056: 妄想しとけ。



<その1>

「あーもう、ギュンターいい加減過保護すぎ!」
「黙って城下に行ったお前も悪いだろ、ユーリ。」
「なんだよお前も一緒に行ったくせに。大体ギュンターに許可なんか取ろうとしたらそれこそやれ危険だのやれ一緒にだのって絶対外出してくれないって!」
「フン、好かれていてよいことじゃないか。ついでに言うとこれは嫌味だからな。」
「わかるって。」
「お前は鈍いから言わなければわからないと思ってな。」
「なんだよもー!大体好かれていていいなんて、もし自分だったらって想像してみろよ!」
「なんだと!?僕に、ギュンターが・・・・?」


想像中。


『ヴォルフラム!まったく貴方は、何故黙って城下へ行くのですか!』
『五月蝿いぞギュンター!僕がどこへ行こうとお前に関係はないだろう。』
『ああもう、せめて許可を取ってください許可を!どうして無茶ばかりするのですか貴方は!』
『五月蝿いと言っているだろう!お前にそこまで思われるほど僕は弱くは・・・・。』
『っヴォルフラム!』
 ガシっと肩をつかまれ、ヴォルフラムは一瞬身をすくめた。が、ギュンターはヴォルフラムと目線を合わせ、悲しそうな瞳をした。静かに、耳元でささやく。

『心配しているんですよ・・・わからないんですか?』


「・・・・・わ、悪く、ないかもな・・・・。」
「なんで!?」
 赤くなったヴォルフの心境がどうしても理解できないユーリであった。





<その2>

「違うだろなんか!なんかお前違う事想像しなかったか!?」
「そ、そんなことはない!そうだ!大体僕はユーリ一筋だから別にギュンターに好かれても嬉しくないぞ!?」
「だからそーでもなくて。」
「はっ!ちょっと待て、僕はユーリが好きで、ギュンターもユーリが好きで、でもギュンターは僕の事も好いているとなると一体どうなるんだ!?」
「いや違うだろ!?だからギュンターは俺を好きになる代わりにお前を好きになるって言う前提が・・・。」
「ああっ!今ですら完全に三角関係なのにこの上ギュンターが二股なのか!?僕はどうしたらいいんだ!」
「おーいヴォルフ、帰ってこーい。」
「少し待てユーリ、えーと、えーと・・・・。」


想像中。


『ヴォールーフーラームー!貴方という人はどうして陛下を連れて行ってしまうのですか!お勉強の時間になっても帰ってこないと思ったら!』
『フン、お前なんかにユーリを独占させてたまるものか!』
『なっ、何を言っているのですか!わたくしはただ・・・。』
『ほう、独占ではないというのか?ではなんだというんだ!』
『・・・私にそれを言わせるのですか?』
『なんだと?』
『そうですね、独占、という部分だけはあっているかもしれません。私は・・・。』
『え・・・・。』

『貴方を、独占したいのですよ。』



「うわあ違うぞ!?僕はきちんとユーリに愛を誓っているからああでもこんな状況になったらそれこそ流されてしまうかもしれないー!うわああああー!?」
「おーいヴォルフー、俺グレタと遊んでるから、ちゃんとこっちの世界に帰ってこいよー。」


ヴォルフラム、ピンチ。





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