弁護士と検事の正しいカンケイ




御剣「成歩堂、最近糸鋸刑事並みに収入が少なくて極貧生活の真っ最中だという情報を矢張から仕入れたので不憫に思い菓子など持って来たぞ。」
狩魔「成歩堂龍一、私も依頼がまったく来なくて餓死寸前のあなたの噂を綾里春美から聞いたので哀れに思ってソーメンなど持ってきたわ。」
成歩「・・・・・・・・・優しい友人と慈悲深い知り合いを持って僕は幸せだよ。ああ、嬉しすぎて殺意が芽生えそうさ。」
真宵「なるほどくん、感謝している顔に見えないよ。二人ともせっかくお土産持ってきてくれたんだし。」
成歩「ううう・・・・・・空腹のせいで腹を立てることも出来ない・・・・・二人ともわざわざ僕を笑いに来るほど暇なのかよ?」
御剣「悲観的になってるようだな、成歩堂。元気を出せ、とのさまんじゅうをやろう。」
狩魔「馬鹿にしないでちょうだい、私達だって馬鹿を馬鹿にしに来る為に時間を割くような馬鹿じゃないわよ。大体あなたに依頼が来ないことなんて珍しくもないじゃない。特におかしくもないわ。」
真宵「それがそのー、今回のは本気でちょっとピンチなんですよ。お客さん、みんな隣の法律事務所に吸い取られちゃって。」
御剣「隣、だと?」
真宵「ほら、あっちのビルのでっかい看板のやつですよ。」
御剣「・・・・・・ほう、戸成野(となりの)法律事務所か。」
真宵「え?みつるぎ検事、となりの事務所知ってるんですか?」
御剣「うム、戸成野弁護士といったらかなりのベテランだからな。最近千葉から場所を移してきたと聞いてはいたが、まさかこんなところにあったとは。」
真宵「もー、お客さんがせっかくこっち来ても『あ、間違えました』の一言なんですよ!せっかく宣伝用の張り紙だって作ったのに!」
御剣「ああ・・・・これか。『カッポレ!ナルホドー』。見た瞬間は何かと思ったが。」
狩魔「何故か知らないけどラーメンの食べたくなるキャッチフレーズよね、これ。」
御剣「冥、それはサブリミナル効果というのだ。とにかく、それで客が来ないのか。まったく君という男は昔から様々な不幸に遭う奴だな。被告人経験は2回もあるし、依頼人は皆絶体絶命だし。」
成歩「・・・・・・・放っといてくれ。」
御剣「だが悲しむ必要はない。人というものは新しいものに弱いが、時が経てば必ずよい方がわかる。弁護士としての能力は恐らく君の方が上だ。」
成歩「え・・・・。」
御剣「自信を持ちたまえ、成歩堂。」
成歩「ど、どうしてそんな事断言できるんだよ。向こうはベテランなんだぞ?」
御剣「何故ならこの一ヶ月の間にあった裁判で私は3回戸成野弁護士と対峙したが、完全に全勝したからだ。
成歩「うわ。」
御剣「ちなみに最後の一回など途中で泣きが入った。取調べでなく裁判で、しかも弁護士が泣くのだから、全く愉快な話だ。」
狩魔「そういえば私も、戸成野という名前は最近聞いたことがあるわね・・・・・・。
  ああ、そういえばその戸成野法律事務所に所属していた弁護士全員この一ヶ月で叩き潰したんだっけ。
成歩「ぜ、全員・・・・?」
狩魔「ええ。私、弁護士事務所を丸ごと相手にするのが好きなの。ほら、ゲームとかで雑魚を滅殺するのに似てない?何せ狩魔は完璧だから。」
成歩「弁護士狩りじゃないかよ・・・・。」
真宵「スケールが違うねぇ・・・・。やっぱり二人ともプロだし、仕事の楽しみ方ってモノをわかってるよね。」
成歩「プロでもそんな楽しみ方はしないと思うよ。ていうか二人とも、ひょっとして弁護士をスライムか何かと思ってないか?」
御剣「まさか私も冥も、スライムに負けるとは思ってもみなかったからなぁ。」
成歩「そういう話じゃなくて・・・・・。」

カランカラン

お客「あのー・・・・すいません、戸成野法律事務所というのは・・・・・。」
成歩「うげ、また来た。」(冷や汗)
御剣「ほう、この天才検事御剣怜侍に一ヶ月間に3度も負けて泣いて帰った戸成野弁護士の事務所なら隣だが。
狩魔「この天才検事狩魔冥に事務所内の弁護士全員負かされて見事に全クリされた戸成野法律事務所に何の用?
お客「・・・・・・・あの、やっぱここでお願いします。」
成歩「あ、ありがとうございます!」
真宵「わぁ!みつるぎ検事、かるま検事、ありがとうございます!」
御剣「なに、礼には及ばん。」
狩魔「私を倒したような男が、こんなところで餓死するというのが不本意なだけよ。」
成歩「御剣・・・・・・狩魔検事・・・・・・。」

御剣「では、またな、被告人になった経験が3度もある(学級裁判含む)成歩堂弁護士。
狩魔「せいぜい頑張ることね、毎回依頼人が必ず絶体絶命の大ピンチになる成歩堂龍一。


お客「・・・・・・・・すいません、やっぱり星影弁護士さんの所行きます・・・・。」
成歩「お前ら覚えてろよこの弁護士狩りの鬼畜検事ーっ!











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 様子を見に来たり、差し入れもってきたり、手助けしたり、そして時には力の限りに突き落としたり。そんな素晴らしく正しいカンケイ。
 ・・・・・・・・・ひでぇな、二人とも。

 というわけで、初アップの逆転裁判小説です。出来るだけネタバレのないようなものを選んだつもりですが・・・・・いかがでしょう?
 ていうか、ネタバレについてこんなに恐がるのは多分初めてなんですよ。ほかのものならいざ知らず、意外な展開と究極のオドロキが売りのこの『逆転裁判』というゲームで先に情報を得てしまうのはひっじょーにマヅイ事だと思いますので。
 というわけで、逆転裁判未プレイの方、万が一コレを読んで「おもしれー」と興味がわいたならぜひともプレイしてみて下さい。「ナニこれくっだんねー」とか思った方。大丈夫です、ゲームはコレの百万倍面白いです。



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