それは遠い昔。
 ケロン星ケロン軍本部にて・・・・。








「ふっふっふっふっふっふっふ・・・・・。」

 無意味な笑いを響かせるのは、古代ケロン軍本部勤務のとある軍人。階級そこそこ、人望ほどほどの『隊長の素質』を持つケロン人である。


「隊長!例のモノ、完成しました!」
「おお!でかした!
 遂に・・・・・遂に、我がケロン軍が、最強となる日がきたのだ・・・・・。ふっふっふ・・・・ゲーロゲロゲロゲロゲロゲロ!」

 遠い未来のどこかの軍曹とよく似た笑い方をして、彼は報告に来た者のところへと歩いた。姿は何故か逆光によって黒い影しか見えない。例の『大佐』あたりを想像していただけるとありがたい。


 隊長が自分の横に来たのを確認してから、報告に来た技術兵(やっぱり黒い影)は静かに巨大な水槽の上にかけられた布を剥ぎ取った。

「おおお!これが!」
「はい、完成したばかりの新兵器・・・・コードネーム・『キルル』です。」


 水槽の中には、一人のケロン人が目を閉じたまま浮かんでいた。その額にはバツ印がつけられ、眠っているのにもかかわらずその存在が彼の凶悪性をあらわしている。

 それはまるで、一つの『悪意』が形となったようであった。


「現在のケロン軍の化学力を総結集させた、最高傑作です。」
「素晴らしい!これぞまさしく我々の求めていた力!
 スピード、攻撃力、耐久力もさることながら、なんと言っても魅力は『人の負の波動をエサにする』という省エネ設計!少ない出費で分裂するわ巨大化するわと人手不足の軍部にもお財布にも優しい設計!」
「隊長、その分開発にえらい予算かかったんですが。」
「まあそのあたりはご愛嬌。
 ともあれ!これさえあれば我がケロン軍は文字通り、宇宙を制することすら出来るのだ!ゲーロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ!!」




「そこまでプヨ!」


「ゲロッ!?何者!?」
「私は、宇宙警察アンドロメダ星雲派出所所属の、プヨン巡査だプヨ!話は全て聞かせてもらったプヨ!」
「馬鹿な!アンドロメダ星雲近くに派出所などなかったはず!」
「最近新しく設置されたプヨ!」
「しまったぁぁぁぁっ!最近宇宙警察がやけに人員増やしてると思ったらぁぁぁっ!」

 頭抱えて絶叫する黒い物体を尻目に、プヨンはすばやく銃を構え、

「武器の開発は星それぞれ、しかし資料を拝見したところ、ここまで破壊を目的とした武器は他の星の安全の為見過ごせないプヨ!よってこのコードネーム『キルル』は大宇宙安全刑法第42条より、封印星流しの刑にさせていただくプヨ!」

 そう言い放った瞬間、プヨンの構えていた銃から光線が飛び出し、キルルの入った水槽に直撃する!
 キルルは水槽ごとあっという間に光に包まれ、数秒後には光とともに消失していた。

「んな・・・・・!」
「今頃、どこかの辺境惑星にでも流れ着いたはずプヨ。」
「我々の野望がぁ・・・・・。」
「で、貴方が責任者プヨか?取調べの為一緒に来ていただくプヨ!」
「なんですとぉ!?」
「ほらほら、抵抗すると射殺するプヨよ〜?」

 と、その成り行きを見守っていた技術兵や他の兵達は、

「・・・・・ま、自業自得ってヤツですかね。」
「そーだな。どうせあいつのやることなんてこんなもんだろ。」
「いやー、悪い事は出来ないもんですねぇ。」
「「「あーっはっはっはっはっはっは!!」」」


「和やかに話を完結させるなぁぁぁぁぁぁっ!!」


























「・・・・・とかいう過去があったとか・・・・。」
「なんだそれは。」
「イヤ、だからその、こんなんじゃないかなーっていう想像・・・・。」
「なんの。」


「イヤーッ!ギロロもそんなに怒んないでーっ!ちょっと考えてみただけじゃんーっ!」
「どやかましいっ!不敬罪だ不敬罪!上層部に代わって俺が始末してやるーっ!」
「なにがいかんのーっ!?」
「古代ケロン軍をお前と一緒にするなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」







おわったり。



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