エルメェスの悩み





「・・・・・・あたしも、弟分がほしいなー。」
「弟分?エルメェス、確かお姉さんがいたわよね?」
「本物の弟じゃなくってさ。弟分だよ、弟分。
 こう、どこぞのパイナップルとかバッテン馬鹿みたいな、あたしに懐いたり慕ったり尊敬してくれるような、そんな相手。別に妹分でもいいんだけどさ。」
「ああ・・・・なるほど。役割的な話ね。」
「そ。やっぱ、まがいなりにも『兄貴』の称号を持つものとしては、そういう相方的なものが必要だと思うんだよね。
 こうさぁ、頼りにされたりとか、あたしがいないと駄目だとか、ビビったこと言ってあたしに殴られたりとかして、でも最終的にはあたしの言葉で成長したりすんの。」
「・・・・・・・・条件が厳しいわね・・・・・・。
 うーん、立場的にはあたしか、FF辺りが近いんじゃないの?兄貴っていうか、もうちょっと対等な関係だとは思うけど。」
「駄目駄目。徐倫、アンタは主人公だろ?主人公をそんな立ち位置にするのはマズいんだって。
 FFには先立たれちゃった上に、死に目にも会えなかったし。」
「え、先に死んだら駄目なの?弟分って。」
「あッたり前だろー!?弟も守れずに死んでく兄貴なんて兄貴じゃねえ!
 やっぱ兄貴っていったら、弟分をかばって死に追いやられ、それでも弟の安否を気遣うもんなんだよ!そんで、死の間際に一番大事なことを弟分を伝えて、そいつの精神成長させて華々しく散っていかないといけないもんなんだよ!
 弟分先に死なせといてのうのうと長生きするような奴は兄貴じゃねぇ、単なるゲスだ!」
「・・・・って言ったってエルメェス・・・・・・あんた、最終決戦まで生き残ってるじゃない。」
「そうなんだよーーーーっ!!!そこが問題なんだよあたしの!!
 ちっくしょう、せめてアナスイがもーちょっとアタシと絡みが多ければ・・・・あいつならヘタレ具合的もかなり適任だったのに・・・・・・。」
「ちょっとちょっと。てか、アナスイもタッチの差で先に死んでるし。」
「あるいはリキエルが仲間になってればかなりイケたろうし。」
「んな無茶を。」
「・・・・だいたい、あたしって他の兄貴二人に比べて、どうもパッとしないんだよなぁ・・・・・・。
 全体的な出番ではアタシが一番多いはずなのに、そのせいで密度が低いっていうか・・・・・・。
 名言だって、『俺だってそーする』とか、『ブッ殺すと思ったなら』とか、そういう兄貴的にもいい感じのに対して、あたしのは『パンティあげちゃう』だし。」
「・・・・それは、その・・・・・・ほら、逆に考えるのよ。『インパクトの強さなら負けない』って。」
「逆じゃないし、それ。
 はぁぁ〜・・・・やっぱり、あたしなんかに『兄貴』を名乗る資格はないのかもしれない・・・・・・。弟分もいない、死に様もなんかいつの間にか死んでた的なはっきりしないあたしなんかじゃ・・・・・・。
 ああもう、なんであたし生き長らえちゃったんだろう・・・・・・なんか死にたくなってきた・・・・・・・・。」
「ちょちょ、ちょっと!いくらなんでも飛躍させすぎだって!
 ストップエルメェス、落ち着いて!うっかりマックイイーンになってるわよ!とにかく一旦考えるのを止めて!
 だいたい、兄貴なんて色んなタイプがあるんだからそう気にしなくたって・・・・・・!」



「ゴチャゴチャ言ってんじゃねえッ!このマンモーニがっ!!」(バキィッ!!)

「がふぅっ!?」
「ああっ!エルメェス!」
「いい加減にしやがれ、エルメェス・・・・。何が『兄貴を名乗る資格がない』だあ?」
「あ、あなたは・・・・・・5部兄貴代表のプロシュートさん!?」
「てめぇ・・・・なんでこんなところに・・・・・・。」
「思い上がってんじゃねえ。俺は、一度だってテメェが兄貴の一員だなんて認めたことはねぇッ!!」
「っ・・・・!」
「ちょっ、プロシュートさん、いくらなんでも言いすぎ・・・・・・!」
「くっそう・・・・馬鹿にすんじゃねぇ!例え弟分がいなくたって、あたしは兄貴だ!
 ちょっと死に様が熱カッコよかったからっていい気になってんじゃねーぞッ!」


「何度だって言うぜ、エルメェス・・・・・・。テメェは兄貴なんかじゃねぇ・・・・・・・・。
 エルメェス、テメェは・・・・・・・・・・・・・・じゃねぇか・・・・・・!」

「!!!!」(ズギャァァーーーン!)




「(も・・・・盲点!それは性別!
 つか何!?このムードは!?)」










 5部兄貴と6部兄貴、恋の始まりであった。












End



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