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父の日限定企画 「ジョジョ父子、買い物に行く」
1.ピンク親子 in 化粧品店
「あ、やだ‥‥雑誌で出てたほお紅売り切れてる‥‥。ちょっと狙ってたのになぁー。」
「‥‥今日は口紅を見に来たんじゃなかったのか?」
「(ムッ)わかってるわよッ!こうやって、目当てとは別の商品を見るのもショッピングの醍醐味なのよ。
普段ほとんどネット通販で済ませてるアンタにはわかんないだろうけど!」
「店内で大声を出すな‥‥騒ぐなら買ってやらんぞ。」
「もう‥‥。
あ、こっちの赤リップちょっといいなぁ、大人っぽい‥‥。今流行りみたいだし、挑戦してみようかなァ〜‥‥。」
「どれだ?‥‥‥そういう強い赤や暗い色は、お前にはまだ早い。」
「何よッ!」
「いいから、こっちのピンクにしておけ。必ず合うし、今の年頃の内しかつけられん。
心配しなくとも、あと5年か10年ほどすれば、そっちの色も似合うようになる。お前の顔立ちなら、もう少し明るみの強い色でも十分つけこなせるだろう。」
「‥‥‥‥‥‥ねぇ、それってさ。」
「‥‥‥察しの良い奴は嫌いだ。(ムスッ)
そうだ、『あいつ』は似合った。‥‥‥‥顔だけは似てるからな、お前は。」
「‥‥‥‥ふぅん‥‥‥。」
(結局、この日は父のお勧めをお買い上げ)
2.オラ親子 in アクセサリーショップ
「あ、これも可愛いー♪
スワロフスキーのピアスってやっぱ良いわね、キラキラで。‥‥へぇ、こっちは月と星でセットになってんのね。
んー、でもなぁ‥‥。」
(‥‥やれやれだぜ。
女の買い物っつーのはどうしてこう、長い上にやかましいのか‥‥娘じゃなけりゃ付き合わねえぜ。
‥‥もっとも、付き合うどころか既に一度は同行を断られたわけだが‥‥。『好きなものを買ってやる』と言ってようやく一緒に出かけられるというのも情けねえが、こうして延々後ろで黙って見てるだけ、というのも、居心地の悪いもんだな‥‥。)
「んー‥‥これも悪くないけど、ちょっとじジャラジャラしすぎかしら。できればモチーフは一点のほうが‥‥‥でもバーベルタイプって種類少ないし、最悪金具は付け替えればなんとか………あ!こっちのピンクゴールドの星可愛いッ!
どうしよ、でもちょっと大きいかな?」
(‥‥何を言ってるのか、見事にわからんな‥‥。あれはまさか、俺に向かって言ってるんじゃあないよな?
独り言であれだけ喋り続けていられるとは‥‥俺に似たわけじゃないというのは明らかだが、母親 もそんなに口数の多い方じゃなかったはずだが‥‥。
‥‥‥まさか、お袋か?隔世遺伝ってやつなのか?)
