01 この間のスポーツの秋
「なあ、村田。」
「どうした、渋谷。」
「そろそろ風が冷たいな。」
「そうだね。もうすぐ冬だからね。」
「・・・この前お前が企画した運動会から、もうどれくらい経つ?」
「一週間。」
「・・・まだそんなもんか。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・あれは、失敗だったね。」
「そりゃあもう誰がどう見ても失敗だったろ。あの運動会は。」
「まずチーム分けがまずかったよね。赤チームなんて君とフォンビーレフェルト卿とフォンクライスト卿だし。」
「せめて2人とも他のチームにいればまだ戦力になったのになー。」
「青チームは、誰だっけ?僕とヨザと?」
「あとグウェンダル。一番お前を苦手にしてる。」
「それに白チームがアニシナさんとギーゼラさんとグレタちゃん。」
「女性陣勢ぞろいだよなー。」
「せめてフォンヴォルテール卿がアニシナさんと同じチームにいれば、あんなにフォンヴォルテール卿も怯えなかったろうに。」
「見ていて涙が出るほどびくびくしてたもんな。」
「まったく、誰だよこんなチーム決めたの。」
「特にいないけどしいて言えばクジ作ったお前。」
「みんなクジ運悪すぎ!」
「人のせいかよ。」
「人じゃないし。皆さん魔族。とにかくせめてギーゼラさんとアニシナさんが同じチームにいなければよかったんだよ。玉入れの時なんてギーゼラさん確実にアニシナさん狙ってたよ?」
「それはな、誰もがわかってたけど誰もツッコめなかったんだよ。」
「うーん。あ、それからあれは君も悪かったじゃないか。」
「え?何がだよ。」
「ほら、借り物競争。君確か『大切な人』って引いたろ。」
「あー・・・。」
「フォンビーレフェルト卿もフォンクライスト卿も誘って欲しそうだったのに、君って奴は審判やってたウェラー卿を連れて行ったね?」
「だってぇ。」
「『だって』で済んだら役人は要らないんだよ。」
「んなこと言ったって。大体お前だって『今一番いらないもの』っていうのでヨザ持ってったろ。後からヨザ泣いてたぞ?」
「げ、バレたの?」
「バレるって。あ、あとはあれだ。あの長身ぞろいの奴らで騎馬戦はまずかったよな。」
「君んとこは結局フォンビーレフェルト卿が君を落っことしたんだっけ。」
「そ。ギュンターが暴れる暴れる。お前んとこはその点ヨザとグウェンで楽だったよな。」
「そう思う?ところがあの2人息が合わなくってさー。右行って左行って何度股が裂けるかと思ったか。」
「うっわ、悲惨だなー。」
「全く試合にならなかったしね。まあ三チームとも試合どころじゃなかったし。」
「それから・・・あ、そーだ。最後の長距離走。なんで俺にゴールテープ持たせたんだよ。」
「そのほうが皆さんやる気が出ると思って。」
「お前と俺で持ったらギュンターとヴォルフとヨザばっかりやる気出るじゃん。」
「あとウェラー卿ね。」
「審判辞めてまで走らなくてもいいのになー。」
「・・・ねえ、渋谷?」
「なんだよ村田。」
「なんでアニシナさんたら、ゴール前に火薬仕掛けておいたんだろーね。」
「それはもう、アレだろ。天才の思考って誰にも読めないもんだし。」
「一週間たった今でも、皆さん療養中だしねー。」
「ヨザックなんてまともに喰らって吹っ飛んだから、アレ頭割れてたぜ?」
「ギーゼラさんとか頑張るよね。頭に包帯巻きながら他の方の手当てやってるし。」
「アニシナさんとグレタだけ無傷だしな。」
「女性陣は強いねー。ゴールテープ持ってて吹っ飛ばなかった僕らですら寝たきりなのに。」
「もう病室の天井と仲良しだよなー。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・なあ、村田。」
「どうしたんだよ渋谷。」
「もう、やめような。運動会。」
「うん。今度は春にしようね。」
「違うっての。」
終了
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はい、これがまるマのお題で書いた初めての小説です。っていってもセリフだけですけど。
こういうムラケンズ的予告宣言みたいなのが非常に書きやすかったりします。実はネタのストックはいくらでもあるのですが、パソコンで書き起こすのが面倒なのでなかなかUP出来なかったり。
はい、すいません。きっと書きます。
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