番外編・時差ボケの激しい吸血鬼と電波な神父見習いの素敵な日常







<棺>

「ねぇ、DIO。君は寝るとき、こうしてベッドで寝るよね。」
「ああ。」
「なら、向こうの部屋にあるあの棺は一体何のためにあるんだい?僕はてっきり、吸血鬼というのは棺の中で眠るものかと思っていたのだけど……もしかして、あちらはただのオブジェとか?」
「いや、そうではない。時々はあちらで寝ることもある。
 何と言うかな……私は最近まで、棺の中に入ったまま100年ほど海底で過ごした、ということは以前話したかな?」
「ああ、……じゃあ、あの棺はその時の?」
「いや、あれは流石に多少痛んでたので船に置いてきた。だが、ああいうものの中に入っていると、その頃のことを思い出して妙に落ち着くのだ。」
「そうなのかい?」
「ああ。もちろん、海底での記憶といったら、私にとっては敗北につながった忌わしき記憶ではあるのだが…こう、いっさい光の入らない闇の中にただ一人横たわっていると、その海でのことも含め、昔起こったことが次々と胸を去来して、今を忘れられるというか、今の自分について深く考えることができるというか……。ううむ、すまない。どうにもうまく言葉にすることができないな。」
「そんなことはないよ。よく伝わった。」
「そうか?」
「ああ。」


「(多分、買って来たばかりのハムスターが小屋に慣れるまでペットショップで貰ってきた箱を巣箱にするようなものなんだろうなぁ。)」



(プッチさんさりげにド失礼!)










<白蛇と世界>

「『ホワイトスネイク』か……なかなか良いスタンドだな。」
「そうかい?ムカつくだけだよ、そんなやつ。」
「(ムカつく…?)いや、能力ももちろんだが、名前もいい。私も昔から蛇は好きでな、以前は部下に飼わせたこともあった。」
「へぇ、そうなんだ。」
「顔の中で。」
「……それは………壮絶だね。」
「スタンド名は自分でつけたのか?私はエンヤ婆にさっさと決められてしまってな。全く、『スタンド名は普通タロットカードから決めるもの』なんて物々しく言っていたが、別にプッチのように好きに決めてもいいのではないか。適当なことを言って………まあ、気に入ってるし別にいいんだが。」
「なにしろ、まさしく『世界を支配する』能力だものね。」
「まぁな。(ふふん)しかし、プッチのホワイトスネイクだって、言ってしまえばすべてのスタンドを支配する能力、と言っても過言ではないんじゃないか?相性こそあるものの、抜き取りさえすればどんな最強のスタンドでも自分のものにしてしまえる……。我がザ・ワールドの能力が王の能力とするならば、君のホワイトスネイクはさながら神の能力だ。」
「よしてくれよ、そんな大層なものじゃない。お世辞にしたって言いすぎだよ。」
「お世辞なものか。いっそ、一度交換してみるか?君と私のスタンドを。」
「ッ!?(バッ)………あ、いや……(ふいっ)自分のスタンドを抜き取ることはできないからね……残念だけど。」
「……フフッ、そうか…。いや、なに、ほんの冗談だよ。」


「(あんなに必死な顔をして……なんだかんだ言って、自分のスタンドが大切なのだな。うんうん。)」
「(危なかった……。今一瞬『いいの!?』って聞き返すところだった……。ああ、別にザ・ワールドでなくともいいから他のスタンドとこいつを交換することができたらどんなにいいことか……!)」



(既にこの頃から犬猿の仲の模様)









<告白>

「…………DIO。今日、実は君に、どうしても言わなくてはならないことがあるんだ。」
「突然どうしたんだ、プッチ。」
「本当に、僕にもどう言っていいのかわからない……僕もまさかこんなことになるとは思わなかったんだ。だけど、隠しておくこともできない。すべて僕の責任だ。僕は、どうしても君に謝らなくてはならない。」
「謝る…?一体、何の事を話しているんだ?」
「DIO……すまない。僕は…僕は、君の信頼を裏切ってしまった……!本当にすまないことをした……。」
「だから、一体何を……!!」



「ごめん。もらった骨、日に当たる所に置いといたら溶けちゃった。」
「ああそれか。いいよ別に。」

「いいんだ!?ていうか溶けるもんなんだね骨だけでも。」
「私もちょっと驚いた。大分身体が馴染んできた証拠だろう。はい、新しい骨。(ズボォ)」
「ありがとう……本当ごめんね、せっかくのプレゼントだったのに。」
「気にするな。だが、次は注意しろよ。」
「うん。」



(仲良し………なのか?)









