065: 追いかけろ。







「もう節分の季節だなー。ロタローはこの島での節分は初めてだろう。」
「えっ、パプワ島にもやっぱり節分があるの?」
「うむ!パプワ島の節分は毎年盛り上がるぞー。何しろ島中総出で鬼を追う大イベントだからな!」
「去年はユキノブ君が鬼役やってさ。もぉ豆当てるのにみんな島中走り回らされたよなー。」
「へぇー・・・・。流石パプワ島、規模が違うね。」
「ロタローは節分やったことあるか?」
「うーん・・・・・・僕記憶喪失だしあんまり覚えてないけど、何となく黒髪の誰かが毎年金髪のおっさんに豆を力の限り叩きつけてたよーな覚えがあるなー。」
(・・・・・・・・毎年親子でンなことやっとったのか総帥一族。)
「ま、そんな殺伐とした幼少の記憶はどうでもいいや。今年はパプワ君やみんなと一緒に節分やるんだからさ!楽しみだなー。」
「はっはっはー、今から気合い十分だなー。それじゃ、早速今年の鬼役を決めないとな!」
「うん!じゃ、よろしくね家政夫。」
「またさらりとさも当然のよーな顔をして。」
「だってそーゆー汚れ役得意でしょ?」
「・・・・・・どっちかってーと役柄的にはお前らの方がよっぽど似合ってるんだけどな、鬼っ子たち。」
「えー、この美少年の僕に豆なんかぶつける気?顔に傷でも残ったら一生慰謝料しぼり取るからね。」
「へーへー。っつっても俺は無理だぜ?これから炒り豆と太巻寿司とイワシの頭用意しなきゃいけねぇんだし。」
「えー?それじゃ、他に鬼役の似合う人っていうと・・・・・・・・。」



「ハーレムおじさーん、いるー?」
「あん?なんか用かぁ?ガキ共。」
「うん!あのねー、実は節分の・・・・・・。」
「やめろロタローっ!!確かにその人は鬼だが鬼は鬼でも豆ぶつけさせてくれるよーな心やさしき青鬼さんなんかじゃなくて主に部下への仕打ちに関して鬼な人だからーっ!!」







一方。



「オヤジはー外ーっ、金はー内ーっ。」
「いたたたた、あああもうソージ、全くこんなに無邪気に季節行事を楽しんで・・・。」
「いい加減アンタは現実を見ろ。無邪気どころかいっそ清々しいほど邪気たっぷりじゃねぇか。豆まきと称して『金置いてとっとと失せろ』と主張してるだろうが。」










また更に一方。



(・・・・・・・・オラたち、一体いつまで古毛四やってりゃいいんだべ。)
(耐えるっちゃミヤギ君。4年前の植物の日々に比べればまだいい方だっちゃ。)
(んだどもよぉ。あん時は実ぃつけたり葉が落ちたりしとったりしたけんども、今回はただの巨大民芸品だべ。変化もねぇし、ただここでつっ立ってるだけの日々の虚しいこと・・・・・・。)
(そげなもん、雨が降るまでだっちゃ。それに、どんなことになろうとぼかぁミヤギ君と一緒にいるっちゃよ。)
(トットリ・・・・おめ・・・・・・!)


(・・・・・・あいつら、何を見つめあっとるんかのう・・・・・・。聞こうにも古毛四はしゃべれんから、互いに情報交換もできんし。)




「・・・・お、あったあった。おーいロタロー、雑巾持ってきてくれー。」
「はいはい。あーあ、ハーレムおじさんも家政夫のせいで結局引き受けてくれなかったしさー。」
「俺のせいかよ。そりゃ鬼連呼はしたけど紛れもない真実だし・・・・・・っと。」

ゴシゴシゴシ。

(え・・・・・・!?こ、『古毛四』の文字を!)
(まさか、とうとうオラたちのことを解放して・・・・・・?)

