第三期第一話 『ケロロ さらば愛しきケロロ であります』
『ケロロ 滅亡へのカウントダウン であります』
いつも、通り。
「あ〜・・・・・・いいよねぇ・・・。やっぱ温泉ってのは心のリフレッシュだねぇ。」
「軍曹さんちょっとジジくさいですぅ。」
「いいのか・・・・?今が一番大事なときだというのに、慰安旅行なんて・・・。」
「イーじゃん別に。三年目突入なんだし、一話目前半ぐらい不在でも許してくれるって。」
「いや俺が言いたいのはそういうことじゃなくて、侵略のだな・・・。」
「だいたいさぁ、三年目だよ?これはもう長者番組のキップを手にしたも同然じゃん?
これからまた一年二年と頑張っていく事になるんだから、今のうちに骨休みしておかないと〜。」
「ちょっと待て!一年二年って、またそんなに時間かける気かおい!ただでさえ遅れているんだぞ!?」
「オッサン、急に湯船の中で立ち上がるとのぼせるぜぇ?ク〜ックックックックックック・・・・。」
「・・・・とりあえずクルル、風呂のなかでぐらいメガネ外すであります。」
いつもと、おんなじ。
「いい湯でござるなぁ。それに、宇宙露天風呂は相変わらずよい景色。
前に小雪殿と山奥の秘湯へ行った時も、景色が非常に素晴らしかったでござる。」
「ほう・・・。って、ちょっと待て!貴様、温泉って・・・・・・あ、アイツと入ったのか!?小雪と、一緒に!?」
「え・・・うん、そうだけど?」
「僕もよくモモッチと背中の流しっこするですぅ。」
「あ、我輩も冬樹殿と一緒に入ったー!しかも提督殿のお宅で!」
「安心しなオッサン、俺はまだサブローと入ったことはねぇからよ。」
「・・・・・・・というかタママもドロロも、異種族とはいえ相手、女なんだが・・・・。」
何一つ変わらない。
何もかも、ずっとこのまま。
「じゃ、今度は夏美殿たちも呼ぶでありますか!んでもってギロロと入らせる!」
「んなにぃぃぃぃぃぃっ!?」
「あ、いいですねぇソレ!じゃあモモッチも呼んでいいですかぁ?宇宙フルーツてんこ盛り牛乳、モモッチにも飲ませてあげたいんですぅ!」
「小雪殿にも、宇宙のこの景色を見せて差し上げたいでござる。」
「ク〜ックックックックック・・・・地球人OKの旅館さがしとかねぇとなぁ・・・・・。」
「うんうん、冬樹殿たちきっと喜ぶでありますよ!」
ずっとこんな風にしていられると、信じていた。
敵のはずの地球人と仲良くしていることに、もうほとんど違和感を感じなくなっていた。
だから、忘れていた。
自分達の関係が、どんなに不確かで不安定かを。
いつ消えてしまってもおかしくないくらい、不自然な状態だということを。
ほんのちょっとしたきっかけで、おたがい一緒にいられなくなってしまうということを
忘れていたから、まさかこの後この幸福な時間に、半年という期限が付けられてしまうなんて、誰も想像すら出来なくて。
壊れてしまうなんて、夢にも思わなくて。
「また、みんなで来るであります!」
ずっとこんな関係が続くと、信じていた。
END
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最初見たときにはものっそい不安だったんです…。劇場版第二段が決まった時にやっと安心できました。結局四年目まで決まって、本当に嬉しい限りです。
でも本当に、固い絆のように見えているけど、ほんの些細なきっかけ(例えばケロン軍の介入とか正体がばれるとか)でこの均衡状態は崩れてしまうんですよね。おそろしやおそろしや。
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