第二期第四十四話 『モアピーチサマースノー 決戦バレンタイン であります』





Boy’s Valentine@:日向冬樹


「……冬樹。嬉しいのはわかったから、いいかげんその巨大チョコどっかにやりなさい。家に入れないでしょーが。」
「やだ!せっかく西澤さんが僕のために、僕のために作ってくれたんだから、全部食べる!」
「いや、だから、食べるのはいいとしても………。」
「例え何ヶ月かかっても、鼻血の噴きすぎで貧血起こしても、砕くことが出来なくて家の中に入れらんなくてやむなく外で食べて風邪ひいたとしても食べるんだーっ!」
「どっからでてくんのよそんな根性!そりゃそこまでされたら桃華ちゃんだって本望だろうけど!」
「姉ちゃん、僕は去年気付いたんだよ・・・・・・・バレンタインのあの喪失感、空虚感・・・・・・・・・・。バレンタインは確かに女の子にとっての祭りかもしれない。けど、同時に特定の男にとっては地獄でもあると言う事を、僕は知ってしまったんだ!」
「・・・・・・・・・はぁ。」
「不確定多数に対する怒り、憎しみ、そしてそれをはるかに上回る、チョコをもらえぬ自分に対しての自己嫌悪!その無限ループのマイナス感情は決して昇華されることなく延々と回り続ける!
 去年の僕はまさしくそんな悲しい輪廻の中に呑み込まれるところだった・・・・。けれど、そんなときに桃華ちゃんが僕を救ってくれた。今年も、このチョコのおかげで僕はその無限地獄から抜け出せたんだ。だから嬉しいんだ!たとえ義理でも!!


「その巨大チョコを義理とみなした時点でアンタの地獄は決定よこんのドにぶチンがぁぁぁぁぁぁぁっ!!」(跳び膝蹴り)


(副題:でも郵便受けは今年も夏美宛のチョコで一杯)





Boy’s ValentineA:ギロロ伍長


(・・・・・・・うううう・・・・・腹が重い・・・・・・。今年も俺のバレンタインは和菓子で終わってしまうのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・む?)
「夏美、そんなところで何をしている。もう深夜だぞ?」
「あ、ギロロ。ちょうど良かった。その・・・・・・・・あの、アンタに渡したい物があってさ。」
(な、なんだ!?夏美のこの様子は!)
「・・・・あ、甘いもの苦手なのは、知ってるんだけど・・・・・・・その、どうしても。」
(甘いもの・・・・・・・渡したいもの・・・・・・・そして、今日!しかも、この夏美のもぢもぢとした様子は・・・・・・もしや!)
「・・・・・・・・ふっ。もう12時を回っているぞ?いささか遅いような気がするな。まあその、もらってやらんこともないがな。」
「しょうがないじゃない、今日は色々あって忙しかったのよ。じゃ・・・・・はい、コレ。迷惑かもしれないけど・・・・・・・・受け取って?」
(おおおおおおおっ!!この、このピンクのラッピング!ハートの形!今日一日もう匂いもイヤになってきた甘い和菓子の香り!・・・・・・・・・・・・・て、和菓子?)
「あの・・・・・・・夏美、コレは・・・・・・?」
「ん、ああ、それ?ういろう。」
「うい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さっき556さんに返されちゃってさー。ってホントはあたしのじゃないんだけど。で、あたし今ダイエット中なのよ。冬樹はしばらく玄関のチョコにかかりきりになっちゃうだろうし、ボケガエルは・・・・・・その、ちょっと今日いろいろあって会いづらいし。
 ホント困ってたのよ。ありがと、もらってくれて。それじゃおやすみ!」

タッタッタ。ぱたん。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・夏美・・・・・・・・・・・・・今日お前一体何があったんだ・・・・・?」


(副題:「いいんだ、夏美がくれたものなら・・・・それで・・・・・・・・・。」)





Boy’s ValentineB:556


「えええっ!お兄ちゃん、あのチョコお兄ちゃんがもらったものじゃなかったの!?」
「おうっ!!実はあれは、ケロロがお世話になっている家の娘さんからの大切な預かり物だったんだ!!一日大切に守るよう頼まれて、ついさっき返してきたところだっ!!」
「そっか・・・・・・そうなんだ・・・・・・・。じゃ、残念だったね・・・・・・・今年も、お兄ちゃん、一個も・・・・・・・。」
「はーっはっはっはっはっは!どうしたラビー!俺は別に、ちっとも残念なんて思ってないぞ!!後悔しない!それが俺だっ!!
 それにラビー!お前が泣かなくったっていいんだ!!泣くのは、信念が折れたときだけでいい!!そうだろ!?」
「うん・・・・・・・・・ごめんね、お兄ちゃん。あのね・・・・・・お兄ちゃんがチョコをもらったって知ったとき、私、喜ばなくっちゃいけないのに、ちょっとだけ・・・・・・・・・寂しかったの・・・・・・・・・。」
「ラビー・・・・・・・・!」
「あの、お兄ちゃん、その・・・・・・・・・・12時過ぎたら、チョコが急に安くなって・・・・・・・・・その、それでもあんまりたくさん買えなかったけど・・・・・・・これ・・・・・・・・・。」
「はーっはっはっはっはっはっはっは!」


(副題:『ケロロ軍曹』界唯一の両想いな禁断カプ推奨中)





Boy’s ValentineC:サブロー


「もしもしクルルー?今日さー、町でコスプレした夏美ちゃんがモアちゃんや桃華ちゃんたちと一緒におたくの隊長さんとドンパチやった挙句突然チョコ突き渡されちゃったんだけど、これってなんかの企画?それともお前の差し金?」
『・・・・・・・・・・ンなくだんねぇ用件でかけてくんな。こっちは売れ残り処理と胸焼けでそれどころじゃねえんだから。』
「えー。俺にとっては大問題なのにー。言っとくけど俺全身タイツの女の子にチョコもらったの生まれて初めてだよ?」
『知るかよ。むしろ経験してたりした方が驚きだっつの。』
「あ、ところで話題変わるけど、お前今日モアちゃんからもらえた?」

ガチャン!!



(副題:その頃の平和な電波コンビ)


fin






------------------------------------------------------------------------------------------------------------
今更だってことくらい知ってる・・・・・・!それでも堪え切れずにサルベージ。
アニケロ二年目のバレンタイン話男子視点4本立てでございました。
バレンタインネタって大抵頑張る女の子が主流になるもんだけど、男の子って必ずと言っていいほど流されてばっかですよね。まあ元々男子にとっては受身のイベントだから仕方がないけど。
でも一ヵ月後のホワイトディでもお返しなワケだから自分からどうこうするわけにはいかないし、そう考えてみると男性のほうから女性にアプローチできるようなイベントってないですねぇ。
あ、欧米式バレンタインという手があるか。





BACK