依存しすぎた結果





「クルル!」



 ラボの外から、サブローの声が聞こえる。



「クルル!聞こえてるんだろ!?なぁ、クルル!」

 俺はCDのボリュームを上げ、ヘッドフォンを強く耳に押し付けた。

 あいつの声なんて聞こえない。そう思いたくて。


「クルル!出てこいよクルル!」


 俺たちはマブダチだ。互いを理解し、かつ互いの領域には決して踏み込まない。そういう間柄だった。
 だからこそ、俺はあいつと距離をおかなければならない。

 寄り添うわけにはいかないから。
 入り込むわけにはいかないから。


「クルル!返事しろよ!クルルったら!」


 サブローの声は、もはや悲鳴のようにも聞こえた。ラボの扉を叩き、俺の返答を待っている。だが俺は答えるわけにはいかない。



 俺が答えれば。いや、あいつがあの話・・・を持ち出せば。
 それだけで俺たちはもう、今の関係でいられなくなってしまう。『ギブ&テイクのマブダチ』という、俺たちにとって最高の居場所を失ってしまうことになる。


 だから俺は、あいつの言葉を聞くわけにはいかないのに。

 それでもあいつは叫ぶ。耳を塞ごうと、扉を硬く閉めようと、あいつの言葉は俺たちを叩き壊そうとする。




「クルル!俺が言いたいのは一つだけなんだよ!なぁクルル、頼むから・・・・・・・ッ!」









 ああ、やめてくれ。

 その先の言葉を、どうか言わないでくれ。































「電気代払ってくれーーーっ!!」

「金はねぇっ!あっても侵略予算だ帰ってくれ!」
「嘘をつけ!毎日毎日色んな実験してる分は確実にお前のポケットマネーだろーが!お前がウチに居候していた間(アニメ第一期、第一話〜第九話)使った分払うのに俺がどんだけ苦労したと思ってるんだ!利息とろうなんて思ってないからせめてキチンと全額弁償しろーっ!!」
「勘弁してくれ!この前ホリ・エイモンドが宇宙警察に捕まったせいで大損したんだから!」
「それも嘘だろ絶対!どーせお前のことだからそんなもん予測して高いうちにパパッと売り払ったんだろ!株券とか前までウチの引き出しにも入ってたはずなのにもう最近全然見ないじゃねーか!」
「そこまでチェック済みかよ畜生!」
「当然だろマブダチナメんなよ!
 お前の金稼ぐ能力の高さは俺が一番よく知ってるんだ!おらおらジャンプしてみやがれ預金通帳見せてみやがれ!」
「カツアゲかよ!」
「なぁクルル、何のために俺がペンの能力の洗脳電波駆使してまで自分の絵売ってたと思ってるんだ!それもこれも全部、学生の身分で一人暮らしの俺には単に絵&ポエム売るだけじゃお前の電気代稼げなかったからだろ!?でなきゃ才能あふれるこの俺が洗脳なんていう非ィ人道的なことするかよ!」
「おい待て、それは原作の623サイドの話では。今のお前ってサブローだよな?」
「どーでもいいーっ!とにかくクルルーっ!金払えーっ!」

















 こうして。


 俺とサブローの関係は、『マブダチ』から『債務者と債権者』という情けないものへとなったのであった。









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 金持ちなんだからケチらず払えよ。

 お嬢様の桃華ちゃん、お金自体ほとんど使ってなさそうな小雪ちゃん、家族ぐるみでお付き合いしてる日向家とは違って、むっつんの場合はいかに人気ラジオDJとはいえ学生ですし経済的にカエルが依存するには結構大変だったと思うんですよね。特にあの黄色いの、そういうの遠慮無しだろうし。





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