042: 他力本願を実行するべし。





猊下「と、いうわけで!本日は7月7日!よって他力本願の真骨頂七夕をやりたいと思いまぁっす!」
陛下「・・・お前っていつも突然だよな・・・・。」
毒女「猊下?猊下のおっしゃっていた『ササ』とやらは砂熊の好物であるこの植物でよろしいのですね?」
長男「砂熊は確か肉食だったと思うのだが・・・。」
猊下「まあとりあえず何でもいいや。さあみんな、願い事を笹に書くがよい!正確には短冊だけどね!」
三男「じゃ、僕はこれで。」


『年内結婚』


陛下「待て。いーから待て。」
三男「ユーリは何が気に食わないんだ!この僕の心からの願いだぞ!?」
陛下「だから待ってくれホント。」
三男「第一、婚約して随分経ち、子供だっているのに結婚していないほうが異常なんだぞ!?」
猊下「うーん、正論だね。ファイトだ渋谷。」
陛下「お前面白がってるだけだろ!?」
庭番「アニシナちゃんは?やっぱ『実験上等』?」
陛下「まんまだし。」
毒女「何をいってるのですかグリエ・ヨザック。それは既に実現済みでしょう。よいですか、そもそも願いとは自らの手で叶えるものであり、誰かに頼るなどという事はしてはならないのです!よってここでは自らがこれから叶えようとしている事を書くべきでしょう!」
長男「それでは単なる決意の表れでは?」
猊下「ってかアニシナさん、そんなことされると今回のタイトルと矛盾するんだけど。」
毒女「(聞いてねぇ)というわけで、わたくしの願いはこれです!」(ババーン)


『生涯毒女』


長男「頼むから考え直してくれ。」
愛娘「あ、じゃあグレタも!グレタはね!」


『しょうがいわなむすめ』


陛下「頼むから考え直してくれパート2。」
愛娘「えー?」
王佐「・・・しかし、確かにアニシナの言うことももっともかもしれませんね。願いは自分で叶えるもの。猊下のおっしゃっていた『いこぼし』だの『ほりひめ』だのに頼ってばかりではいけません。」
陛下「あの、Hの文字がつくの逆なんだけど。」
王佐「実をいうと私は最初『陛下が今よりもなお一層素晴らしい魔王となられる為に、この国の事を知っていただきかつこの国を愛してくださりますように』と願おうとしたのですが、やはり自ら叶えられる部分だけを抜粋してみました。」
陛下「そうしてもらえると俺もすごくありがたいけど、一体なんて願ったの?」
王佐「ええ、これです。」


『かつ』


陛下「何にどう!?」
長男「『勝つ』か?それとも『喝』なのか?」
毒女「『カツ』だったりして。」
猊下「実現可能なのがそこしかなかったのかー。前途多難だね。」
長男「・・・実は私も、『魔王陛下がいちいち城を抜け出したりせず職務に励んでくださりまた、出来ればアニシナがそこまで実験実験言わなくなって私の苦労が少しでも減りますように』と願う予定だったのだが・・・。」
次男「アニシナの部分だけ少々弱気だな。まあ、グウェンダルらしいけど。」
三男「願いを変更なされたのですか?」
長男「ああ、自分で実現できそうなものにな。これだ。」


『あみぐるみ博物館建設』


毒女「摂政が己の為のみに血税を使ってどうするー!(必殺アッパー)」
長男「がはー!(吹っ飛び)」
猊下「ヨザは?」
庭番「うーん・・・実現可能、ねぇ・・・あ、じゃあこれってことで。」


『打倒アニシナちゃん』


陛下「倒すの!?」
長男「命を捨てる気か!?(たった今捨てた人復活)」
庭番「なーにをおっしゃるこいぬさん。単に今年こそ親密化よっ!という願いをこめて。」
長男「それこそ命知らずだ。」
陛下「てかここじゃ『うさぎさん』じゃなくて『こいぬさん』なんだ・・・。」
猊下「うう・・・どんどん『他力本願を実行するべし。』のタイトルと外れていく・・・。」
三男「ユーリは?やはり眞魔国のことか?」
陛下「・・・最初それにしようかと思ったんだけど、やっぱりそれは自分で努力するもんだから、書かなくてもいいかな、と。でも、今の俺の願いって、もう叶っているようなものなんだよな。」
三男「・・・叶っている?」
陛下「これ。」


『獅子帰還』


次男「申し訳ございません(土下座)」
庭番「わー・・・・。」
猊下「確かにマニメじゃ帰還済みだけど、原作だと聖砂国でまだまだ大変そうだしねー。」
陛下「て言うかアニメ終わっちゃったし、そもそもアニメでも原作でもきっちりちゃっかり裏切ってくれてるくせに俺心広すぎなんだよ。コンはコンでアニメじゃ何事もなかったよーな顔してたし原作ではまだまだシマロン側のくせして一緒に棺桶入るわ迎えに来て保護者面するわそろそろ温厚な俺だってキレてイイよなもう。」
次男「陛下にご迷惑をかけて大変無礼だと感じていますすいませんでしたホントに。だから許してください。」
陛下「本当に悪いと思ってるなら、日本式に責任とってもらおうか。とりあえず俺が介錯やるから。」
次男「ハラキリはいやー!」
三男「コンラートは結局何を願っていた?」
庭番「勝手に見ちゃいましょう。おお、これは。」


『サラレギー陛下のイジメがなくなりますように。』


長男「他力本願だな。」
王佐「いや、自分でどうにか出来ていたらとっくにどうにかしてるでしょう。」
猊下「っていうか、皆。ちょっといいかい?」
陛下「ん?タイトルとずれてるっていうなら、もう今更だろ。」
猊下「別にそれはもういい。だが、君たちは本当にそれで満足かい?自分の願いを自分でかなえる、自給自足の七夕で君たちは本当にいいと思っているのか!?」
毒女「では猊下はどのような七夕を?」
猊下「自分の願いを自分で叶える、確かにいい。そこでそれをさらに発展させ、『他人の願いを叶えてあげる』七夕だ!」
陛下「なにぃっ!?」
猊下「おとぎ話の魔法使いさんに憧れたことはないか。突然現れ、他人の願いを無償で叶える、そんな素敵なシンデレラの魔法使いさんを尊敬したことはないか!僕たちは常に利益を求めている。だがたまには、そう、誰もが願いを天に託す今夜ぐらいは、誰かの為に無欲に動いたっていいじゃないか。僕は・・・そう思うんだよ。」
陛下「村田・・・・。」
毒女「さすが猊下ですね。自分のみならず他人にまで手を出すとは。」
長男「そういういかにも極悪な言い方はやめろ。」
猊下「というわけで、僕はこの短冊を持ってきたよ。」




『トラブル&アクシデント』




猊下「さあ!巻き起こるがいいトラブルよ!世界を飲み込めアクシデント!この短冊に願いをこめた人のために、僕は力の限り眞魔国に事件を起こし続けようじゃあないか!ハーッハッハッハッハッハ!」
陛下「それ別世界の方の願い事ってか信条ー!」
庭番「やっぱり猊下は極悪だったかー!」




















終わってくれ。






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その頃某奥東京市の庭付き一戸建てにて、笹に飾っていたはずの短冊を探して黄色い人が首を傾げていたりして。
かなり前に描いたネタですが、今ならヨザの願いは『生還』になってたりしそうです。……頑張ってくれよ、ヨザ。




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