「・・・・・・よしっ。これでいいな。」
「り、リキッド・・・・どういうつもりだらあ?」
「ん?なーに、ちっとばかりお前に用があってよ。」
「僕に・・・・・・?」
「そーゆーこと。ってことで、他の奴は今までどおり木製オブジェな。」
(んなにぃぃぃぃっ!トットリだけじゃとぉぉっ!?)
(トットリィ!おめ、何があろうと一緒ってゆったくせに、裏切ったな!?)
「そ、そんなミヤギ君!誤解だっちゃ!」
(問答無用!許さんべぇぇぇ・・・・・・・・。)
「そんなーっ!ミヤギくーんっ!」
「・・・・・・一応俺には何も聞こえないんだが、まさかと思うがわかるのか?ミヤギの言ってること。」
「僕とミヤギ君との友情があれば、目と目で会話することくらい朝飯前だっちゃ!」
「わかった、今度からお前とミヤギは背中合わせに配置する。ほら、いいから来いっての!」
「あ、ちょ、せめてミヤギ君だけでも解放するっちゃ!わーん、ミヤギくーん!」






「・・・・で、何の用だらぁ?」
「切り替えはえーな。」
「僕ぁ早く戻ってミヤギ君の誤解をときたいんだっちゃ!」
「まーまー、いいからちょっと背中出してくれる?」
「ん、こうだっちゃ?」
「あー待て待てロタロー。こいつ服黒いから、胸の包帯辺りにしといたほうがいいぞ。」
「あ、そっか。」
「・・・・・・ちょ、何の話だっちゃ。それにそのミヤギ君の生き字引の筆は一体何に・・・・・・。」
「えーっと、ちょんに田んぼに足、でいいんだっけ。」
「じゃねぇか?多分。」
「ロタロー、最後のムが抜けてるぞー。」
「あ、そうだった。もー、しっかりしてよ家政夫。」
「俺かよ!アメリカ育ちなんだから仕方ねぇだろー。」
「いや、だから、一体何の字を書こうと・・・・・・?」
「えー?そりゃもちろん・・・・・・・・。」



『鬼』







「皆の者ー!今年の鬼はこいつに決まったぞー!」
「わーい!豆まき豆まきー!」
「わー、ホントの鬼みたいだー。虎柄のパンツもはいてるー。」
「なして僕なんだっちゃーっ!」
「そりゃお前、口調に決まってるじゃねえか。俺はその世代じゃないけどよ。」
「だからって『鬼』のあとに『娘』をいれんでもーっ!!」
「あ、一人称は『うち』にだけはするなよー。色々と限度ってものがあるから。」
「えーい、変化球!」
「幻の消える魔球ー!」
「十円玉も投げちゃえー。」
「ひぃぃぃ〜っ!」
「おーい、恵方巻き食べるから日暮れには帰ってくるんですよー。それと、遊び終えたらソレちゃんと元の古毛四に戻しておくんですよー。」
(トットリ・・・・・・疑って悪かったべ。)
(哀れにのう・・・・・・。いかに南国とはいえ、2月にあの格好は寒かろうに・・・・・・。)










で。



「ねー家政夫ー、今年の恵方ってどっちー?」
「テヅカくんの占いによると今年は西南西らしいけど、うちでは東北東とします。」
「逆方向じゃん!ご利益なくなったらどーすんのさ馬鹿ヤンキー!」
「納得できねえなら海行ってみな。西南西の沖に不吉の塊みたいな喪哀が浮かんでるから。」
「・・・・・・東北東ってどっちだっけ。」
「あっち。あ、食べるときは無言でまるかぶりな。あとは年の数だけ豆。二人とも10粒ずつ。」
「「はーい。」」





















ザザーン・・・・・・ザザザーン・・・・・・



「・・・・・・・・もう、ええから・・・・・・・・もう古毛四でもええから、とにかく陸に上がりたいどすぅーっ!!」



fin


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 クリスマスもひな祭りも七夕も子供の日もバレンタインも、南国少年の時は更にお月見もエイプリルフールもやったというのに節分がないだなんて許可しない。
 つーことでオールキャラです。カマナマモノ&特戦部隊は出し切れなかったけどそれ以外はみんなでレッツ豆まき!!

 ・・・・・・あ、でも今気付いたがウマ子がいない・・・・・。アラとウマ子のサイト(のつもり)なのに・・・・・・。



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