055: 身体で示せ。





「たまーにあたし、児童虐待とかやってないかなって心の中で不安になることがあるのよね最近。」

ずだだだだだだだーーっ!

「ああ、わかるわかる。ホウキ使ってたり掃除機操ってる時は別に、ああ頑張ってるなぁくらいにしか感じないのにね。」
「洗濯物干してたり、泣きながら皿洗いやってるの見ても、フン当然の報いよとしか思わないのに、この無心に廊下を行ったり来たりして拭き掃除をやり続ける姿に不覚にも心打たれてるのかしら。」
「不覚って姉ちゃん。」

ずだだだだだだだだーっ!

「にしても、すごい集中力だよね軍曹。僕らがこうして話してるのにも全く気付いてないみたいだし。」
「姿も見えてなくて、うっかり雑巾ではねられでもしたら泣きたくなっちゃうから一旦部屋入りましょ。」

ずだだだだだだだだだーーーっ!

「おおっ!あんな隅っこの埃も残らず拭いている!流石プロ!」
「何のプロよ。ていうか、ホントあれ何者?掃除どころか、洗濯も皿洗いもいつの間にやら完璧だし。」
「ウチに来たばかりの頃は、全部僕より下手だったのにねぇ。」
「何なのよあいつ、ひょっとして掃除の惑星から来た掃除星人?」
「いや掃除の惑星て何。」
「じゃあ、家事の星から来た家事星人。職業は家事手伝い。」
「・・・・ケロン星から来たケロン星人で職業は軍人だよ。」
「ふっ、そんな非科学的な事実、あたしは信じないわ。」
「姉ちゃんの言ってることの方が絶対非科学的だと思うんだけ・・・・。」

ずだだだだっがががががーん!

「あああっ!そんなこと言ってる内に軍曹がうっかり足を滑らせて2階の階段から1階へ滑り落ちたー!」
「うっわ、すっごい説明ゼリフ。」
「軍曹ーーー!」

バタバタバタ・・・

「あっ、いた!」
「倒れてるわね、おーい。」

・・・・・・・・・・・・。

「・・・・動かないわね。」

・・・・・・むくっ。

「あっ、動いたよ!」

ふきふきふき。

「ああっ!何事もなかったかのように一階の床掃除を始めた!流石プロだよ軍曹!」
「だから、ホントに何のプロなのよ。そして何者なのよ、アイツ。」




End



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 昔書いたネタをサルベージ。
 ケロロの掃除にかける情熱だけはホント冗談抜きで見習いたいものがあるなぁと、積み上げられた洗濯物の山の横で日々考えたりしまてす。


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