「‥‥‥‥‥‥‥‥ちょっと。」
「‥‥ッ!」
「‥‥‥‥‥黙って見られてても、やりづらいんだけど。
暇なら、選ぶの手伝ってよ。その、アンタが、金出すって言ったんだからさ。
ほら、これ!どう思う?可愛いんだけど、ちょっとモチーフが大きめだから、動く時とかに邪魔かなぁとも思うんだけど。」
「(‥‥まさか、徐倫の方から‥‥!だが、参ったぜ‥‥女の飾りモノなんぞ、全くわからん‥‥‥。)
‥‥そうだな、それほど気にしなくとも、いいと思うが。その程度の大きさのピアスなら、耳元で揺れるのもアクセントってやつ‥‥。」
「あ、いや‥‥これヘソピ用。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥へそ?」
(知らぬうち(意識不明中)に娘がヘソに穴開けてた父親の心境やいかに)
3.川尻家 in 家電量販店
「‥‥小型の方が使いやすいし、軽いに越したことはないんだけど、画質がいいのは結局大きいやつなんだよなぁ‥‥。
手ブレ補正と顔認識機能は絶対必要だし、ズーム機能も出来れば‥‥広角はこの際、ある程度まであればいいかなぁ‥‥。」(ブツブツ)
「‥‥‥向こうに、一番人気とかいうハンディカムもあったが、あれじゃ駄目なのか、早人。」
「あれ?ダメダメ。あれだとモーター音がうるさすぎるんだよ。録音に入るほどの音じゃないけど、距離が近いと被写体の耳には絶対気付かれるから。
あと、盗撮防止のためか知らないけど、録画開始時のピッて音がどうしても消せない仕様になってるんだよね。」
「やはり盗撮用か‥‥。」
「わかんないなら、邪魔しないでよ。ママがペットコーナーの猫に釘付けになってるうちに済ませなきゃいけないんだから。
これ決めたら、次は設置型の小型カメラのコーナー見に行かなきゃいけないし、時間ないんだよ。」
「それも隠し撮り用だろ確実に。
どこの世界に、夫婦の寝室に設置される隠しカメラを息子に買ってやる父親がいるというんだ‥‥。」
「別にアンタに買ってもらおうなんて思ってないよ。心配しなくとも、ちゃんと自分のお年玉で買うからさ。」
「そういう問題じゃない‥‥!」
「何もやましいところがなければ、撮られてても別に無問題でしょ?アンタがママに妙な真似しなけりゃ、それで済むだけの話だ。
いいから、パパはカモフラージュ用の自分のひげ剃りでも見ててよ。‥‥‥‥あー、やっぱ赤外線撮影対応はその分値が張るなぁ〜‥‥。」
「(こ‥‥このガキ‥‥‥。)」
(たくましくなったなぁ、早人‥‥)
4.イカサマ親子 in ゲームショップ
「だからよォォ〜、別にわざわざ買ってくれなくってもいいッスからァ〜‥‥。」
「じゃが、のう‥‥。ワシが静の時に使っちまったせいで、その、げんてーばん?というのを、発売日に買えなかったんじゃろ?
今そのソフトは売り切れてしまってるようじゃが、せめて代わりのゲームくらいは‥‥。」
「だからァ〜、そこまでしてくれなくっても‥‥っつーか、そんなパッと代わりの欲しいゲームなんて思いつかないスよ‥‥。(それに、ゲームなら重ちーん時に手に入れた引換券がまだ残ってるし‥‥)」
「そう言わずに‥‥今時の日本の若者なら、こういうゲームを『もう飽きたよ』というくらいやりこんだりするんじゃろ?承太郎が高校生くらいの時はそうだと聞いたんじゃが‥‥レースゲームなんかで、マシンの特性を覚えたり、暗闇のコースを記憶だけで正確に走ったり‥‥。」
「まぁーそりゃハマればそういうことも‥‥って、今時のって、まさか承太郎さん昔は結構ゲームとかやる方だったんスか!?うわッ意外ッ!」
「おーおー、承太郎は野球のゲームが上手くてのぉぉ〜、初めてプレイした時も、すぐにコツをつかんでホームランをバンバン打ったりしてなぁ。ワシもちびっとだけやってみたりもしたが‥‥。
そうそう、こういうゲームを買えば、その‥‥ワシも、仗助君と一緒に、ゲームで遊んだり、できんかなぁと、思ってのう‥‥。」
「‥‥‥‥!」
「今から操作を覚えるのは、ちっと大変じゃがの‥‥何かカンタンなやつでもあれば‥‥。」
「‥‥ジジイ‥‥。
‥‥だったらよォォー、わざわざ複雑なTVゲームにしなくたって、遊びなら色々あるだろうがよォォー。
ほら、こっちで売ってるサイコロだって、三つもありゃチンチロリンでも何でも‥‥。(おっと、でもジジイ相手にギャンブルってのはちょっとアレかなァ〜?)」
「おーおー!サイコロか!よいのぉ!
