<君は僕に似ている>
「C−MOON。」
名を、呼んでみた。
少し離れた所に立っていたその存在は、振り返って私の方へ顔を向けた。
私はその姿を見つめる。私のスタンド。進化した・・・・生まれかわった、私の力。
「C−MOON、私のもとへ来い。」
ためしにそう言ってみると、返事を待つまでもなく既にC−MOONは私の目の前まで来ていた。以前の私のスタンド、ホワイトスネイクとは比べ物にならないほど従順だ。
私はじっくりとその姿を眺める。これは私のスタンドであり、同時に私のスタンドではない。
DIOの骨から生まれたものを取り込み、天国へと向かうために成長した能力。神が望みし力。
しかし。
「・・・・・・・・私に、似ている・・・・。」
呟き、私はそっとC−MOONの頬に触れた。
C−MOONの力は、重力。それはまさしく、引力に導かれてDIOと出会い、今運命という名の神の意思に従う自分そのものを表している。
そして、C−MOONの拳。重力を反転させ、物体を裏返すその手。
触れたもの全て無残に破壊してしまうその姿こそが、私と重なって見えた。
妹は水に落ちる。
友は焼かれ、灰となる。
私が愛し、求めた存在は全て、私の前から消えていった。
スタンドとは、己を映す鏡だという。
ホワイトスネイクは、あの時の私の願いである「記憶」を司るスタンドだった。
これから完成する能力は天国へと向かう為のみの能力であり、そこに私の魂は恐らく映らない。
この、C−MOONこそが。
願いではなく、使命ではなく、私自身を映している。
「C−MOON。」
呼びかける。
C−MOONは私の方へ顔を向けてはいるが、その目が何を見ているのかはわからない。
「・・・・・・・・お前も、辛いのか?」
問わずにはいられなかった。
それが、己の虚像とわかっていても。
「お前も、さびしいのか?」
私自身に尋ねたくて。
私の言葉に、C−MOONはやがて、緩やかに口を開いて・・・・・・。
「一緒ニスルンジャナイ、電波。」
「謝れーーッ!!私とあと色々なものに対して謝れこの馬鹿スタンドーーッ!」
「スミマセンデシタ。」
「しかもそこで謝るのか!?実は素直!?もうお前の性格が何一つわからない!」
本当、早くスタンド完成させよう。
もう何でもいいから早く天国行こう。
End
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------
めげるな神父。メイドインヘブンはきっとちゃんと言うこと聞いてくれるさ……多分。
BACK