D66




 たった、今。

 小雪の気配が、消えた。













「っ小雪殿・・・!?」

 上を見上げる。そんなことをしても、彼女の姿が見えるはずもないのに。

 嫌な予感が胸を占め、数秒後には確信へと変わった。
 先ほどまでは、どんなに離れていても確かに感じられた小雪の気配が、今は無い。

 恐らく、彼女はもう。




 座り込む事すら出来ず、ドロロは立ち上がり、しかし視線は下に落とした。

『サヨナラじゃないよね・・・!?』

 彼女のその言葉に、本当は頷くのを少し躊躇った。確証など、まるで無かったから。
 けれど、『もしかしたらもう二度と会えないかもしれない』なんて、彼女に言えなかった。
 いや、言いたくなかったのかもしれない。

『私のことなら大丈夫だよ!ドロロは自分のお役目を頑張って。』

 彼女のその言葉を信じて、彼女から離れ、身を隠した。
 彼女の強さを、誰より知っていたから。


 けど。






 自分がついていれば。
 自分が、彼女の側を離れなければ。

 彼女は、無事でいたかもしれない。

 暗殺兵としての使命など放り出して、彼女の側にいてやれば。
 自分さえ一緒にいれば。
 そうすれば、彼女はこんな目に遭わずに済んだかもしれないのに。

 何故自分は、こんなところにいる?
 何故自分は、彼女の側を離れた?

 自分がしなければならなかったことは、彼女から離れることではなかったはずだ。
 自分がしなければならなかったことは。



 しなければ、ならなかったことは。

























 そっと、ドロロは座り込み、元のように目を閉じる。
 考えてはならない。そう自分に言い聞かせながら。

 自分がしなければならないこと。それは暗殺兵としての使命を果たす事。
 今自分がしなければならないことは、動かずただ待つこと。例え何が起ころうと平静を保ち、起こっている状況を見極める事。

 それが、自分がやるべきこと。












 彼女を犠牲にしてでも?














 ドロロはそれ以上考えるのを止め、ただ彼女の無事だけを祈った。









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 あのシーンは衝撃的でした。お互いがお互いの心配をして、それでも自分の守りたいものを守って。アニメでみたときには本気で泣きました。
 ドロロは、地球や仲間と比べちゃうぐらいに小雪のことを思ってくれているといいと思います。
 で、小雪もそれに応えている。恋愛関係ではないですが、ある意味両想いですね。



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