ギャンブルの類なら、ワシもの、若い頃、ひとつ得意だったのがあるんじゃよ、なぁ?」(ニコニコ)
「へェー、どんなやつ?(まッ、賭け事は抜きにして、たまにはジジイに合わせて遊ぶのも‥‥)」
「(スゥ)‥‥‥表面張力というのを知っておるかね?仗助君‥‥。」
「ッ!?(ジッ、ジジイの目つきが‥‥!?)」
(でも今だと手が震えて波が立っちゃいそう)
5.柱家 in 大型手芸用品店
「今の時期とこの国の気候なら通気性も重要だろ、麻や木綿はどうだ?」
「馬鹿者が。そんな脆い布では、縫う以前にワムウが手に取った時点で引き千切れるわ。
やはり頑丈で破れにくいことが第一‥‥絹も軽く丈夫だが、やはりまだ脆いし水に弱いのが難点だ。毛皮や革も見ておきたいのだが、ここには置いていないのか。」
「革製品は別フロアのようだな‥‥ん?
どうしたワムウ、何をそんなところで突っ立っている。」
「‥‥カーズ様、エシディシ様‥‥我らは何故、このような場所に。」
「今更何を言っている。
お前が言い出したのだろう、ワムウ。己が破った装束や壊した装飾くらい、己の手で修繕してみせる、と。」
「いつまでのカーズ様のお手を煩わせるわけには、とも言っていたな。で、どうせなら一から作れるようになるために、まずは材料を調達しに来たわけだ。」
「確かに申し上げましたが‥‥!てっきり、その、材料は狩りで調達するものかと‥‥!」
「初心者にゃこれで十分だ。ここで買えば、皮を剥いだりなめしたり干したり匂いを取る手間も省けるしな。
鹿や象の皮までは流石に手に入らないが、布の種類も多い。鎖や金具など装飾につかう物や、使いやすく穴の開いた石も置いてあるしな。人間の作った施設にしてはなかなか便利だ。」
「だからと言って何故ユザワy‥‥!」
「ワムウよ。
お前は、こと戦闘においては一流の技とセンスを持っている。だが、手先の器用さという観点で言えば、この中で最弱と思われる。」
「ッな、サンタナ以下ですと!?」
「うむ、間違いない。
よく見ておけ。試しにそこの、工芸品コーナーにて寄木細工のからくり小箱に夢中になっているサンタナに、この精巧に編まれたビーズ細工(完成品見本)を渡してみる。」(ひょい)
「‥‥‥‥‥?」(じー‥‥)
カチャ、カチャ‥‥‥‥プチ、パラパラパラパラ。
ザラ‥‥‥スッ、スッスッスッスッ‥‥‥あみあみあみ、ギュッ。
「‥‥見よ。一瞬で構造を理解し、分解して再び編み直したぞ。」
「なんと‥‥!」
「あいつ昔から、ああやって細かい道具バラしたりするの好きだよなぁ。下手したらワムウどころか俺以上なんじゃあ‥‥。
サンタナのああいう細かい細工や仕掛けが好きなところは、確実にお前の遺伝だろうなァ、カーズ。」
「別に俺が生んだわけではないがな。
ともあれ、ワムウ。お前もある程度は技能として習得しておくべきだ。生涯必要になるし、何より己の手で完璧に己の好むものを作り上げるというのはなかなか気分の良いものだ。他の者に似合う物を作る、というのもまた別種の喜びがあるが‥‥。」
「ああ、カーズ特にそれ好きだよな。いつの間にか俺たちの分の装飾品まで量産してることあるだろう。」
「うむ、ついでにな。今日もワムウの買い物がメインだが、折角来たのだし何か‥‥‥‥‥おお!!
見ろ、ワムウ!動物やキャラクタープリントの布があるぞ!!
よし、これでお前の帽子とサンタナの下穿きも新しく仕立ててやろう!どれが良い、好きな柄を選ぶがいい!!」(うきうき)
「おやめくださいカーズ様!!どうか!!」
(そしてわれ関せず、という顔でまたからくり小箱の世界へ戻ってゆくサンタナ)
6.無駄家族 in ブティック
「‥‥ほう、このニットは良いな。なかなかない色だ。鮮やかで、夏らしくてよい‥‥。
なぁ、ウンガロ。お前少しあちらで試着してみ‥‥。」
「(極彩色ってレベルじゃねーぞ!!)あ、親父!なぁこのジャケット超イカスと思わねぇ!?ほらちょっと羽織って、鏡はあっち‥‥‥おおおーーーッ!かぁーっちょイイーーッ!やっぱタッパあるといいよなぁぁ〜!」
「そ、そうか?
