051: 告れ。
ある、よく晴れた午前中。
「軍曹さん・・・・僕、僕ずっと軍曹さんのことが、好きだったんです・・・!」
「タママ二等・・・我輩もで、ありますよ。」
「ホントですかぁ!?僕だけを愛してくれますか?あンのにくったらしい女なんか見ないでくれますかぁ!?」
「もちろんであります。」
「軍曹さん・・・・!」
「タママ二等・・・いや、タママ・・・。」
この日、タママは、一生続くと思われた片思いに、終止符を打った。
エンドマークはもちろん『ハッピーエンド』だ。
同日、ちょっとどーよと思うぐらいいきなり降り出した雨の中。
「夏美・・・どうかしたのか?こんなところに座っていたら、風邪を・・・」
「・・・・ギロロ・・・あのね。あたし、今・・・・振られちゃった。・・・サブロー先輩に。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・うん、さっき、告白して、それで・・・」
「夏美。」
「・・・ギロロ・・・?」
「・・・・・・・・お前を振るなんて、馬鹿な男だ。」
「ギロロ・・・ありがとう。嬉しい。」
「っ夏美!俺は・・・・俺は、お前のことが・・・・」
同日、ギロロは見事に棚ぼたを決めていた。
いつものようにつっかかることも邪魔が入る事もなかったのも、奇跡としか言いようがない。
また、雨が止んだ午後、校舎の一室にて。
「西澤さん、いつもありがとう。僕を助けてくれて。」
「そんな・・・・私は、ただ・・・。」
「これからも、よろしく。できれば、ずっと。」
「・・・え・・・?」
「・・・・西澤さんが迷惑でなければ、だけど。ずっと、側にいてほしいんだ・・・。」
同日、西澤桃華は暫定的にではあるが、告白を受けた。
断る理由など、どこにあるはずもない。
そして。
それらすべてをモニターでリアルタイム確認中のクルルは。
うしろからのモアの視線に気が付いた。
(ってちょっと待て!なんだそのいつものキラキラじゃなくて恋焦がれる熱っぽい視線は!待てやおいもしかしてそれ俺に向けてるのか!?血迷うのも大概にしろよ人生棒に振る気か?!何故か知らないけど恋愛ブーム起こってるからって、さすがにお前が俺に惚れるとかそんな展開読者も望んでないって!え?クルモア?ギロ夏に続く人気?オレハナニモシリマセン。
ってかモニターで全部見た俺がツッコむのもなんだけどおっさんも隊長もその他も何考えてんだ!?もともとこの『ケロロ軍曹』の恋愛模様って増える事はあれど解決しないのが定番だったじゃねぇか何全部解決させてんだオイ!ってーか冬樹も隊長も夏美も別人ー!?
うわ待て、おいモアなに見てんだこら。そんないかにも『恋する乙女』の目で見るんじゃねぇ。お前の惚れてる相手は確か隊長で・・・って今タママとくっ付いたっけ。いやだからって俺が棚ぼた決めてどうするんだよ!いやいやだからこっちに寄ってくんじゃねぇって俺の場合恋愛ってのはくっつけたり自分が憧れたり成就させたりするもんじゃなくてどちらかというと壊す方オンリーなんだよってわーもうここまで・・・・)
「クルル曹長・・・あの、私・・・・クルル曹長のこと・・・・・・・。」
かくてここに、四組のカップルが誕生した。
ガバァッ!
「はっ!夢オチ!?」
喜んでいいやら、こんな夢を恨むべきか。
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