そのご、さん。
「止めなくていいんですんか、クルルさん!」
「ダメダ〜制御できね〜完全に暴走しちまってるヨ〜」
超絶棒読みでやる気ナッスィングに言うクルル。モニターからは慌てふためく隊員達の様子が流れ続けている。
唐突にやってきた「プルル看護長」が軍からの査定であることぐらいはすぐに想像がついた。ここらで基地内の様子、またドロロやギロロの戦闘能力の高さ、無論のことながら自分の天才的頭脳&問題児っぷりをアピールしておくのも悪くはないだろう。ギロロたちが強ければ強いほど侵略に邪魔が入ることもないし、自分が性悪なほど本部の連れ戻そうという意志が薄れる。
もちろん、そういった細かいことは関係なしにただトラブルを起こしたかったのも本音なのだが。
「でも、でも、クルルさん!このままじゃオジサマたちが・・・・!」
隣ではモアがおろおろしている。自らキーボードをたたいて防衛システムの制御を試みようとしたが、ひょいとその腕をつかんでおさえた。
「焦ってんじゃねぇよ、こんなんで隊長どもがどうにかなるわきゃネーだろ?」
「で、でも、お客様だっているし・・・・・!」
「看護長の肩書き持ってるくらいなら、戦闘慣れしてるだろうよ。ほら見ろ、早速オッサンも張り切ってるしよぉ・・・・・ク〜ックックックック・・・・・・。」
基地内では、ギロロが先頭に立ってロボたちを一掃し始めたところだった。これならば五分もかからず全て終了するだろう。少々物足りないような気もするが、まあ今回はこれでよしとしよう。
と、それを見たモアが、なおもキーボードに手を伸ばす。
「おい・・・・・・何やってんだよ、モニター見てるか?」
「見てます!だから止めようとしてます!てゆーか迅速行動?」
「んなことしなくとも、ちょっと待ってればオッサンが全部片付けるぜぇ?」
「でも、それじゃクルル曹長の作った防衛システムが破壊されちゃいます!」
「はぁ?いいんだよ、後で作り直すし。」
「でも、せっかくクルル曹長の作ったメカが・・・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あっあっ!もうシステム70%ダウン!クルル曹長、どうしたら!てゆーか被害甚大?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・?クルル曹長?」
「・・・・・・・・・・参ったなオイ・・・・・・・・・・。」
僅かに頭を抱えるクルル。横ではモアがキョトンとこちらを見ている。
久々にキた。
というか不意打ちだ。
最近はどうにかこの目にも慣れたと思っていたのに。
「・・・・・・・・・ゲート開けな。隊長たちを基地の外に出せ。」
「あっ、はい!了解です!」
慌ててモニターに向き直るモア。それを見ながらクルルは静かに嘆息した。
こんなことでは、「実は暴走してなかった」という事は当然明かせない。あとで色々いじって本当に暴走していたような痕跡を作っておかねば。
耳の中では今も、「クルル曹長の作った」という言葉が回っている。
「全く・・・・・・・・・・そんな風に言って、期待させるんだからよ、こいつは・・・・・・・。」
聞こえないようにひとりごち、そっとモアの方を盗み見る。
彼女の目は、やはりただ一人を見つめたまま。
それからしばらくして、短時間で既に地球から遠く離れたある宇宙船にて。
「それにしてもサ、ドーシテあんなイヤミな黄色が一番上なのサ!納得いかないヨ!」
「あら、そう?多分侵略について一番考えているのが彼よ?」
「プ〜〜〜〜ッ!?ンなわけないじゃんそんなの!プルルはホント、他人のコト買いかぶりすぎなんだよネ!」
「ま、ガルル中尉もそうッスけどねー。」
「なに?私がか?」
「ふふふ・・・・・・・。」
小隊の仲間のやりとりに小さく笑みをこぼし、プルルはそっと遠い地にいる彼らに思いをはせる。久しぶりに会った、懐かしい旧友達。何故だか悲しげに自分の事を見ていた一人の後輩。そして、そのどちらにも属さなかった、ただ一人自分を冷静に見ていた黄色いあの子。
流石は天才と言われるだけはある。ケロロ小隊内で、自分の来た本当の目的に気付いたのは多分彼だけだろう。
(でも、最後にゲートを開けちゃったのはまだまだ甘いわね。一体どうしてかしら?)
まさかそれがある一人の少女の言葉のせいだとは、気付くこともなく。
End
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そういえばココはギロ夏クルモア推奨だというのに、クルモアなんて『寝言〜』以外ないなぁと思って電撃的に書いてみました。
プルルちゃん来襲にただ一人ペースを乱さなかったクルル。だって彼の隣にはもっと純真な子がおりますから!ていうかプルルちゃんって純真とかじゃないよなきっと!一応アレでケロロと同い年なんだから、本来の年齢で考えればきっと目尻に小じわとか(以下省略)
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