む、これは、チョーカーか?大きさの割に軽いし、それでいて存在感もある‥‥悪くないな。私が以前使っていたのにも少し似ている。
‥‥ドナテロ、ちょっと試しにこれをつけてみる気は‥‥。」
「(ゴツイにも程があるだろ最早チョーカーじゃなくて首輪だろそれ!)あー、俺今使ってるやつ気に入ってるんだよ。悪ぃな。
それより、このネクタイどう思う?今年の夏の新作だとさ、ヴェルサーt‥‥ゴホン、オホホーン‥‥まぁその、有名ブランドの。
親父はスーツやネクタイなんざ滅多に使わねえだろうが、一本持ってて損になることもないぜ。ほら、結べるか?」
「う、うむ。ありがとう、ドナテロ。(きゅっ)
‥‥おお、この帽子はまた、見事な蝶結びだな。正面ではなくサイドに飾るのもまた洒落ている。ディエゴの土産に買って行ってやろうか。あいつはこういうリボンモチーフを好むようだし‥‥どう思う?ハルノ。」
「(どの角度から見ても、女性用だろうなぁあれは‥‥)父さん、帽子というのは意外とサイズやフィット感も重要ですよ。本人が試着出来ないまま買って、結局入らないとなったら悲しいでしょう。お土産もいいですが、それは今度ディエゴがいる時にしましょう。」
「ぬぅ‥‥確かに、そうかもしれんな。
ん?‥‥ほほう!これは、いわゆるアニマルプリントというやつだな。ふむ、悪くない‥‥黄色ベースなところも良い。
リキエル、お前も普段こうした柄を愛用しているが、たまにはこちらも挑戦してはみないか?こちらは肉食獣のモチーフだ、牛よりも強そうだろう。」
「(せめてゼブラだったらまだしも、よりにもよってヒョウ柄‥‥!俺を関西のおばちゃんにさせたいのか!?)えーと、その‥‥あ、えと、俺より父さんの方が似合」
「てい。」
ゴッ。
「こらッウンガロ!?急に売り物の鞄を振り回すんじゃあないッ!リキエル、大丈夫か!?」
「はーい、ごめーん。‥‥‥‥阿呆。(ボソ)」
「‥‥ごめん‥‥。」
「全く‥‥。それで、皆もう欲しいものはないか?
では、私は会計を済ませてくる。仲良く待っていろ。」
「「「「はーーい。」」」」
「‥‥‥‥‥なぁ、いい加減誰か直接言いに行けよ‥‥。こんな回りくどい方法しなくてもさぁ‥‥。
さっきだって、なんだよあの禁止区域入ったら爆発しそうなチョーカー。」(ひそひそ)
「だって言ったら多分親父泣くじゃん。行くならヴェルサス行けよ。
ディエゴあたりなら気にせずズバズバ言ってくれそうなんだけど、残念ながら服のセンスが親父と同系統なんだよなぁ‥‥。
あと、リキエルは本当今度から喋るな。コーディネートはオレらでするから。」
「ううう‥‥ごめん‥‥。」
「まぁ、先程のあれは見事に本末転倒な言葉でしたね‥‥。
ともあれ、今は小さな変化でも、こうして僕らが少しずつ誘導して父さんにまともな服を選んで購入させ続けていけば、いつかあの衣装室の中身もぐっと一般人のそれに近づいていくはず‥‥。それに伴って、父さんの意識もきっと変化して‥‥。」
「店主、このジャケットと、ネクタイを包んでくれ。支払いは一括で。
それから、先日頼んだ品はできているか。」
「毎度ありがとうございます。
はい、ご注文の通り仕上がっております。こちらで、確認をお願いいたします。」(ドサア!)
「ッな‥‥‥何ィィィーーーーッ!!?」
「いつもの服だッ!!普段のあの傾向の服が大量にッ!?」
「オーダーメイド‥‥だと!?ていうかアレ注文して作ってもらえるものなのかッ!?」
「これはさすがに守備不能だろォッ!!ズルいッ!親父卑怯者ォォッ!!」
(息子たちによる父親ファッション改造計画‥‥‥ならず)
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テーマは「子供の買い物に付き合ってくれるお父さん」でした。
きちんとお父さんしてる父親が数えるほどしかいないのはお約束というかご愛嬌。
おまけでは逆に、父側の買い物に付き合う子供側を。