとかピョコピョコとか色んな説があるけど、私にとってケロン人の足音は断然「ポテポテ」です。(力説)
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