<CM>

―――――♪プチプチグミ入りソフトキャンディ……


「ぷっち♪」
「(びくっ)」
「ンッン〜ッ♪」
「…………ねぇ、DIO…。ソレ、できればやめてもらえないかな……?」
「うん?プッチ、あのCM嫌いか?」
「まぁ、ね…。別に菓子自体に罪はないんだろうけど、自分がグミ入りとかソフトになってるとか考えるのはちょっと……。」
「ふぅん……。」


――――――ユーハミ○クトウ……


「ぷっち♪」
「(びくっ)………………………あの、DIO……。」



(人の話を聞かないことに定評のあるDIO様)









<伝わる思い>

「おや、まだ持っていてくれたのか、それ。」
「え?ああ、これか。勿論だよ。君が渡してくれたもの、君と僕を結び付けてくれたものだからね、これは。」
「そうか。元々はエンヤ婆が持ってきたものでな、なんでもイタリアで発掘されたものを購入したらしい。」
「へぇ……。それにしても、不思議な矢だね。スタンド能力に目覚めさせるってのもあるけど、突然動きだしたりとか……。」
「ああ、確かにな。なんでも、その矢は人の思いに反応するものらしい。素質ある者を矢自体が見抜いたり、何かについて強く願う者に対しては、矢がひとりでにその人間を貫くとか。おそらく、君の時もそういうことが起こったのだろう。」
「うん、そうだね。……それに、僕がスタンドを発現させた時に感じた、君の声のことも。」
「声……?」
「ああ。『君が望むなら…深く願うなら、彼女の『記憶』は手にすることができるだろう。心の記憶を…それが君の目醒め』と……。今でもよく覚えている。あれはきっと、僕がスタンドの能力に目覚めると同時に、矢に込められた君の思いが自動的に再生されたんだろうね。」
「……………。」
「思えば、納骨堂で会ったときから君はすべてを知っていたのだね。全てを知って、僕に矢を渡してくれた。
 あの時、君が語りかけてくれたから、僕は自分に起こった出来事を受け入れることができた。そして君に会うことができたんだよ。
 君の思いが伝わったから・・・あの時の君の声が僕を導いてくれたから、僕は今ここにいられるんだ。本当にありがとう、DIO。」
「………………………ああ。」



「(………どうしよう。私別に、思いとか込めてないんだけど……。
  参ったな…きちんと『幻聴だよ』って言ってやるべきなんだろうか……ううむ。)」



(ハレルヤ電波たんの目覚め)









<身体>

「身体を……取り替えた?」
「そうだ。私自身の身体は、100年前にすでに蒸発してしまった。ゆえにとある男の首を切り落として、そいつの体を奪ったのだ。
 しかしそいつの最後の抵抗のせいで私は船ごと海底に沈み、引き上げられるまでなんと100年もかかってしまったわけだがな。」
「それは大変だったね。………なぁ、その上今は、そいつの子孫に追われる運命まで背負ってしまったんだろう?」
「ああ、そうだな。」
「どうして、そこまでしてそんな厄介な身体を選んだんだい?その時は仕方がなかったかもしれないけど、今ならばもっと別の人間を選んできて身体を取り換えてもいいんじゃないか?」
「いや、それはできない。」
「何故?その方が君にとっても都合がいいだろうに。」
「この私のボディとなるからには、私から見て尊敬に値するような者でなければならない。私にふさわしくない者の肉体など、いくらあっても無駄でしかないからな。
 この身体の元の持ち主は、昔から私の邪魔ばかりしてきた。けれど、その精神力、その強い魂と意志は今でも高く評価している。だからこそ私はこいつを選んだ。こいつと私は昔からそのような運命に結び付けられていたのだろう。……あの時は、奇妙な友情さえこいつに感じたものだ。」
「……友情……か。…………………ねぇ、DIO?」
「何だ?プッチ。」
「もし、さ。」


 もし、君のその身体が使い物にならなくなった時は。
 その時は、私の身体を使ってくれるかい?


「……………。」
「…………プッチ?」
「………ううん、なんでもないよ。それより、その人って一体どんな人だったんだい?」
「うん?そうだな……身長は195cm、体重は100kgを超える巨漢でな。大学ではラグビー部のエースでもあった。丸太のような足を始め全身が分厚い筋肉に覆われていて、タックルの時などさながら蒸気機関車のようなすさまじさが………お、おい、プッチ?どうした、突然突っ伏したりして?」
「………………………なんでもない。なんでもないんだ。(くそう……お話にもならなかった。とりあえず明日から筋トレでも始めよう……。)」



(こうして6部神父は多少マッチョになりましたトサ)











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 プッチとDIOは本当仲良かったんだろうなぁ。男の友情とはまた別の感じだったんだろうけど。
 ともあれプッチ神父お誕生日オメメタァ!!


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